住宅雑誌編集の激務(?)に耐えていた30代の頃。
深夜残業の妙なテンションの中、
「これだけ働いているのだから、
歳とったら、縁側のある家を建てて、
みんなで、お煎餅食べながら、お茶飲もうね」と、
仲間と、のんびりとした老後を夢見たものだ。

あの頃のワタシたちにとって、縁側でお茶、というのは、
現実の慌ただしさとは別世界のゆったりとした時間の象徴だった。

ウチとソトをつなぐ空間

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冬の縁側はやさしい光を得ることができる

縁側とは、和室の外側に面した側に設ける板敷の部分のこと。現在では、主に建物内部に設けられるものを指し、外部に設けられる雨ざらしのものは、濡れ縁と呼ばれることが多いようだ。

縁側の多くは、南向きの庭に向けて設けられ、部屋の延長として利用したり、普段の出入りに用いられる空間。太陽の光を浴びながら家事作業をしたり、本を読んだり。気軽に近所の方とお茶を飲んだり、おしゃべりしたり。猫が昼寝をしていたり。建物の内部と外部をつなぎ、多目的に使用することができる、曖昧な空間ともいえるだろう。

注目されている縁側

最近では、若い人の間でも、縁側空間が注目されているとか。自然の移ろいを感じることができる縁側の開放感、落ち着きのある板の間などが再認識されているようだ。何もせず、縁側に腰を掛け、時間を過ごすことが癒しになるという意見も。昔の日本ならではの空間に、懐かしさやあたたかさなどを感じる人が多いのだろう。

とはいえ、和室のある家も少なくなっている現在、新築やリフォームの際に、いわゆる縁側をプランニングすることは、現実的ではないかもしれない。しかし、縁側のような曖昧な空間、自然(ソト)を身近に感じることができるようなスペースは、暮らしにゆとりを与えてくれる空間のひとつではないかと思う。サンルームやデッキ、室内外の行き来がしやすいテラスや土間空間など、プランニングによっては、縁側に近い役割を持たせることもできるだろう。

縁を育てる、縁側

で、わが家の場合、設計を依頼した建築家のKさんから提案された最初のプランでは、1階和室の外には濡れ縁がプランニングされていた。それはそれで、いい雰囲気だったのだが、やっぱり、ワタシは畳敷きにつながる縁側が欲しかったので、無理を言って幅半間程の縁側を設けてもらった。

和室からは、障子越しの縁側の存在が部屋にゆとりを生み出すし、障子を開け放てば空間も広がる。庭仕事の際にはちょっと休憩もできるし、座布団も並べて干せる。冬場は、サンルームがわりに植物の鉢を置く空間にも。

そして、30代を共に過ごした仲間たちは、約束通り、縁側のある和室でお茶を飲みに来てくれる。縁側は、とってもいい縁を、育ててくれるスペースになのかもしれないな。


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