なんだかんだ言っても、収納である。

住宅雑誌の編集部にいた頃、
収納をテーマにすれば、ある程度、本は売れたものだ。
たくさんのお宅に伺って、さまざまな収納プランも取材したし、
建築家や収納アドバイザーの方々に、
収納プランの極意、アイデア、工夫などを聞いてきた。

そんなワタシが家を建てる時に意識したのは、
「見える」収納である。

憧れる収納方法は変化する

若い頃は、「見せる」収納に憧れた。お気に入りの食器や雑貨を棚に飾って、ディスプレイのように収納する。持ち物もそんなに多くなかったし、収納することを楽しめていたような気がする。でも、掃除は、大変だった、かな。

結婚してからは、扉を閉めれば全て納まるような「隠す」収納が魅力的に思えた。壁面いっぱいの収納やゆったりとしたウォークインクロゼットのある家がうらやましかったが、賃貸マンション暮らしでは、どうにもならず。

で、家づくりが現実的になった時には、そりゃ、もう、たっぷりとした収納スペースが欲しかったけれど、予算の関係でそんなに広い床面積の家は建てられないし、ギリギリ、2畳程度のウォークインクロゼットを確保するのがせいぜい。

でも、限られたスペースでも意識したのは、「見える」ことだ。

収納プランの基本には則って

収納の基本は、配置ということで考えれば、「使うところに、使うモノ」を収納すること。収納方法としては、「出しやすく、しまいやすい方法」で収納すること。家づくりやリフォームの際には、この基本さえおさえれば、細かい部分はあまり意識しすぎなくてもいいんじゃないかな、と個人的には思っている。とはいえ、この基本を押さえるのはなかなか難しい。

「使うところに、使うモノ」を収納できるスペースを確保できるか、間取りを検討している時点で家族の動きをどの程度イメージできるかが重要だし、イメージできたとしても、そこに「出しやすく、しまいやすい」収納をプランニングできるか、なかなか難しいものだと思う。

いろいろ考えてプランニングしても、住み始めてから、「ココにも収納スペースがあればよかった」「もっと、使いやすいような工夫をすればよかった」と思わない人の方が少ないんじゃないかな。

パッと「見える」ことが、わが家流

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キッチンの壁面収納。手前が扉を開けた食器棚、奥はオープンな棚に保存食等を収納している

わが家は50代の夫婦ふたり暮らしである。気を遣うお客様が多い訳でもない。なので、いかに、普段の生活がしやすいか、を重視した。収納も見た目よりは実質的な使い勝手が重要だった。

で、目指したのは、パッと見渡すと、どこに何があるのかわかるような、「見える」収納。ワタシも、オットも、すぐにわかるような収納方法だ。だから、リビングも仕事部屋も、キッチンも洗面室も扉をつけず、空間だけ、棚だけの収納スペースを確保した。もちろん、これはコストダウンの意味もあるのだけれど……。扉をつけたところも、開ければ全てを見渡せるようになっていて、たとえば、食器棚は天井までの一枚扉の引き戸。開ければ棚全部の食器を確認することができるのが気にいっている。

ワタシにとっては、使い勝手のいい「見える」収納も、ゴチャゴチャしていると思う人もいるだろうし、落ち着かないと感じる人もいるだろう。使いやすい収納方法は人それぞれ。基本はおさえつつ、さまざまな収納方法を参考にしながら、自分の収納方法を見つけていくしかないのではないかと思う。ワタシの場合も、今の条件の中では、ベストだと思っているけれど、これから年月を経れば、また変わっていくかもしれない。やっぱり収納は、誰にとっても、永遠のテーマなのだ。


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