世界最大の滝 イグアス国立公園

イグアス。グアラニー語で「大なる水」。ナイアガラ、ヴィクトリアと並んで世界三大瀑布(ばくふ=滝)と呼ばれるイグアスの滝は、高さこそ80mと、100mを超えるヴィクトリアの滝に及ばないものの、川幅2.7km、36億リットル/分の水量は、他のふたつの滝をはるかに凌駕する。

今回はアルゼンチン、ブラジルそれぞれで世界遺産登録されている「イグアス国立公園」を紹介しよう。

恋するふたりをつなぐイグアスの虹

ブラジル側から見たイグアスの滝のハイライト、悪魔の喉笛。酸化鉄からなるラテライトが混ざり込んだ赤い水の流れ、濃い青空に舞い上がるまっ白な水煙、そして7色の虹 ©牧哲雄

ブラジル側から見たイグアスの滝のハイライト、悪魔の喉笛(のどぶえ)。酸化鉄からなるラテライトが混ざり込んだ赤い水の流れ、濃い青空に舞い上がるまっ白な水煙、そして7色の虹 ©牧哲雄

まずはイグアスの滝に伝わる美しい伝説をお伝えしよう。

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昔々、イグアス川にはムボイと呼ばれる大蛇の神が住んでいた。川岸に住む人々はこのムボイを鎮めるために、春になると村の美しい娘をムボイの妻として捧げていた。次の生け贄に選ばれたのが村いちばんの美女、ナイピ。

連なる滝と虹 ©牧哲雄

滝壺へと伸びる虹 ©牧哲雄

でも、ナイピにはタロバという恋人がいた。引き裂かれる痛みに耐えきれず、ふたりはカヌーを漕ぎ出し、村を逃げ出してしまう。

この仕打ちに激怒したムボイは巨大な尾を振り回して川をズタズタに引き裂くと、ふたりのカヌーはこのときできたイグアスの滝に飲み込まれてしまう。ムボイはふたりを救い出すが、嫉妬深いムボイはナイピを滝壺の岩に、タロバをヤシの木に変身させて、ふたりを見張り続けている。

ふたりの悲しみに心を打たれた善の神は、よく晴れた日中、ふたりの間に虹を架ける。ふたりの熱い想いはこの虹を伝わって、恋する人のもとへと届けられるのだという。

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晴天ならば、太陽と逆方向にいつでも観察できるイグアスの虹。条件がよければ満月の夜、闇に浮かぶ虹を見ることもできる。伝説では、その虹には命を蘇らせる力があり、見た者を幸せにするという。