学生時代に世界観が変わるような海外体験を!

コルコバードのキリスト像

リオデジャネイロ、コルコバードのキリスト像とグアナバラ湾の絶景 (C) Artyominc

社会人になるとまとめて休みが取れなかったり、帰省などもあって長期の海外旅行に出掛けるのは難しくなってしまう。だからこそ、学生時代に行きたい場所に行っておくべきだし、世界を大きく広げるような体験をしておきたい。

今回紹介する10の世界遺産ルートのテーマは「圧倒的な大自然と人類の英知」。いずれのルートも一度の旅行で複数の世界遺産を訪ねることができて、自然と文化の両面の魅力を高いレベルで兼ね備えている。場合によっては自分の価値観さえも書き換えてしまうような衝撃的な体験ができるはずだ。

これらの旅を通して人生の舞台であるこの地球のすばらしさと、人間が秘めている可能性の大きさを体感してほしい。

なお、海外旅行を計画する際はテロや犯罪などについて最新の情報を集めるように心掛けたい。外務省の海外安全ホームページや口コミサイトを定期的にチェックしておこう。

[関連サイト]

1. 安・近・短でもインパクトは最大級! 万里の長城&紫禁城

万里の長城

峰に沿って高さ7~8m、幅5~10mの城壁が連なる万里の長城の絶景

中国歴代王朝で最強を誇った明と清。首都・北京には殷の時代から続く中国四千年の英知が詰め込まれた。その象徴が万里の長城と紫禁城だ。

万里の長城は2000年以上にわたって築かれた歴代総計5万kmともいわれる世界最長の城壁。北京近郊には首都を守るために建造された明代の堅固かつ華麗な長城群が残されている。八達嶺や居庸関が有名だが、ガイドがオススメするのは滑らかで優美な姿で魅せる慕田峪と、荒々しくて湖にかかる姿が神々しい司馬台。いずれも北京市内からツアーや旅游バスなどで訪れることができる。

北京のもうひとつのハイライトは皇帝の居城・紫禁城だ。こちらは故宮博物院として公開されており、世界最大の広場である天安門広場から南北961m、東西753mにわたって展開し、太和殿や保和殿をはじめとする豪華絢爛な建物が連なっている。

北京では他にも皇帝のパワースポット・天壇、皇帝の陵墓である明十三陵、皇室庭園・頤和園などの世界遺産を訪ねることができる。

■北京近郊の世界遺産
    天壇公園の祈年殿

    神秘的な造形で魅せる天壇公園の祈年殿

  • 万里の長城
  • 北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群
  • 天壇:北京の皇帝の廟壇
  • 明・清朝の皇帝陵墓群
  • 頤和園:北京の皇帝の庭園
  • 周口店の北京原人遺跡
[関連記事]

2. 中国最高峰の名山と水郷、黄山&蘇州・杭州

黄山四絶のひとつ、雲海

つねに形を変える黄山四絶のひとつ、雲海

中国には数多くの名山があるが、その中でも「筆頭」とされるのが黄山だ。その景観の多彩さから「天下の名勝、黄山に集まる」とたたえられ、特に奇松・怪石・雲海・温泉は黄山四絶と称されている。気象条件さえそろえば中国のイメージ通りの絶景が楽しめる。

そして黄山の麓には中国の古村落、西逓と宏村がある。西逓は桃源郷を思わせるのどかな景色から「桃花源里人家」、宏村は人々が絵にしたくなる村ということで「中国画里郷村」と呼ばれ、中国十大名鎮にも選ばれている。

黄山を訪ねる場合、上海や杭州を起点とするのが一般的だ。その場合、ぜひ蘇州と杭州に足を伸ばしていただきたい。蘇州は「東洋のベネチア」と称される水郷、杭州はマルコ・ポーロが「世界でもっとも美しい街」とたたえた水の都。前者には「蘇州古典園林」、後者には「杭州西湖の文化的景観」「中国大運河」という世界遺産がある。

上海→蘇州、蘇州→杭州はバスで2~3時間。杭州→黄山はバスで6時間ほどで、飛行機や電車でも訪問可能だ。

■黄山~上海近郊の世界遺産
    杭州西湖の文化的景観の西湖

    湖水風景と霧で知られる世界遺産「杭州西湖の文化的景観」の西湖 (C) Peter Dowley

  • 黄山
  • 安徽南部の古村落-西逓・宏村
  • 蘇州古典園林
  • 杭州西湖の文化的景観
  • 中国大運河
[関連記事]

3. 神の景色、アンコール&プレア・ヴィヒア

プレア・ヴィヒア

古代から聖域として崇められてきた神の景観、プレア・ヴィヒアの絶景

マチュピチュやモンサンミッシェルと並ぶ超A級世界遺産「アンコール」。女神たちの彫刻やレリーフで彩られたアンコール・ワット、巨大な仏顔塔で覆われたバイヨン、熱帯の木々が絡みついたタ・プローム等々、単独でも世界遺産級の遺跡が数十も点在する規格外の古代遺跡だ。

そして2015年辺りから急速にその名を高めているのがカンボジアのもうひとつの世界遺産「プレア・ヴィヒア寺院」。アンコール朝の遺跡は四角形をしていることが多いのだが、この遺跡は聖域に向かって一直線にレイアウトされている。その最奥部に控えているのがカンボジア平原を見下ろす聖なる景観だ。

これ以外にも、苔むした遺跡・ベンメリア、登頂可能なピラミッド・コーケー、ジャングルの中にたたずむサンボー・プレイ・クックなども世界遺産を目指しており、いずれもシェムリアップからツアーが出ている。

■シュムリアップ近郊の世界遺産
    バイヨンの四面仏岩塔

    四面に巨大な菩薩像が描かれているバイヨンの四面仏岩塔

  • アンコール
  • プレア・ヴィヒア寺院
[関連記事]

4. 異世界の景色! イスタンブール&カッパドキア

カッパドキアの奇岩群

「妖精の煙突」と呼ばれるカッパドキアの奇岩群。こうした岩の下には妖精が住むと伝えられている

トルコがあるアナトリア地方はヨーロッパとアジアをつなぐ要衝で、古来さまざまな文化が交錯してきた。特に、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国の首都として1600年ものあいだ君臨しつづけたイスタンブールは各地の文化を吸収し、世界でもっとも華麗な都として花開いた。アヤ・ソフィアやブルー・モスクをはじめ、ビザンツ・ロマネスク・イスラム・新古典主義等々、さまざまな建築様式の傑作が立ち並んでいる。

一方、中世のキリスト教徒たちは聖像破壊運動やイスラム教徒の支配が広がると、「妖精が暮らす」と伝えられるカッパドキアの奇岩群の中に教会や修道院を築いて隠れ住んだ。信じがたい奇観が楽しめるだけでなく、妖精のように気球から眺め下ろしたり、奇岩の中の洞窟ホテルに泊まることもできる。

カッパドキアの南西220kmほどには石灰棚とローマ遺跡で知られるパムッカレがある。こちらは石灰棚の奇観で、カッパドキアとはまた異なる趣がある。

イスタンブール-カッパドキア-パムッカレはトルコ旅行のゴールデン・トライアングルで、その周囲にもエフェソスやペルガモンをはじめとする多数の世界遺産が点在している。

■イスタンブール~カッパドキア近郊の世界遺産
    ガラタ塔から眺めたイスタンブール歴史地区

    ガラタ塔から眺めたイスタンブール歴史地区

  • イスタンブール歴史地域
  • ブルサとジュマルクズック:オスマン帝国発祥の地
  • ペルガモンとその重層的な文化的景観
  • トロイの古代遺跡
  • エフェソス
  • サモス島のピタゴリオンとヘラ神殿
  • ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群
  • ヒエラポリス-パムッカレ
[関連記事]

5. まさにジブリの世界! ドブロブニク&プリトヴィッチェ湖群

「アドリア海の真珠」ドブロブニク

「アドリア海の真珠」と評されるドブロブニク。キキやポルコが飛んできそうな絶景だ

アニメ『紅の豚』や『魔女の宅急便』の舞台あるいはモデルとして知られるアドリア海。抜けるような青い空、複雑な海岸線、点在する島々、オレンジ屋根&白壁の絶景は、映画で見る街並みよりもはるかに鮮烈で印象的だ。

海岸線と平行して島々が連なる地形をダルマチア式という。クロアチアには南北500kmにわたってダルマチア式の海岸線が延びており、周辺には無数の絶景が展開している。世界遺産だけでも、北からシベニク、トロギール、スプリット、ドブロブニク、コトルと魅力的な古都が目白押しだ。

ハイライトはもちろんドブロブニク。しかし、このような土地なのでドブロブニクに直接入るよりも、首都ザグレブを起点に海岸沿いに下っていくルートをオススメしたい。そしてザグレブ近郊でぜひ立ち寄っていただきたいのがプリトヴィッチェ湖群だ。

森林に点在するエメラルドグリーンの滝や湖は中国の九寨溝にも劣らない絶景で、湖水風景としては世界でも一・二を争う美しさ。海だけでなく、こうした山の絶景も楽しめるのがこのルートの特徴だ。

■ドブロブニク~プリトヴィッチェ近郊の世界遺産
    プリトヴィッチェ湖群国立公園

    クロアチアでドブロブニクと人気を二分するプリトヴィッチェ湖群国立公園の湖水風景

  • ドブロブニク旧市街
  • コトルの自然と文化-歴史地域
  • モスタル旧市街の古橋地区
  • スプリットの史跡群とディオクレティアヌス宮殿
  • 古都トロギール
  • シベニクの聖ヤコブ大聖堂
  • スタリー・グラード平原
  • プリトヴィッチェ湖群国立公園
[関連記事]

6. さらに美しくなったモンサンミッシェル&花の都パリ

「洋上の城」モンサンミッシェル

「洋上の城」モンサンミッシェル。できれば島内のホテルに一泊して夜景や潮の満ち引きを体感しよう!

孤島に築かれた大聖堂や城塞で知られるモンサンミッシェル。しかし、19世紀に建設された堤防道路によって潮の流れが妨げられて、周囲に土砂が3mも堆積してしまった。その結果、満潮時を除けば海というより砂に囲まれた景観になってしまっていたのだが、2014年に堤防道路が撤去され、潮の流れが復活した。

土砂が排出されるまで数年かかるといわれていたが、3年が経過する2017年にはかなり状態が回復すると見られている。特に潮位が12.85mを超える満潮時には、新たに設置された橋も一部水没して完全な孤島に戻る。2017年は以下の日の満潮時にその瞬間が訪れる(時間は要確認。水没している間、通行も遮断されるので要注意)。

■満潮時の水位が12.85mを超える日(2017年)
  • 3/29-30、4/27-28、5/26-27、10/7、11/5-6、12/5-6
モンサンミッシェルへの旅行の場合、一般的な玄関口はフランスの首都パリ。そしてパリ周辺には日帰りで訪ねられる多くの世界遺産が存在する。特にオススメしたいのは、世界でもっとも美しいステンドグラスで知られるパリのサント・シャペルと、「宮殿の中の宮殿」ベルサイユ。このふたつを訪ねてフランス王国の絶頂期を体感しよう。

■モンサンミッシェル~パリ近郊の世界遺産
    サント・シャペル

    パリのシテ島に位置するサント・シャペル。シテ島にはポン・ヌフ、ノートル・ダム大聖堂など見所が多い (C) Didier B

  • モンサンミッシェルとその湾
  • ル・アーヴル、オーギュスト・ペレによる再建都市
  • シャルトル大聖堂
  • パリのセーヌ河岸
  • ル・コルビュジエの建築作品
  • ベルサイユの宮殿と庭園
  • フォンテーヌブローの宮殿と庭園
  • 中世市場都市プロヴァン
[関連記事]

7. 20億年の歴史! グランドキャニオン&メサ・ヴェルデ

グランドキャニオン

深さ1.2km、全長450kmに及ぶ大渓谷、グランドキャニオン

ラスベガス近郊に広がる直径500kmほどのグランドサークル。この中には数十億年にわたる地球の地殻変動や風雨の浸食によって生み出されたバリエーション豊かな絶景が点在している。ピンクの峡谷で知られるアンテロープ・キャニオン、聖地ザイオン、パワースポット・セドナ、SF映画のロケ地・モニュメント・バレーなどが一例だ。

この中でハイライトとなるのがグランドキャニオンだ。20億年前までさかのぼる地層が6500万年かけて隆起し、コロラド川が1000万年かけて掘り下げた大渓谷で、その圧倒的なスケールは他に類するものがない。

そしてグランドサークルに残る先住民族アナサジ族の住居跡がメサ・ヴェルデだ。紀元前後から伝わる伝統集落で、断崖絶壁を掘り抜き、日干しレンガを積み上げて数十~数百人が暮らす集合住宅を築き上げた。周囲の絶景と調和した姿が実に見事。

グランドサークルではこうした偉大な景色を自由に組み合わせて独自のルートを楽しみたい。

■グランドサークル周辺の世界遺産
    メサ・ヴェルデのクリフ・パレス

    250人が暮らしていたというメサ・ヴェルデの半岩窟住居、クリフ・パレス

  • グランドキャニオン国立公園
  • メサ・ヴェルデ国立公園
  • チャコ文化
  • プエブロ・デ・タオス
[関連記事]

8. ビーチリゾートと古代遺跡、チチェン・イッツァ&シアン・カアン

チチェン・イッツァのエル・カスティーヨ

羽毛を持つ蛇の神ククルカンを祀ったチチェン・イッツァのピラミッド型神殿、エル・カスティーヨ

メキシコ・ユカタン半島には川がない。降った雨は石灰岩台地を通り抜けて地下に浸透してしまうからだ。そのため海が濁らず、透明度30~50mという美しい海を年中楽しむことができる。カリブ海のビーチリゾートでオススメしたいのがカンクンだ。ビーチはもちろんダイビングやスノーケリングも堪能できるメキシコのトップリゾートだ。

カンクンから西180kmにはチチェン・イッツァがあり、バスやツアーが頻繁に出ている。ここには中央アメリカでもっとも美しいピラミッドがあり、典型的なマヤ世界が広がっている。

カンクンの南約200kmには自然遺産シアン・カーンがある。遺跡が潜むジャングルやマナティーが生息するマングローブ林を探検するツアーが催行されているほか、近郊のグラン・セノーテでは真っ青な地下河川を探検するスノーケリング・ツアーが人気だ。

■カンクン周辺の世界遺産
    シアン・カアン生物圏保護区

    透明度がけた外れに高いシアン・カアン生物圏保護区の海岸

  • 古代都市チチェン・イッツァ
  • 古代都市ウシュマル
  • シアン・カアン
[関連記事]

9. 憧れの空中都市マチュピチュ&聖都クスコ

マチュピチュ

尾根に築かれたマチュピチュ(年老いた峰)の絶景。正面の山はワイナピチュ(若い峰)

世界遺産ランキング1位の常連、マチュピチュ。ペルーは遠いし航空券も安くはないが、マチュピチュ単独でもその価値が十分にあるうえに、周辺にはマチュピチュに劣らない観光地がいくつも存在する。

ペルーの玄関口は首都リマで、歴史地区にはリマ大聖堂やサン・フランシスコ修道院といった植民地建築の最高傑作といわれる建物が建ち並ぶ。リマの南350kmほどにはナスカの地上絵があり、リマから日帰り旅行も可能だ。

マチュピチュへの起点はインカ帝国の首都クスコ。「カミソリ一枚通さない」というインカ時代の石組みや、純銀製の祭壇で知られるクスコ大聖堂など、こちらも見所は多彩。

時間がある人はボリビアのチチカカ湖や、鏡張りの絶景で知られるウユニ塩湖に立ち寄るのもおもしろい。陸路移動の場合、クスコからウユニ塩湖まで2~3回の乗り換えと計25時間以上のバス旅が必要になるが、車窓もすばらしいし、現地の方々と触れ合うこともできて思い出深い旅になるだろう。

■リマ~クスコ間の世界遺産
    クスコの12角の石

    クスコの見所のひとつ、12角の石。石は大きさも形も違うのに、隙間はまったくない

  • リマ歴史地区
  • 聖地カラル-スーぺ
  • ナスカとフマナ平原の地上絵
  • アレキパ市歴史地区
  • クスコ市街
  • アンデス道路網、カパック・ニャン
  • マヌー国立公園
  • マチュピチュの歴史保護区
[関連記事]

10. 世界最大の驚異! イグアスの滝&リオデジャネイロ

イグアスの滝のハイライト、悪魔の喉笛

イグアスの滝のハイライト、悪魔の喉笛

これまで250を超える世界遺産を訪ねたが、個人的に「絶対外さない」と言い切れる世界遺産がイグアスの滝だ。ナイアガラ、ヴィクトリアと並ぶ世界三大瀑布のひとつだが、川幅・水量ともに他のふたつをはるかに凌駕する。

アルゼンチン側、ブラジル側、それぞれ世界遺産に登録されており、両者はバスで気軽に往復することができる。遊歩道を歩くだけでなく、滝に突っ込むボートツアーやラフティング、ヘリコプター遊覧、ジャングル探索など、アトラクションも豊富。いずれも一生ものの体験になるだろう。

日本から訪ねる場合、ブラジルのサンパウロやリオデジャネイロに入るのが一般的だ。オススメは世界遺産に登録されているリオデジャネイロ。新・世界の七不思議に選ばれたコルコバードのキリスト像のほか、コパカバーナやイパネマといったビーチ、サンバやボサノヴァなどの音楽、カテドラル・メトロポリターナなどの現代建築など見所は多彩だ。なお、有名なリオのカーニバルの日程は以下(要確認)。

■リオのカーニバル日程
    コルコバードのキリスト像

    高さ約40m、手の幅約30m、重量約650tを誇るコルコバードのキリスト像。近くで見るとその大きさに圧倒される (C) Chensiyuan

  • 2017年:2/24-28、2018年:2/9-14
■イグアスの滝~リオデジャネイロ間の世界遺産
  • イグアス国立公園
  • サウス-イースト大西洋岸森林保護区群
  • リオデジャネイロ:山と海の間のカリオカの景観

[関連記事]