住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

額に入れれば立派な家宝

両親から受け継いだ墨絵。新しい住まいで飾ってみたら、なんとなくしっくりこなくて……。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

両親から受け継いだ墨絵。
新しい家のリビングに飾ろうと思って、
プランニングの段階から、
壁に補強の下地を入れて欲しいとお願いしていた。

最近の額ならそうでもないんだけれど、
昔の額って感謝したいほどしっかりした木製の枠で、とっても重い。
ガラスだけでも結構な重量があるので、
下地の補強としっかりとした金具は必須かと。

で、無事、下地補強されたリビングの壁に納まったのだけど、
新しい壁には、なんか、もうひとつしっくりこない。
古いものなので、マット(額縁と作品の間を埋める厚手の化粧ボード)に
シミとかホコリとかあるし、ガラスも曇っているし、う~ん……。

額とマットで雰囲気は変わる

エッチング

オランダとベルギーでもとめた古いエッチング(1,000円程度のチープなもの)も立派に見える?!

悩んだ結果、これからもずっと飾っておきたいので、インテリアに合わせて額とマットを変えて、軽くしてもらうことにした。ついでに、旅行先で買ったエッチングも、いままで適当に飾っていたけれど、やっぱりちゃんと額装することに。

額屋さんに相談をすると、両親から受け継いだ墨絵は、「額はしっかりしているので、再利用しましょう。マットを新しくして、ガラスをアクリルに変えれば、すっきりするし軽くなりますよ」。旅先のエッチングも、購入した国は違うけれどイメージが似ているので、2枚をひとつの額におさめてもらうことになった。

たくさん置いてある額やマットの見本から、額装する作品に合ったものを選ぶのは、楽しいものの思いのほか難しい。内装材やカーテンを選ぶのと一緒かも。もちろん、予算もあるしね。

飾る場所の写真を持っていって、インテリアのイメージや希望する素材などを伝えて、いくつかおすすめのものをピックアップしてもらう。でも迷う……。結局、墨絵の方は濃目のマットを選んで引き締まった感じに、エッチングはアンティーク加工を施した額にオフホワイトの落ち着いた感じのマットを選んだ。

まぁ、素人考えであれこれ迷うよりも、プロのアドバイスを聞いた方が間違いはないように思うけれど。

思い出を額におさめれば、大切な家宝に

ハウスメーカーの子育て世代向けの住宅には、ファミリーギャラリーの提案をみることもある。リビングやファミリールームなどに、家族の写真や子どもの作品などを飾るスペースを設けたものだ。

成長の記録にもなるし、飾ってもらうことで歓びを感じることもあるだろうし、お客様がみえた時に話題になったりすることもあるし、住まいの中にそんなスペースを確保するのは、とてもいいことだと思う。もちろん、廊下、階段なんかを利用してもいい。

写真や作品をプッシュピンで留めるだけでも楽しいけれど、お気に入りの物はやっぱり額に入れて飾りたい。子どもの作品だけじゃなくて、趣味の作品はもちろん、旅行先の切手やポストカード、ワインラベルなんかも面白いし、額屋さんの話によると、刺繍や古い帯、スカーフなんかも額装することもあるとか。

好みの額におさめることで、愛着もわくし、家族の宝にもなるんじゃないかな。額屋さんって、少し敷居が高いかもしれないけれど、画材屋さんやデパート、ホームセンターでもコーナーを設けているところもあるので、気軽に相談してみるといいと思う。

安全面も配慮して

せっかく額に入れた家宝も、地震や何かのはずみでの落下したり、ガラスが割れてしまっては危険。最近は、ガラスではなくアクリルを入れることが多いようだけれど、わが家にのように昔の額はガラスだったりする場合も。

一般的な板ガラスに比べると、アクリル板は軽くて、衝撃にも強いし、紫外線による作品の傷みも少ないという利点もある。もし、手持ちの額がガラスであれば安全面を考えて、アクリルに変更することを検討した方がいいと思う。その際、一緒にマットを新しくするだけでも、ずいぶんと気分も変わるはず。


わが家の場合、中に入れるものの値段よりも、額の方が高い、なんてこともあるかもしれないけれど、大切なものであることには間違いないし、日々気持ちよく眺めることができるし、好みの額装に仕上げてもらって本当に大正解だった。次は何を額に入れようか画策しているけれど、小さな家にはもう飾るスペースはない。


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