世界遺産/アジアの世界遺産

エフェソス/トルコ

地中海に点在する古代ローマ遺跡の中でも随一の美しさを誇る古代都市エフェソス。その周辺には「世界の七不思議」に選出されたアルテミス神殿跡や、パワースポットで知られる聖母マリアの家、使徒ヨハネ最期の地・聖ヨハネ教会など数多くの見所が点在する。今回は2015年に世界遺産登録されたばかりのトルコの世界遺産「エフェソス/エフェス」を紹介する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

見所多彩なトルコの世界遺産「エフェソス/エフェス」

セルシウス図書館と、マゼウスとミトリダテスの門

左が世界遺産「エフェソス」のランドマーク、セルシウス図書館。右はマゼウスとミトリダテスの門

トルコの世界遺産といえば世界遺産ランキングの常連でもある「イスタンブール歴史地域」「ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群」「ヒエラポリス - パムッカレ」の3件が特に有名だ。この3件を訪ねるのであれば、旅路にぜひもう1件、パムッカレの西160kmほどに位置する「エフェソス」を加えることをオススメしたい。

エフェソスはヘレニズム~ローマ時代の都市遺跡の中でも抜群に美しいうえに、聖母マリアが晩年住んでいたというパワースポット・聖母マリアの家なんていう場所もあり、近郊の町セルチュクやクシャダスはエーゲ海を見下ろす避暑地としても有名だ。今回はいまトルコいち押しの世界遺産「エフェソス(トルコ語でエフェス)」を紹介する。

美しき古代都市遺跡エフェソス

ハドリアヌス神殿とクレテス通り

ハドリアヌス神殿とクレテス通り。美しく、どこかもの悲しい景色

古代都市エフェソスには完全な形で残っている建物がほとんどない。多くの建物は土台だけ、柱だけ、壁の一面だけといった具合。それなのに、どうしてこうも美しいのだろう?

セルシウス図書館

セルシウス図書館。世界中探してもこれほど美しい遺跡はなかなかない

荒野に立ち並ぶアゴラやバシリカの列柱、山腹に口を開ける半円状のオデオンや大劇場、空中に浮かぶトラヤヌスの泉やハドリアヌス神殿の破風、そして抜けるような青空によく映えるセルシウス図書館のファサード(正面壁)……。

周囲の山々は草や低木が生えるだけの禿げ山で、所々にポツリポツリと糸杉や松。エフェソスの遺跡はこの荒涼たる景色と見事に調和して、人と自然の営みの不思議を物語る。

ギリシア~ヘレニズム~ローマ時代の遺跡は世界遺産だけでも数十を数えるが、これほど破壊されていながら美しい遺跡はなかなかない。個人的にはこの「エフェソス」とシリアの「パルミラの遺跡」が筆頭だ。

 

テラスハウスのモザイク画

テラスハウスの床に描かれたライオンのモザイク画。ローマ時代の住宅装飾の一部だ

なお、世界遺産としての「エフェソス」は以下4件の構成資産から成立している。以下ではその歴史と構成資産の内容を解説していこう。

■構成資産
  • 古代都市エフェソス
  • アヤスルクの丘、アルテミス神殿および中世の住居群
  • 聖母マリアの家
  • チュクリチ古墳
古代都市エフェソス(Googleマップ)

 

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