住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

築4年で変わったこと、変わらないこと

新しい家を建て、暮らし始めて4年。経年変化するところもあれば、変わらないところもあり……。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド


新しい家を建て、暮らし始めて4年が経った。
強い海風や大雨など、過酷な自然環境の中、
外まわりは、それなりに、いい感じに?深みも増し、
新築当時の雰囲気とは少し異なるものの、
内部空間の使い方は、ほとんど、何も変わっていない。
飾り棚の小物さえ、定位置から動いていない。

過酷な自然環境で、外まわりのメンテナンスは予想以上

「家を建ててから、なんでこんなに、異常気象が続くんだ」と、何度オットがぼやいただろう。本当に、引っ越してから、毎年のように、観測史上最大級の台風や大雨に見舞われ、数キロ先では、川があふれたり、道路が水没したり、竜巻が起こったり。さすがに、わが家も一度、巨大な台風の影響で軒天(軒裏の天井部分)に不具合が起き、修理を余儀なくされたこともあったが、1年点検でも2年点検でも、他には大きな問題もなく、この夏で築4年を迎えた。

とはいえ、海から1キロ程度の崖の上に建つわが家の場合、日常的な強風と塩害、猛暑の強い日射は、予想以上に外まわりにダメージを与えているようだ。もちろん、室外機などは塩害仕様のタイプとしているし、雨樋や外壁材も耐候性の高いものとするなどの対策は施しているのだが、潮風が通り抜け、日射もきつい部分の木部塗装の痛みや金属部分の錆などは、思っていたよりも早くに目につくようになった。

塗装にムラがでたり、少しの錆なら、風合いがある、とも思いたいのだが、一番目立つ建物正面なので、それなりにキレイにしておかないと、という訳で、半年に一度は錆をとり、年に一度はペタペタと刷毛を持つ。新築当時に比べると、ぶきっちょな手直し感が否めないが、それはそれで、味があるのではないかと……。やはり、外まわりは、環境によって大きく差が出るということ、それに見合った日常的な手入れが大切だということ、を実感している。

空間の使い方は新築時と何も変わらず

ソファもダイニング、バルコニーのテーブルも何も変わらず、床の色だけが濃くなった

ソファもダイニング、バルコニーのテーブルも何も変わらず、床の色だけが濃くなった

外まわりの微妙な風合いと庭の樹木の成長は、さすがに築4年を感じさせるが、家の中の使い方と言えば、引越し当時から、ほとんど変化はしていない。もちろん、壁紙には多少の汚れもあるし、床の杉板の傷は数知れない。杉板の色味も強い日差しでずいぶんと濃くなってきた。

けれど、間取りを検討した時にイメージしていた使い方は変わりなく、引っ越し当時から家具の位置も、家電の位置も、本の位置も、壁に飾っている絵の位置も、ほとんど変わっていない。4年の歳月を過ごし、季節を重ねても、建てる前に希望した通りの暮らし方ができている。

もちろん、ライフスタイルも家族構成も健康状態も変化がない、ということもあるが、毎日、自然に、ストレスなく過ごすことができるのは、やはり、ワタシたち夫婦の暮らし方、生き方に合った空間となっているからだろう。そして、そんな住まいが実現できたのは、デザインだけでなく、家や暮らしに対する考え方などに共感できる人々と、家づくりを進めることができたことが大きいのではないかと思うのだ。

考え方に共感でき、信頼できる設計者と出会えて

ワタシたち夫婦の場合、土地の制約や間取りへの希望、ライフスタイルなどから、建築家に依頼して家づくりをすることは早くから決めていた。考え方や空間の表現方法などに共感することができた、建築家のKさんに依頼することができた時点で、たぶん、家づくりの8割は終わっていたように思う。

もちろん、何度も打ち合わせを重ね、ワタシたちの暮らしぶりや希望を伝えることは必要だったが、空間のつくり、設備や仕様などは、ほぼ提案通りで迷うことは少なかった。いろいろとワガママも言ったが、基本的な方向性はずれていなかったので、比較的スムーズに進んだのではないかと思うのだ。

住宅を手掛ける建築家は千差万別だ。得意な工法やデザインもさまざまだし、こだわるポイントも異なるもの。自分の感性や波長にあう人を探すのは、時間も手間もかかるが、住まいや暮らしに対する感じ方、考え方が近く、信頼できる人を選ばないと、希望も伝わりにくいだろうし、満足のいく住まいにならないケースも。もちろん、これは、建築家に依頼する場合だけでなく、ハウスメーカーや工務店でも同じだろう。営業マンや設計担当者が、共感でき、信頼できるかは、満足いく家づくりのためには重要なポイントなのではないだろうか。

終の棲家として、建築家に依頼して建てた小さなわが家。これから、月日を重ね、劣化したり壊れたり、補修や交換は繰り返すことになるだろう。変わっていくこと、変えなければならないことも楽しみつつ、たぶん、あまり変わらない日常の暮らしも、この家なら楽しめるんじゃないかな、とも思っている。まぁ、その前に、引っ越してから一度も開けていない段ボールの断捨離が先かもしれないけれど……。


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