妊娠8ヶ月の胎児の発達や母体の症状
妊娠8ヶ月の赤ちゃんの体は、脳をはじめとして新生児に近いくらい発達しています。万が一、産まれてしまっても、脳の指示を受けて自力でなんとか呼吸することができるくらいになってきています。母体は前置胎盤や妊娠高血圧症候群のリスクを知っておきましょう。妊娠8ヶ月目 妊娠28~31週の胎児の様子・母体の症状や気を付けること
<目次>
妊娠28週目の胎児の発達
- 妊娠28週目:受精から182~188日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が39~40cm
- 胎児の体重:1000~1300gほど
- 母体の変化:頻繁なお腹の張り・頻尿・血圧の上昇
まだ赤ちゃんが逆子でいる場合も多く、子宮の中を回転したりして遊んでいます。妊娠8ヶ月という時期なら、約8割くらいは頭位にもどります。
母体にはお腹の張りを頻繁に感じるようになる、子宮が膀胱を圧迫して頻尿になるほか、妊娠高血圧症候群にも注意が必要です。血圧は妊娠初期から少しずつ上がっていきますが、正常範囲は140/90 ㎜Hg未満です。ただし、正常範囲内でも頭痛や目のかすみ、急激な体重増加、手足・顔のむくみの症状が出てきたときは、妊娠高血圧症候群になってゆく可能性があります。
▽参考記事
妊娠28週 逆子は治る?エコー写真・胎児の体重や大きさ
妊娠29週目の胎児の発達
- 妊娠29週目:受精から189~195日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が40~41cm
- 胎児の体重:1100~1500gほど
- 母体の変化:おりものが増えることによる違和感
赤ちゃんは目を開けたり閉じたりすることが上手になってきており、見る練習も始めています。赤ちゃんの血液中の赤血球は、最初は血島と呼ばれる組織で、次に肝臓と脾臓で赤血球をつくられていましたが、今は骨髄で血液をつくるようになってきています。
母体は陰部にかゆみを感じることがあるかもしれません。おりものが増えてきた違和感によることが多いでしょうが、妊娠中は抵抗力が低下するので、豆腐カスのような白っぽいおりものが特徴のカンジダ腟炎になる可能性も高くなるので注意が必要です。
▽参考記事
妊娠29週目 逆子は治る?エコー写真で見る胎児の大きさ・体重
妊娠30週目の胎児の発達
- 妊娠30週目:受精から196~202日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が41~42cm
- 胎児の体重:1200~1750gほど
- 母体の変化:汗による炎症・妊娠線
この時期には、お母さんからの免疫グロブリン(IgG)の移行が増加してきます。外の世界で生き抜いてゆくための免疫系の発達が十分に間に合わないので、それを補うために、お母さんからIgGが赤ちゃんへと供給されるのです。この母体由来のIgGは生後6ヶ月働き続け、その間に、赤ちゃんは免疫システムを確立させます。
母体は、汗がたまりやすい股間や胸の下などに炎症が起こりやすくなっています。こまめに汗を拭き、入浴したりシャワーを浴びたりするなどして対応しましょう。妊娠後期に入り、急激にお腹が大きくなるため、お腹だけでなくおっぱいや太ももにも妊娠線ができやすくなります。あおむけで寝るのがつらく感じる際は、体の左側を下にして横になるのがおすすめです。
▽参考記事
妊娠30週 胎児の体重や大きさをエコー写真で確認・逆子や早産の心配
妊娠31週目の胎児の発達
- 妊娠31週目:受精から203~209日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が42~43cm
- 胎児の体重:1300~1900gほど
- 母体の変化:初乳・正中線
お腹が大きくなってくると、バランスをとろうと、腰が反りがちになることが多いでしょう。しかし、この姿勢は腰に負担をかかるので、できるだけまっすぐ立って歩くように心掛けてください。
おっぱいが少し出始めた人もいるかもしれません。薄い黄色いがかった液体(初乳)です。また、お臍の下から縦に走る黒っぽい線は皮膚のひび割れの妊娠線ではなく、妊娠ホルモンによる色素の沈着で、正中線といいます。出産したら薄くなるのであまり心配は要りません。
▽参考記事
妊娠31週 胎児の体重や大きさをエコー写真で確認・早産や逆子の心配
妊娠8ヶ月に万が一、早産になっても
妊娠22週未満は流産、22週以降を早産と決められています。万が一、妊娠8ヶ月で産まれてしまっても、脳の指示を受けて自力でなんとか呼吸することができるくらいになってきています。新生児治療の対象となる週数です。胎児は、医療の助けによって障害がなく生存の可能性が高くなるほど発達しています。▽参考記事
妊娠28週 逆子は治る?エコー写真・胎児の体重や大きさ
妊娠8ヶ月の妊婦健診では前置胎盤でないかをチェック
妊娠8ヶ月頃にはチェックしたい、前置胎盤とはどういうもの?
前置胎盤は胎盤の位置によって3つに分けられ、子宮口を完全にふさぐ形を「全前置胎盤」、一部をふさいでいる状態を「部分前置胎盤」、胎盤の下のふちが少し子宮口にかかっている状態を「辺縁前置胎盤」といいます。
妊娠20週前後には、前置胎盤の可能性を指摘されることもあるでしょうが、80%以上は妊娠経過に伴って前置胎盤ではなくなり、最終的に診断されるのは妊娠8カ月30~32週になります。
前置胎盤では、症状がなくても、安静目的の管理入院となることがあります。出産は妊娠37週前後に帝王切開となるでしょう。かつては「辺縁前置胎盤」で経膣分娩を試みることもありましたが、現在は、子宮口にかかっていなくても、胎盤辺縁が2㎝以内の「低置胎盤」も含めて帝王切開が選択されています。
妊娠高血圧症候群に注意しましょう
頭痛や目のかすみ、急激な体重増加、手足・顔のむくみなどの症状があるなら、妊娠高血圧症候群の可能性が
ところが、なんらかの理由でこの適応が起こらないと、血管は拡張せず高血圧になり、頭痛や目のかすみ、急激な体重増加、手足・顔のむくみなどの症状に発展し、母児ともに危険な状態に陥ることがでてきます。こうした一連の病態が妊娠高血圧症候群です。以前は妊娠中毒症と呼ばれていたもので、原因ははっきりしませんが、最近では胎盤形成不全が関連していると考えられています。
妊娠高血圧症候群は、妊娠という負荷が体にかかっている限り、完治することはありません。根本的な治療法がないため、発症した場合は安静と食事療法、必要があれば降圧剤を使用しならが経過をみます。重症の場合は、適切な時期に帝王切開、あるいは誘発分娩で妊娠を終了させることが最終的な治療となります。
▽参考記事
妊娠28週 逆子は治る?エコー写真・胎児の体重や大きさ
妊娠高血圧症候群(HPD)の原因と症状・診断基準
里帰出産や産休・育休の準備を
里帰出産や産休・育休は周囲と相談を
里帰り出産は、ご両親など、妊娠・出産・育児をサポートしてくれる人がいるというのが一番のメリットでしょう。出産は実家でというのが昔からの日本の習慣ですが、時代とともに家族形態も変わってくるなか、父親の関わりが希薄となる里帰り出産では、自宅に戻った後、夫婦に温度差ができ、家族としてのスタートが出遅れる一因にはなることも考えられます。周囲の声にあまり惑わされずにパートナーとよく話し合って決めてください。
▽参考記事
出産・産後の疑問・悩みTOP20
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