わが家がエネファームを導入したきっかけ

ガイドが自宅にエネファームを設置した2016年時点では、補助金を利用しても設置費用負担は100万円を超え、非常に高コストだった。そんなエネファームを導入すると決めたきっかけは、それまで使っていたガス給湯器の劣化が目立ってきたことだ。給湯器がもし冬場に壊れてしまうととても悲惨な目に合う。従って、夏のうちに取り変えようと2016年の初夏に東京ガスに相談したのが始まりだった。

エネファーム(画像提供:東京ガス)

エネファーム(画像提供:東京ガス)


最初はエネファームを設置するつもりはなかったものの、エネファームのカタログをもらい、説明を受ける中で、これは「あるとよいな」と思う機能がいくつかあり、導入を決めた。

 

エネファームとは

家庭でお湯を沸かすにはいろいろな方法があって、一般的なガス給湯器はもちろん、最近ではエコジョーズ、エコキュート、エネファームなどの高効率給湯器が普及してきている。そのうちエコジョーズもエネファームもガスを動力としてお湯を供給する設備だが、大きな違いは「発電するか・しないか」だ。

エネファームはガスから取り出した水素を空気中の酸素と化学反応させることで発電を行い、その際に出る熱でお湯を沸かす。すなわち単なる給湯器ではなく、電気を作り出すという「創エネルギー装置」である。

発電所から送電線で電気を送るとその途中の廃熱などでエネルギーが失われ、家庭で使用する時には約37%程度まで減ってしまう。その点、家庭用エネファームは、各家庭に設置した燃料電池ユニットで発電し、家庭内で使うため、ロスが少なく約85.8%のエネルギーを使うことができる(※東京ガスホームページより)。

CO2の削減量も「従来の給湯器を使用する」「火力発電のエネルギーを使う」ことと比べ、最大30%削減が可能とされている。以上のような観点から、国や自治体では導入時に補助金を交付することで一般家庭に広く普及させたいと考えている。


 

エネファームのメリット

■災害時の水/お湯利用、発電機として
ひとつは災害時にタンク内に貯蔵してある140リットルのお湯または水を取り出し雑水として利用できること。そして停電時発電継続機能があり、停電時に専用コンセントが使えることだ。停電時でもテレビやラジオを付けて情報を収集したり、携帯電話の充電ができる。

東日本大震災の時の記憶もまだ新しく、これから大きな地震が来る確率が高いと予測されていることを思うと、それらの機能があるととても心強いと感じた。

■補助金がもらえる
「補助金がもらえるのかどうか」ということはやはり大きい。わが家が導入するかどうか迷っていた時は、次年度から補助金がもらえるかどうかわからないという説明を聞いた。また補助を出す自治体にも予算があるため、申し込みが遅くなるともらえなくなる可能性があるとも言われた。

■温水式床暖房やミストサウナと併用するとメリット大
エネファームはお湯を使えば使うほど発電するので、我が家でも「お風呂は追い焚きをせずに毎日新しいお湯に変える」「お湯と水、どちらも使ってよいならお湯を使う」というアドバイスに従っている。きれいなお湯を毎日気兼ねなく使えるのはうれしいことだ。エネファームのメリットをより享受するには、温水式床暖房やミストサウナがあり、お湯をたくさん使う家が良いという。そのような家で採用すればモトを取ることもできるかもしれない。


 

エネファームのデメリット

■学習しない?「学習機能」
エネファームは基本的に丸一日稼働することはなく、夏場で9時間程度、冬場で15時間程度発電している。どの時間帯に発電させるのか手動で設置することもできるが、エネファームには「学習予測機能」があり、その家庭の生活パターンを予測して、電気やガスを無駄なく使えるような運転パターンを決めてくれることになっている。

メーカーではこの学習機能を利用することを推奨しているが、これがなかなか思ったような動きをしない。発電して欲しい時間帯に発電しないことがよくあるし、丸一日お休みしてしまうこともたまにある。もし生活が不規則な家庭の場合、機械が読み取ることは難しいのだろうと思う。

■設置スペースが必要
エネファームには本体の燃料電池ユニットと、お湯をためておく貯湯ユニット、湯ギレをおこさないようバックアップ熱源機がある。このバックアップ熱源機があるおかげで、いくらお湯を使ってもお湯が足りなくなることはない。しかし、これらを設置するスペースや配管スペースなどが家の周囲に必要になってくる。

■発電中にしか使えない停電時の発電機能
万が一の災害時に役に立つと思っていた「停電時の発電機能」は、説明書をよくよく読むと、エネファームが発電運転中でないと使えないという。エネファームを観察していると、一日の中でも発電していない時間が結構あるので、本当に役に立つのか不安になる。

■6年間は継続して使用するという決まり
契約時に知ったことだが、エネファームは補助金を使っているため、最低でも6年間は継続して使用しないといけないことになっている。もし6年以内にエネファームを処分すると、受け取った補助金は全額返金になるという。もし、近々に引っ越しや転居を考えているのであれば要注意だ。


 

一年後に思うこと。エネファーム導入を検討している読者へ

しかし、一年たった今でも相変わらずエネファーム導入時に補助金はもらえるし、エネファーム自体の販売価格も下がり、家庭が負担する設置コストはだんだん低減されつつあるようだ。

その理由として国のエネルギー政策がある。エネファームの販売台数は2017年5月に累計20万台だったが、目標として2020年には140万台、2030年には530万台の普及を目指している。そのためには設置費用をもっと下げる必要があり、エネファームを供給する企業は費用を抑える努力をし、自治体も補助金も出し続けなければならないだろう。

■設置費用のモトを取るのはかなり難しい
エネファーム導入にあたり、気になるのは「設置費用のモトは取れるのか」ということだ。たくさん発電してくれれば電気代が安くなり、いつかモトは取れるはずだ。ざっくりと「10年くらいで元が取れればよい」と考えると、設置費用100万円の元を取るためには一年で10万円くらい発電できれば良い。

平均的な4人家族の我が家でエネファームが発電した電気量(2016年10月~2017年9月)

平均的な4人家族の我が家でエネファームが発電した電気量(2016年10月~2017年9月)


エネファームでは発電量などのデータを見ることができるが、それによると一般的な4人家族・床暖房なしの我が家が過去一年で発電した電気は2834Kwh、82186円分だった。実際にはガスの使用量が一年前より増えているはずなので、光熱費のプラスマイナスでは目標には届いていないように思う。もし温水式床暖房やミストサウナなどがあり、お湯をよく使う家であれば、もっと発電量は上がっていくだろう。

■モトを取るという考えを捨て、環境貢献や災害時の安全対策と考える
もし、「モトが取れるかどうか」ということを重視したいなら、エネファームは向かないかもしれない。それよりも、災害時に役立つ機能があることや、少しでも省エネをして環境に貢献したいという考え方ができるなら導入の価値があると思う。

■エコ意識が高まる

これまで実際に使ってみてメリットに感じたことやデメリットに思ったことなどを挙げてみたが、一番良かったのは家族のエコ意識が高まったことだ。

エネファームのエネルックリモコン(画像提供:東京ガス)

エネファームのエネルックリモコン(画像提供:東京ガス)


わが家ではエネファームのモニターをリビングから見やすい位置に取り付けてもらった。モニターでは、毎日の発電量やCO2削減量などが一目でわかりやすく、色付きグラフで表示される。一日前の分も表示されるので「昨日と比べ今日はどうだったかな」とのぞく楽しみもある。また、家の中で現在使用(購入)している電気の量もわかるので、自然と節電意識が高まる。

各家庭でこのように使用しているエネルギーに興味を持つこと、節電意識を持つということが省エネにつながっていくことは明らかだ。エネファームを導入する一番のメリットはそんなところにあると思う。

 

これから導入が進む マンション用エネファーム

エネファームは比較的機械の設置スペースを必要とするため、これまでは主に戸建て住宅を中心に導入が進んできたが、これからはマンションに導入するケースも増えてくるだろう。その場合、外廊下やバルコニーに設置されることになる。もっと導入を増やすためには、エネファームの小型化や、見た目の美しさなども進化する必要があるだろう。


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