自然を近くに感じられるところで暮らしたいよね、
というのが家づくりの発端だった。
できれば海が遠くに見えて、
周囲に緑が残っているような場所で暮らしたいなぁ、と。

数年かけて見つけたのは、
雑木林も残る住宅街のはずれ、
遠くに小さく海が見える丘の上の土地だ。

海が見える、と言っても、お隣の家の脇から、
本当に小さく水平線が見えるぐらい。
だから、近くに暮らす友人に、
「車や自転車は錆びるよ」
「洗濯物は湿気ちゃうよ」と言われても、
正直、ピンとこなかった。

室外機や給湯器は塩害仕様に

本当に小さく見える海から、わが家は直線距離で約1km。高台なので風当たりもよく、特に海方向からの南風は、気持ちがいいのを通り越して突風となることもしばしば。

プランニングを進める中で、遠く見えるけれど1kmしかないし、これだけ海からの風を受けるのだから、ある程度の塩害対策は必要になるだろうな、とは思っていた。だから、建築家のKさんや現場監督のTさんからのアドバイスで、給湯器やエアコンの室外機などは塩害仕様のタイプとしたし、雨樋や外壁材も耐候性の高いものを選んでもらうなどの対策は施した。その分の予算アップは想定してなかったけれど……。

塩害は、海からの距離はもちろんだが、風の向き、強さなどで、同じエリアでも差がでるという。近隣の建物の配置や形状、樹木の有無などによっても変わってくるのだ。塩害が予想されるエリアで建築する場合は、その敷地環境に合った細かな対策を施すことが大切だろう。

白い水玉の正体

イメージ

今年最後の台風で、せっかくの紅葉もパサパサに……

実際に暮らし始めてみると、友人の言葉通りに、やっぱり錆びるものは錆びる。塩害仕様の室外機や給湯器は、いまのところ被害はないようだが、出しっぱなしの自転車、カーポート、ポストや表札、外まわりの金物などには錆が。気になるところは、錆落としでお手入れをするが、これが結構、大変な作業で……。

金属の部分が錆びるのはまだしも、無垢材からでたヤニ部分に塩がつくのには驚いた。窓枠などからでたヤニをそのままにしておくと、塩がついて白っぽい水玉模様のようになってしまうのだ。これも、ヤニをとるしか方法がなく、結構、大変。

また、建物だけではなく、庭の草花や植木も塩の被害を受ける。海風が通り抜ける場所に植えた植物の葉先は茶色くなり、繊細な花はあっという間に枯れてしまう。引っ越して間もない頃に、訳も分からず植えた花は、ほとんどダメになってしまった。最近では、近隣のお宅の庭で育つ花木を参考にして、地道に、庭づくりに励んでいる。

洗濯物は3時まで

塩は洗濯にも影響する。季節にもよるが、夕方になると洗濯物が何となく、べとっと湿気っぽくなってしまうのだ。だから、早朝の洗濯が日課になった。できるだけ早い時間に干して、早めに取り込むことがポイント。家で仕事をしている私はなんとか対応できるが、会社勤めの主婦には難しいだろうな。海辺で暮らすには、浴室暖房乾燥機か室内干しスペースは必要なアイテムかもしれない。

遠くに小さく海が見える家に暮らし始めて2年半で学んだことは、台風や強風の後は、必ず家を洗うこと。風がおさまったら、乾く前に出来る限り水洗いをすること。だから、台風の多かったこの夏の間は、かなりの頻度で家を洗った。外壁や窓、デッキやカーポートなど、ホースが届くところはすべて水をかける。庭の花木にも、たっぷりとシャワーを浴びさせる。そうすることで、少しは、マシになる、ということがわかったのだ。

もちろん水道代が気にならないわけじゃないが、洗わないことで、家が劣化したり、花木が枯れるよりはいいか、と。節水は、トイレとかシャワーとか、他で頑張る、しかないな。


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