住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

引き戸がいっぱい!

家を建てることになった時、建具はすべて引き戸にしたい、と建築家にお願いした。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

三十うん年前、ワタシの中学入学に合わせて、両親が家づくりを始めた。

間取り図を見せてもらうと、ワタシの部屋は、4畳半の洋室。
それまでは、畳に障子の和室の隅っこ、だったので、
本当に嬉しかったことを覚えている。
ただ、どうしても納得できなかったのが、
入口がドアではなく、引き戸だったこと。

憧れの個室、白い壁に好みのカーテン。
洋室なんだから、やっぱりドアでしょ、開き戸でしょ、と、
わがままを言って、白いドアに変えてもらった。

狭い空間に動線無視の入口扉は、案の定、とても使いづらく、
いまでも実家に帰ると、あちゃちゃ~、である。

そんなワタシは、家を建てることになった時、
建具はすべて引き戸にしたい、と建築家のKさんにお願いした。

なんか、邪魔で……

もともと、部屋の扉は開け放しておくことが多い暮らし方だった。けれど、前に住んでいたマンションは、全て開き戸(ドア)だったので、開け放しておくと扉分のスペースを取ってしまう。

狭い廊下を歩く時も掃除をする時も邪魔なだけだし、大きな家具の移動にも苦労した。ドアストッパーの存在も、なんとなく好きになれなかった。なにより、ドアの取っ手は、ひっかけたり、ぶつかったり、急いでいる時ほどイライラさせられたものだ。まぁ、これは、ガサツなワタシの性格の方が大きな原因だろうけれど……。

そんなこともあって、新しい家では、開けていても邪魔にならない「引き戸にしたいなぁ~」と思っていた。Kさんの設計する家は、効果的に引き戸を用いていたのはわかっていたし、狭いわが家の場合、スペース確保のためにも、空間の広がりを感じるためにも、引き戸の方がいいんじゃないかな、と。開けっ放しにしておいて、「さぁ~っ」と風が通り抜けるようにしたかったのだ。

見直されてきた引き戸

数年前まで、なんとなく引き戸はデザイン的に「いまひとつ」で、ドアの方が「オシャレ」なイメージを持つ人が多かったように思う。実際、建材メーカーの商品バリエーションも少なかったし……。

けれど、最近では、引き戸のよさが見直され、建材メーカーでも玄関扉はもちろん室内扉なども、多くの商品を揃えるようになってきている。スライドドアやスライディングドアなどとよんでいる場合もあって、「オシャレ度」も高まってきているのだ。

とはいえ、引き戸の場合、どうしても気密性は低くなりがちだし、ガタつきや揺れが生じる場合もある。最近のメーカーの製品には、性能を高め使い勝手のよいタイプも多く出ているし、ゆっくりと閉まる機能などを搭載したタイプもみられる。引き戸や引き違い戸、引き込み戸などスタイルも揃い、用途にあったタイプを選ぶことができるようになっている。

もちろん、引き戸にしろドアにしろ、扉単体で考えるものではなく、間取りや構造との関連でプランニングするもの。動線や使用する家具のレイアウトなどとも合わせて検討することが重要なので、どちらがいい、とは一概にはいえない。けれど、障子や襖など、日本で受け継がれてきた、優れた開閉方法が見直されてきたのは、個人的にはちょっとうれしい。

9ヶ所の引き戸

引き戸

つきあたりに洗面、左にトイレ、右が寝室。すべて引き戸にしたので、掃除もしやすい

で、わが家の場合。玄関ドア・リビング・寝室・洗面室・浴室・トイレ2ヶ所・ウォークインクロゼット・和室の9ヶ所の開口部は、全てが引き戸。ついでに、靴入れも食器棚も引き戸で開閉できるようにプランニングしてもらった。

狭いわが家では、引き戸のメリットは日々実感する。たとえば、1階は、廊下のつきあたりに洗面室、左右にはトイレと寝室の開口部が並ぶ間取り。洗面室とトイレは引き込み戸、寝室は引き戸としたので、扉にぶつかることもないし開けていていても邪魔にならない。充分に換気することも可能だ。

開き戸も引き戸もメリット、デメリットがあるし、何を優先させるかはそれぞれだと思うけれど、わが家の場合はとにかく「開け放してすっきり」が最優先。あとは、「建具の存在感は極力なくしたいこと」ということ。だから、引き戸だらけの住まいは、かなり快適。

まぁ、ガサツな性格のワタシが、乱暴に開閉する音や中途半端に開けっぱなしになっている状態に対して、夫からのクレームが時々入る程度は、よしとしよう。


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