モンサンミッシェルの一日

朝焼けのモンサンミッシェル

朝焼け、満潮時のモンサンミッシェル。時間によって、季節によって、モンサンミッシェルとそれを取り囲む自然は刻一刻とその姿を変える

世界遺産で「天空の城」といえばマチュピチュ、「洋上の城」といえばモンサンミッシェルだ。古くから聖地として崇められ、大天使ミカエルがしばしば舞い降りたというその島は、鼓動のように繰り返す潮の満ち引きに洗われて、聖地と呼ぶにふさわしい荘厳なたたずまいで魅了する。

今回はフランスの世界遺産「モンサンミッシェルとその湾」を紹介する。まずはモンサンミッシェルのある一日をご紹介しよう。

命あふれるモンサンミッシェル

干潟とサントベール礼拝堂

モンサンミッシェルから見た干潟とサントベール礼拝堂。馬で干潟ツアーに出掛けるグループもいる。数多くの生命を育む干潟はラムサール条約登録地でもある

プレ・サレから見たモンサンミッシェル

プレ・サレから見たモンサンミッシェル。朝は羊がうろついている

朝、プレ・サレと呼ばれる草原地帯からモンサンミッシェルを眺める。モンサンミッシェルが朝焼けの空から黒くぽっかり抜け落ちている。やがて太陽が水平線から顔を出し大地を照らすと、モンサンミッシェルは「洋上のピラミッド」といわれるその雄大な姿を現す。

どこからともなく無数の羊がやってきて、プレ・サレの草をムシャムシャ食べながら歩き去る。子羊がかわいくて追いかけていると、母羊なのか父羊なのか、一頭の大きな羊が立ちふさがって邪魔をする。

海に出てみると、海水がみるみる沖へ沖へと流されていく。さっきまで海の中にポツリと立っていたモンサンミッシェルは、すっかり干潟に囲われている。

 

潮の引いた干潟をよく見てみると、そこには無数の穴、穴、穴。そんな穴々からカニが恥ずかしそうに顔を出し、ヤドカリがヨタヨタ歩き、貝が空中に勢いよく潮を吹いている。これらの生き物を狙って鳥たちが干潟に舞い降り、そんな鳥たちを追って子供たちが駆け回る。ひっそりしていた朝のモンサンミッシェルは、いつのまにか生命で大にぎわいだ。

モンサンミッシェルに海が来る!

海から眺めたモンサンミッシェル

海から眺めたモンサンミッシェル。モンサンミッシェルへ続く道路のちょうど反対側に当たる

満潮時のモンサンミッシェル

こちらは満潮時のモンサンミッシェル

楽しくなってきたので干潟を歩いて沖まで行ってみようとモンサンミッシェルをぐるり回って裏側に出る。モンサンミッシェルって海から眺めることもできたのね。感無量!

はるか沖にポツンと立っている小島まで行ったりしているうちに、いつの間にかさっきつけた足跡が海水にかき消されている。たくさんの修道士が潮に流されたという伝説を思い出し、大あわてでモンサンミッシェルへと駆け戻る。

静かに満ちはじめた潮はやがて滝のような勢いで打ち寄せて、川の流れを押し戻し、上流へ上流へと駆け上がる。

 

驚異の建築=ラ・メルヴェイユ

まるで城のような修道院。こちらはら驚異の建築=ラ・メルヴェイユ

モンサンミッシェルの海は心臓の鼓動のように干潮と満潮を規則正しく約6時間ごとに繰り返す。その旋律は月の動きと連動し、鼓動は毎日およそ50分ほどずれていき、だいたい30日で元の時間へ戻ってくる。このサイクルを1か月という。

人の手で築き上げたもっとも美しい建造物のひとつといわれるモンサンミッシェルは、海と空、人と自然のまん中で、この世界の不思議を物語る。

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