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医療費控除はいつまで提出できる?
1年間に10万円を超えるなど、高額の医療費がかかったら確定申告をすれば還付金がもらえる可能性があります。2023年(令和5年分)の医療費控除の期間は、2024年2月16日(金)~2024年3月15日(金)です。また、医療費控除は確定申告の中でも、払いすぎた税金が戻る「還付申告」にあたるため、1月から申告が可能です。早めに済ませてしまいましょう。
還付申告なら5年間の猶予期間があり、2023年(令和5年)分なら、2028年(令和10年)12月31日まで提出できます。
医療費控除はいつからいつまで? 対象や申請方法をチェック
医療費控除とは? 確定申告で還付金がもらえる理由
医療費控除とは、ざっくりいえば「病気やケガの治療でたくさん医療費を支払った人を税金面で優遇してあげましょう」という制度です。たとえば入院などをした場合、多額の医療費が必要となりますが、医療費控除を申請することで税金を節約することができます。国税庁の医療費控除の解説には、『その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けることができます』とあります。
医療費控除の額を求める計算式は、少し難しいですが、以下のようになります。
(2023年(令和5年)に支払った医療費の総額-保険金などで補てんされる金額)-{10万円(または所得の合計額が200万円までの方は所得の合計額の5%)}=医療費控除額(最高200万円)
医療費控除は、所得控除のひとつで、「103万・130万・150万の壁」などといわれる配偶者控除と同じ仲間となります。医療費のうち一定金額を所得から差し引いてもらうことで、所得税の計算の基準となる金額が減り、その結果、所得税の負担が軽くなるわけです。
医療費控除を受けて還付金を受け取るには、会社員やパートでも確定申告をする必要があります。手間がかかりそうであきらめがちですが、ポイントをつかめば意外と簡単です。ポイントについては、以下の動画で解説しております。ぜひ、ご覧ください。
【医療費控除の申請方法を動画でわかりやすく解説】
【関連リンク】
確定申告の期間はいつからいつまで?
医療費控除はいつまでさかのぼって申告できるか?過去分の確定申告のやり方
国税庁:医療費を支払ったとき(医療費控除)
確定申告で医療費控除を申請するための条件とは
医療費控除は希望すれば誰でも受けられるわけではありません。おおまかにいうと、次の条件を満たす必要があります。- 1年間(1月1日から12月31日)に払った医療費が10万円(※)を超える
- 医療費とは、自分自身と同一生計の家族のために払ったうちの自己負担分
【関連リンク】
10万円以下でも医療費控除が受けられる場合がある
医療費控除の申請期間はいつまで?さかのぼれる?
医療費控除は、確定申告で申請することになります。そのため医療費控除の申請期限は基本的には、確定申告の期間となります。一方で、確定申告が不要な人が医療費控除を行う場合は、還付申告となり、5年間いつでも申請できます。過去の分もさかのぼって申請が可能です。たとえば、2023年(令和5年)分なら、2028年(令和10年)12月31日まで提出できます。つまり5年間の猶予期間があるのです。また、混んでいることが多い税務署にいかずにすむように、のちほど解説する郵送などでの提出も検討してみてください。
医療費控除の対象になるもの・ならないものがある
では、病院や薬局で払った医療費がすべて医療費控除の対象に含められるかといったら、そうではありません。治療目的なら対象、美容・予防目的なら対象外と覚えておきましょう。■医療費控除の対象になるものの例
・病院や歯科で支払った治療費・薬代、交通費
・病気やケガの治療のために購入した市販の医薬品
・入院時の部屋代、食事の費用
・妊娠中の定期健診、検査費用、出産の入院費
・治療としての歯科矯正にかかった費用など
医療費控除の申請に必要なもの・書類
すでにご説明したように、医療費控除を受けるには会社員でも確定申告が必要。手続きにあたって揃えるべきものは以下のとおりです。●すでに手元にあるはずのもの
- 勤務先で配られた源泉徴収票
- 医療費の領収書
- 交通費の領収書(タクシー代などがあれば)
【関連動画】源泉徴収票のもらい方がわからない人はこの動画をご覧ください。
●自分で入手しなければいけないもの
- 医療費控除の明細書
- 確定申告書
- マイナンバーの本人確認書類
●あれば便利なもの
・医療費通知【健康保険組合などが発行する『医療費のお知らせ』など】
【税金ガイドが医療費控除に必要な書類を音声動画で解説】
【詳細】医療費控除を申請したい!用紙はどこで入手できる?
医療費控除の申請手順
確定申告なんて面倒そうと思うかもしれませんが、医療費控除の申請だけなら意外と早く終わります。おおまかな段取りは以下のとおりです。- 医療費の領収書をかき集め、小計を出しておく ※医療費通知【健康保険組合などが発行する『医療費のお知らせ』など】があれば、記載されている範囲の医療費はそのまま転記することができます。
- 医療費の明細書を作成する
- 源泉徴収票をもとに申告書を作成する
- 税務署に提出する
- 還付金を受け取る
それぞれ簡単に説明しましょう。
1. 医療費の領収書をかき集め、小計を出しておく
同一生計の家族の分もあわせて1年分の領収書を集めます。医療費の領収書がたくさん溜まっていると「これをひとつひとつ書かなきゃいけないのか……」と気が遠くなりますが、実は合算して書いていいことをご存じですか? この段階で、医療を受けた人ごと、病院・薬局名ごとに小計を出しておくと、後でラクです。医療費通知があれば、その金額を明細書に転記できるので作業が楽です。
2. 医療費の明細書を作成する
1で出した小計を医療費控除の明細書に転記します。なお、交通費もこの医療費控除の明細書に書いてOKです。 医療費を一通り転記したら、医療費控除として所得から差し引ける額を計算します。
※国税庁のHPから「医療費集計フォーム」をダウンロードすることができます。「医療費集計フォーム」に入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができますので、医療費の領収書の枚数が多い方は「医療費集計フォーム」を利用した入力が便利です。
●医療費集計フォームのダウンロード(国税庁HP)は以下です
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/r05junbi/keisubetsu/iryou-shuukei.htm
3. 源泉徴収票をもとに申告書を作成する
確定申告書には、自分の収入(年収)やすでに受けている所得控除、すでに払っている所得税(源泉所得税)などを書きます。これらの情報はいずれも、勤務先で配られる源泉徴収票から書き写すだけです。
さらに今回は医療費控除を申請するので、医療費控除の欄(画像内、27の欄)に2で計算した医療費控除額を書きます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r05/01.pdf
【詳細】
源泉徴収票はいつもらえる?どこでもらえる?
4. 税務署に提出する
医療費控除の明細書と申告書が完成したら、源泉徴収票、マイナンバーの本人確認書類とあわせて税務署に提出します。提出方法は次の3つです。
- 税務署に持参する
- 郵送する
- e-Taxで提出する
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5. 還付金を受け取る
申告書類を提出して、だいたい1カ月から1カ月半ほどで還付金を受け取れます。臨時収入のようでうれしくなってしまいますが、くれぐれも無駄遣いをしないようにしましょう。
【詳細】還付金はいつ振り込まれる?どの銀行口座でもよい?
監修/坂口猛(All About税金ガイド)
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