「世界3大がっかり」ってなんだ?

マーライオン・パーク周辺の絶景

シンガポールのマーライオン・パーク周辺の絶景。中央奥の建物が屋上プールで有名なマリーナ・ベイ・サンズ。毎晩行われている光と水のシンフォニー「スペクトラ」も見ものだ

楽しみにしていた海外旅行。ところが行ってみたらがっかりだった! ……そんなことにならないように、事前にがっかり具合を知っておこう。今回は「世界3大がっかり」から「世界がっかりランキング」「がっかり世界遺産」まで、世界のがっかり名所を紹介する。

まずは「世界3大がっかり」を紹介しよう。日本で広く知られている3大スポットだ。ちなみに、いずれも世界遺産ではない。
マーライオン

ライオンの頭と魚の身体を持つマーライオン。付近にはもう1体、全長2mのミニ・マーライオンが潜んでいる

■シンガポールのマーライオン(シンガポール)
世界3大がっかりの筆頭といわれた高さ8.6mのマーライオン。実はこれ、移転されるまで橋の横にあって景色も悪く、故障で口から水も出していなかった。

ところが風水で占った結果、2002年に現在のマーライオン・パークに移転。周辺の開発が進み、2010年にマリーナ・ベイ・サンズがオープンすると、一気に東南アジア屈指の夜景スポットに変貌を遂げた。悪評も過去の話。周囲の景観も含めれば、最近の評判はそれほど悪いものではない。

実はシンガポールには7体のマーライオンがある。もっとも大きいのは高さ37mのセントーサ島マーライオン・タワーで、口の中や頭の上からマラッカ海峡を望むことができる。
衣装に身を包んだ小便小僧、ジュリアン坊

衣装に身を包んだ小便小僧、ジュリアン坊

■ブリュッセルの小便小僧(ベルギー)
身長56cmと小さく、噴水場自体もたいしたものではない。正直、東京の浜松町や名古屋の栄区にある小便小僧とあまり変わらない。

ただ、イベントがあるたびにさまざまな衣装に着替えたり、水ではなくてビールを出すこともあるというから侮れない。すぐ近くにある世界遺産「ブリュッセルのグランプラス」の市立博物館には900着以上の小便小僧の衣装が保管されている。世界遺産と合わせて楽しめば、それほどがっかりもしないはず。 

実は近くに小便少女なる像がある。こちらこそ、いろんな意味でがっかりすること間違いなし!
人魚姫像

人魚姫像。夜景をバックに、下からあおるように撮影すると悪くない

■コペンハーゲンの人魚姫像(デンマーク)
アンデルセンの童話『人魚姫』をモチーフとした高さ1m25cmの像。小さいうえに背景は工場、にもかかわらず観光客でごった返している。特に観光船から見ると、小さくて何がなんだかよくわからないうえに、背景は観光客だ。

すぐ側まで近づけるので写真は撮りやすいが、その分、落書きされたり色を塗られたり、首や腕を切断されるといった残念な被害にもよくあっている。海岸沿いの散歩道とパステルカラーの家並みは美しいので、そちらをメインに楽しもう。
 

3つの世界がっかりランキング

ギザのピラミッド

ギザのピラミッド。ピラミッド自体の評価は低くはないが、周辺が普通の街で、客引きが非常にしつこいことで知られている

海外ではどんな場所ががっかりされているのだろう? 海外で選出された "disappointing(残念)" あるいは "overrated(過大評価)" な名所のランキングを3つ紹介しよう。括弧内は国名・都市名、世界遺産名。

■TheTravel.com "The World’s Most Disappointing Tourist Attractions"
まずは月400万人の読者を持つカナダの "TheTravel.com" が2018年11月に発表した「もっとも残念な観光名所(時間の無駄)」がこちら(記事では26か所を選んでいるがベスト10を掲載)。
  1. エンパイア・ステート・ビルディング(アメリカ・ニューヨーク)
  2. パトン・ビーチ(タイ・プーケット)
  3. トレヴィの泉(イタリア・ローマ、ローマ歴史地区)
  4. シドニー・オペラハウス(オーストラリア・シドニー、シドニー・オペラハウス)
  5. チチェン・イッツァ(メキシコ・メリダ近郊、古代都市チチェン・イッツァ)
  6. 紫禁城・故宮博物院(中国・北京、北京と瀋陽の明・清朝の皇宮群)
  7. ギザのピラミッド(エジプト・カイロ近郊、メンフィスとその墓地遺跡)
  8. パリのノートル・ダム大聖堂(フランス・パリ、パリのセーヌ河岸)
  9. タイムズスクエア(アメリカ・ニューヨーク)
  10. ホビトン・ムービー・セット(ニュージーランド・マタマタ近郊)
カプリ島の青の洞窟

カプリ島の青の洞窟。潮や波の状態によってツアーは中止になってしまう。訪ねられるか否かはスケジュールと運次第

■UCity Guides "Most Overrated Tourist Attractions"
続いて世界中の観光情報を発信しているUCity Guidesが2014年に発表した編集部選「もっとも過大評価な観光名所」ベスト10を紹介しよう。
  1. 人魚姫像(デンマーク・コペンハーゲン)
  2. 小便小僧(ベルギー・ブリュッセル)
  3. ラスベガス(アメリカ・ラスベガス)
  4. 大観覧車ロンドン・アイ(イギリス・ロンドン)
  5. サンフランシスコのケーブルカー(アメリカ・サンフランシスコ)
  6. テンプル・バー(アイルランド・ダブリン)
  7. ハリウッドのウォーク・オブ・フェーム(アメリカ・ロサンゼルス)
  8. フィッシャーマンズ・ワーフ(アメリカ・サンフランシスコ)
  9. マダム・タッソー蝋人形館(イギリス・ロンドン)
  10. 青の洞窟(イタリア・カプリ島)
ピサのドゥオモ広場

ピサのドゥオモ広場。左が洗礼堂、中央奥が大聖堂、右が鐘楼でいわゆるピサの斜塔。周囲は斜塔を支える写真を撮る観光客だらけ

■Escape Here "10 Most Overrated Attractions"
最後に、地球の驚くべきスポットを紹介しているEscape Hereが2014年に選んだ「10のもっとも過大評価の名所」がこちら。
  1. ピサの斜塔(イタリア・ピサ、ピサのドゥオモ広場)
  2. ピラミッド(エジプト・ギザ他、メンフィスとその墓地遺跡-ギザからダハシュールまでのピラミッド地帯)
  3. プラハ(チェコ・プラハ、プラハ歴史地区)
  4. ネス湖(イギリス・ハイランド)
  5. ストーンヘンジ(イギリス・ソールズベリー、ストーンヘンジ・エーヴベリーと関連する遺跡群)
  6. 青の洞窟(イタリア・カプリ島)
  7. ハリウッドのウォーク・オブ・フェーム(アメリカ・ロサンゼルス)
  8. テンプル・バー(アイルランド・ダブリン)
  9. ロンドン・アイ(イギリス・ロンドン)
  10. ラスベガス・ストリップ(アメリカ・クラーク)

有名な観光地が続々とランクインしている。タイムズスクエアやウォーク・オブ・フェームあたりは映画やTV等で思い入れがある人でなければそれほど感動しないのかもしれない。

ピラミッドやピサの斜塔をはじめ有名な世界遺産もランクインしているが、理由の多くは混雑がひどく、周辺が観光開発されているため。ピラミッドの周辺にはピザハットやケンタッキーフライドチキンがあり、客引きもウザいと書かれており、パリやピサ、チチェン・イッツァも似たような理由だ。プラハなどの都市の場合は「他にも似たような都市は多い」としている。

ただ、個人的にはピラミッドやプラハ、チチェン・イッツァはベストな世界遺産のひとつなので、人によるのだろう。次のページではがっかりで有名な世界遺産を紹介しよう。

がっかりで名を馳せる「がっかり世界遺産」

ストーンヘンジ

紀元前3000~前1500年頃まで約1500年間にわたって聖地として崇められてきたというストーンヘンジ

いまや千件以上も存在する世界遺産。いずれの世界遺産も条約がいう「顕著な普遍的価値」があるのはわかるのだが、知識がない観光客が訪れて楽しめるとは限らない。ここではしばしばがっかり世界遺産に挙げられる物件を紹介していこう。

■ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群(イギリス)
フェンスに囲まれて近づけないし、思ったほど大きくない。ハイウェイの渋滞風景が見えるし、人が多くてよい写真を撮るのもひと苦労。そんな理由で酷評されることが多い。ただ、個人的には歴史的な意義に加えて、美的価値も高いと思う。
シドニー・オペラハウス

シドニー・オペラハウス。シドニーのポート・ジャクソン湾は世界3大美港のひとつ。夜景と合わせればすばらしい景色が楽しめる

■シドニー・オペラハウス(オーストラリア)
「近づくと汚い」「音が悪い」「意外と小さい」「中は普通」との評価も少なくない。都市に住んでいて現代建築に見慣れている人にはあまり驚きはないのかもしれない。この中でオペラやコンサートなどを聴くとその真価がわかるかもしれない。

■ヒエラポリス-パムッカレ(トルコ)
純白の石灰棚をイメージしていたのに、水が少なくて土やコケが目立つ時期や場所があり、石灰棚の上にはホテルも見える。でも、すべての石灰棚がそんな状態ではないし、ローマの円形劇場もあれば遺跡が沈んだプール(パムッカレ・テルメル)で泳ぐことだってできる。
ローレライの岩山

ローレライの岩山。ラインガウのワインでも飲みながら悲劇の物語をのんびり聞いているくらいがちょうどいい

■ローレライ(ドイツ)
世界遺産「ライン渓谷中流上部」の構成資産で、ロマンティック・ラインと呼ばれる川下りの見所のひとつ。でも、他の山となんら変わりない普通の岩山で、指摘されなければわからないまま通りすぎてしまう。川下りの見所は多いので、ここに固執する必要もないだろう。

■ナスカとフマナ平原の地上絵(ペルー)
セスナで上空から見るのだが、「小さい」「薄い」「揺れる」ということで、確認できる地上絵はほんの少しだったりする。セスナは旋回を繰り返すので、酔ってしまって見学どころではないという人も。酔い止めを持っていくのはもちろん、事前にある程度、地上絵の形を予習しておこう。
九寨溝

九寨溝の絶景。かつてはハイシーズンの殺人的な人出で知られていたが、現在は入場者の制限を行っている

■九寨溝の渓谷の景観と歴史地域(中国)
中国人にも大人気で、ハイシーズンは大混雑することで知られている。遊歩道以外はほとんど立入禁止なのでよい写真は撮れるのだが、撮影している周囲では割り込みや通行妨害のために怒号が飛び交っていたりする。現在は入場制限を行っているので、ハイシーズンに行く際は早めに入場する必要がある(要確認)。
マダラの騎士像

「え、これだけ?」といわれることの多いマダラの騎士像。周囲にさまざまな遺跡があるので、合わせ技で楽しみたい

■マダラの騎士像(ブルガリア)
断崖に刻まれた3×2.5mの騎士像。苦労して行ったのに、大きいわけでも緻密であるわけでもない。地上23mほどの位置にあるので近づけもせず、ひと目で見学が終わってしまう。英雄テルヴェルの像といわれるが、実はその確証もない。

■シュトゥルーヴェの三角点アーチ観測地点群(ウクライナ/エストニア/スウェーデン/ノルウェー/フィンランド/ベラルーシ/モルドバ/ラトビア/リトアニア/ロシア)
天文学者シュトゥルーヴェが経線を測量した34の観測地を登録した世界遺産。なかには小さな穴が穿たれているだけ、小さな記念碑が置いてあるだけなんていう場所もある。こうした世界遺産は見た目一発で感動することはできないので、その歴史を学んでから訪ねるようにしたい。

最初に書いたように、「がっかり」というのはイメージと現実のギャップから引き起こされる感情だ。だから事前にがっかり具合を知ることがひとつの解決法だ。

もう一つの解決法は、その名所の背景を知ることだ。特に世界遺産には必ず美的価値や学術的価値があり、背景に壮大なドラマが横たわっている。事前に登録理由などを調べていくことをオススメする。

最後に、個人的にではあるけれどもっとも「がっかりしない」世界遺産を紹介しておこう。ブラジル・アルゼンチン双方で世界遺産登録されているイグアスの滝(イグアス国立公園)! これは間違いありません!!

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