仕事柄、建築家の住まいに触れる機会も多かったので、
自分の家を建てる際は、
建築家+工務店、という方法にしたいと考えていた。

フリーランスの仕事を持つ夫婦二人暮らし、という
標準的な家庭とは異なるライフスタイル。
細かな(ワガママな?)要望に対応してもらうのは、
建築家との家づくりの方がいいだろうな、と思っていたからだ。

誰に頼む?

とはいえ、建築家といってもさまざまな人がいる。仕事で出会う機会があったにせよ、誰に依頼するかは、なかなか難しい。

普通は、雑誌やホームページで探したり、建築家を紹介するサイトでのコンペなどを利用したり。知り合いや不動産会社の紹介で、という場合もあるだろう。それでも、自分の住まいに対する要望を理解してくれ、デザインや好みが一致する相性のいい人、実績や進め方、費用面で適する人を探すのはなかなか大変だ。

家そのものへの要望はもちろんだが、家づくりのパートナーに何を求めるのか、何を優先させるのか、そこから明確にしていくことが大切だろう。

ワタシたち夫婦が建築家に求めていたのは、「日本の普通の家」を建てている人、「自然」を大切にした、「シンプル」な空間づくりをしている人。そして、できれば、少し年上の人。

住まいづくりに関わる、ということ

ワタシは若い頃、住宅メーカーでインテリアコーディネートの仕事をしていた。そのメーカーの顧客層は比較的年齢が高く、対応したお客様は自分よりもはるかに上の方が多かった。

そんな方々に対して、ある程度の知識や情報を持ち合わせていたとはいえ、家を建てたこともなく、結婚したこともなく、子育てや介護の経験もない、コムスメの提案が的を射ていたかどうかは、甚だ怪しいものである。

もちろん、どんな仕事にせよ、実体験や経験がなければ出来ない、ということではないし、自分の努力不足は認めるものの、ワタシが思う本来の意味の住まいづくりに関われたか、というと、個人的にはNOだ。

そんな思いもあって、自分が家を建てるときは、空間のつくり方や相性はもちろんだけれど、自分よりも人生経験のある方にお願いしたいなぁ~、と思っていた。

少し先を知る人に

仏壇スペース

仏壇の考え方など共感してもらえる部分も多かった。いつも居る、LDの一角に設けた「亡き人を想う場所」

ワタシたちが家づくりを考え始めたのは40代もかなり後半。終の棲家としての住まい、をつくりたいと思っていた。

これから、歳を重ねるごとに、肉体的にも、精神的にも、環境的にも、いろいろな変化もあるだろう。だから、これからの年齢のワタシたちの暮らしを、実体験として予想することができて、漠然とした不安に対しての工夫やアドバイスがもらえる年齢の方がいいんじゃないかな、と。

若い建築家の感性を取り入れるのもいいだろうし、同年代の思いをカタチにしてもらう、という考え方もあるだろう。それぞれの良さはあるだろうと思うけれど、ワタシたちの場合は、少し前を歩く世代の提案に納得感を得られるんじゃないかな、と考えていたのだ。


というわけで、お願いした建築家のKさんは、ひとまわりぐらい上の年齢。打ち合わせの中でのやりとりはもちろん、プランニングのそこここに、ワタシたちの「これからの暮らし」のイメージを含んでくれているように思っている。たとえば、緩やかな階段や手すりであったり、亡き人を想う場所であったり、今までのワタシたちの歴史を納めるスペースであったり。それらに本当に馴染んでくるのは、数年後なのかもしれないけれど……。


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