妊娠10ヶ月の胎児の発達や母体の症状
妊娠10ヶ月の赤ちゃんは、これから成長していくというよりは生まれる前の最終調整の段階に入っています。お母さんは、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病によるカロリー制限をしているのではなければ、食べる量や回数を工夫しながら、口に入るもので、栄養と水をきちんと摂りましょう。<目次>
妊娠36週目の胎児の発達
- 妊娠36週目:受精から238~244日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が47~48cm
- 胎児の体重:2000~2900gほど
- 母体の変化:陣痛の予行演習「前駆陣痛」によって、お腹の張りが頻繁に
まだ少し早いですが、妊娠36週になると赤ちゃんの位置が下がってくることがあるかもしれません。これは出産が近づいていることを表し、だいたい出産の2~4週間前に起こるといわれます。ただし個人差があるので、下降度から出産日を予測するのは困難です。赤ちゃんと共に子宮が下がってくると、動悸や息切れが少し楽になり、食欲も戻ってきます。妊娠後期は、一番カロリーが必要な時期です。食事と水分は最後まできちんと摂りましょう。
母体は、これまでと比べてお腹の張りが頻繁になります。間隔が不規則なうちは「前駆陣痛」といって、まだほんものの陣痛ではなく、いわば陣痛の予行演習です。こうした刺激が子宮口や産道を柔らかくします。
▽参考記事
妊娠36週目 胎児の体重・エコー写真・出産がもし始まったら
妊娠37週目の胎児の発達
- 妊娠37週目:受精から245~251日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が48~49cm
- 胎児の体重:2200~3100gほど
- 母体の変化:正期産の時期に。前駆陣痛を感じることも
赤ちゃんは背を丸めたスタイルをとっています。手足を動かすスペースはあまりないもののモゾモゾと動いていますが、大きな動きがないだけに、お母さんには胎動が少なくなったと感じられるかもしれません。
この時期には「前駆陣痛」という不規則な痛みや張りを感じるかもしれません。「陣痛かな?」と思うほどの痛みを感じても、痛みや張りが長く続かず、いつの間にかなくなってしまうことを繰り返すことも多いでしょう。子宮収縮が続いて、陣痛かどうかがわからない場合は、産院へ連絡しましょう。夜勤担当がいますので、夜中であっても大丈夫です。
▽参考記事
妊娠37週で出産は早い?エコー写真と胎児の体重・大きさ
妊娠38週目の胎児の発達
- 妊娠38週目:受精から252~258日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が49cm
- 胎児の体重:2300~3300gほど
- 母体の変化:妊婦健診の内診で「子宮口〇cmですね」と言われたり、「おしるし」があるかも
赤ちゃんは、外の世界でもたくましく生きぬくための70種類以上の反射を実際に使いこなせるように、おなかの中で毎日練習をしています。口の中へ物を入れた時に強く吸い付く「吸綴(きゅうてつ)反射」や、手のひらに指などをおくと握るような動作をする「手掌把握反射」、大きな音がした時などにビクッとしがみつくようなポーズをする「モロー反射」などです。
母体は、赤ちゃんの頭が下がってくることで恥骨や足のつけ根が痛んだり、坐骨神経などの骨盤周辺の神経が圧迫されることで、お尻や大腿、腰にしびれや痛みを感じたりすることもあるでしょう。そうした場合は、局部を温めて循環をよくしたり、体位を変えてみたり、体操をしたり、横になって休みます。散歩などの適度な運動も続けておきましょう。
▽参考記事
妊娠38週 胎児の体重やエコー写真・子宮口の開きや出産の流れ
妊娠39週目の胎児の発達
- 妊娠39週目:受精から259~265日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が50cm
- 胎児の体重:2400~3500gほど
- 母体の変化:寝つきは悪く、眠りは浅くなる
ほとんどの赤ちゃんは、お母さんの骨盤内で頭を下にして、顔も横向きか、お母さんの背骨側へうつむくような姿勢ですに。血液細胞を作り出すために肝臓が大きくなるのに伴い、おなかが丸く大きくなっています。これからの数日で、赤ちゃんの胸がさらに突き出てきます。母体から送られてくるエストロゲンというホルモンの影響で、男の子もおっぱいが膨らんでいることがあります。
母体は、張りやすいおなかやお産が気になって、寝つきも悪く、眠りも浅くなっているかもしれません。自然なことなのであまり心配せず、疲れたときは昼間でも横になりましょう。
▽参考記事
妊娠39週 エコー写真・胎児の大きさや体重
妊娠40週目の胎児の発達
- 妊娠40週目:受精から256~262日目
- 胎児の大きさ:頭殿長(座高)が50~52cm
- 胎児の体重:2500~3600gほど
- 母体の変化:予定日を過ぎると焦りを覚えることも
妊娠40週には、出産予定日を迎えます。とはいえ、実際に予定日に生まれてくる赤ちゃんは5%もいません。予定日を過ぎると焦る気持ちが出てくるのは自然なことですが、陣痛は絶妙なタイミングでやってくるので、できるだけリラックスしてその日を待ちましょう。
赤ちゃんが大きくならないうちに、促進剤を使って陣痛を起こそうとしても、薬に反応して陣痛が乗ってこないことも多いです。産科医としては、やはり母子のタイミングが合わなければ、うまくいかないのだと感じます。陣痛を誘発するにしても、母子と赤ちゃんと産道、子宮の様子をうかがいながら、期が熟す、その時に近づくまで待つことが大切です。
▽参考記事
妊娠40週目!胎児の大きさ・エコー写真と妊婦の注意点
お腹の張りや不規則な痛み「前駆陣痛」は陣痛の予行演習
妊娠10ヶ月頃には陣痛の予行演習「前駆陣痛」がくる
子宮収縮が続いて、陣痛かどうかがわからない場合は、産院へ連絡しましょう。夜勤担当がいますので、夜中であっても大丈夫です。
妊娠10ヶ月の妊婦健診で言われる「子宮口が開く」とは?
子宮口とは子宮の一番下の部分で、赤ちゃんの出口となるところです。出産が近づくと、子宮頸管が柔らかくなり少しずつ赤ちゃんは下の方に降りてくるのですが、それにより子宮口が刺激され徐々に開きはじめます。出産が近づくと妊婦健診の際に内診をして、「子宮口はまだ閉じてますね」「子宮口3㎝開いてますね」などと言われることがあります。10分間隔の陣痛が始まってから、子宮口が全開大するまでが分娩第1期です。お産のはじまりの準備期にあたり、初産婦で平均10~12時間と、最も時問がかかります。子宮口が全開大に近づいたら、分娩室に移動します。
お産が近づいたサイン「おしるし」とは?
お産が近づくと軽い子宮収縮が起こって、赤ちゃんを包んでいる卵膜が子宮からはがれて少量の出血があります。これがおりものと混じって、ドロッとした茶色っぽい「おしるし」としてみられます。お産が近くなってきたお母さんの体は、おりものが増えることが多いのですが、かゆみや痛みがなければまず心配ありません。産道をやわらかくし、赤ちゃんがスムーズに降りてこられるようにする潤滑剤の役目があります。おしるしは、お産がもうすぐ始まることを知らせるものですが、おしるしがあってすぐにお産が始まる場合もあれば、お産に進んでいかないケースもあります。特に痛みがなければそのまま待って心配ありません。破水したり、陣痛の間隔が短く規則的になったら、産院へ連絡しましょう。産院は24時間連絡OKです。
おしるしの状態は、おりものに少量の血がまじったような薄いピンク色だったり、褐色だったりと人によって様々です。生理のときより出血が多い、量が徐々に増えてきた、などは異常出血の場合もあるので、自己判断せず産院に連絡しましょう。
万一、産院到着前に車中などで産まれてしまった場合は?
家から産院までの距離が遠く、お産が間に合わないんじゃないかと心配している方もいるでしょう。もし、急に陣痛が来てどんどん間隔も短くなり、産まれてしまいそうと思っても、通常はそこから何時間もかかります。まず大丈夫といえます。では、万一、車中などで、産院に到着する前に生まれてしまったとしたら……。確かに大変なことですが、そうやって生まれた赤ちゃんは、幸いなことに基本的に元気です。とにかく、赤ちゃんを濡れたままにしないこと、冷えないようにすることが肝心です。気が動転してしまうでしょうが、以下が対応手順です。
- 病院に連絡し指示を仰ぐ(できれば生まれる前に)
- バスタオルなどで、赤ちゃんについている羊水や血液をしっかりと(やさしくでない)拭き取る
- 濡れているところがない状態で、毛布などでくるむ
- お母さんはできるだけ座った状態で赤ちゃんをしっかりと抱っこして産院に向かう
赤ちゃんに続き、胎盤も出てきた時は、違和感があるかもしれませんが、これだけ早いお産で、胎盤が自然に娩出してくる場合は、出血もまず多量ではないはずです。胎盤よりも、赤ちゃんに適切な対応をしてあげることを考えましょう。
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