収入と所得の違いを整理しておこう

税金が難しく感じられる理由のひとつに、専門用語が難しいということが挙げられるでしょう。中でもややこしいのが、「収入」と「所得」。収入と所得は同じ意味のように思えますが、税法上では実は別ものです。

また、この「収入」と「所得」に該当するものは、サラリーマン(会社員)、自営業者、年金生活者といった収入形態によっても異なります。以下、個別にみていきましょう。

サラリーマン(会社員)の収入と所得

会社員は税法上、「給与所得者」に分類され、パートやアルバイトも基本的にはこれに該当します。この場合の収入と所得は次のとおりです。

●収入
給与や賞与などの年間の合計収入です。特に給与所得者の場合、年収が、税法でいうところの収入にあたると捉えていいでしょう。源泉徴収票の「支払金額」欄に書かれている金額です。

●必要経費
給与所得者にとっての必要経費は、給与所得控除というものです。給与所得控除の金額は正規雇用や非正規雇用、パートやアルバイトといった就労形態に関係なく、所得税法上、年収に応じて決められています。

●所得
年収から給与所得控除を差し引いた後の金額(この場合は給与所得)を指します。

下記の図でいうと給与等の収入金額から、給与所得控除額を差し引いて残った額が、所得(給与所得)となります。(※H28年以降給与所得控除額の限度額が制限されます)
申告書を作成する際には申告書の手引を参照してください

申告書を作成する際には申告書の手引を参照してください


自営業者の収入と所得

●収入
自営業者の場合、一般的に年商などが収入にあたります。開業医であれば社会保険料収入や自由診療収入。飲食店経営であればランチやディナーの売上などでしょう。

●必要経費
必要経費は収入を得るために必要な経費であり、業種や業態によって、ある程度変わっててきます。

開業医の場合は、診療所の家賃や駐車場代、看護師や事務員などの給料、医療設備の減価償却といったものが対象です。飲食店であれば、食材や飲料の仕入れ(正しくは売上原価)、厨房器具の減価償却、店内の装飾品やコック、ウエイターやウエイトレスへの給料なども必要経費となります。

●所得
上記の必要経費を収入から差し引き、残ったものが所得(この場合は事業所得)となります。

年金生活者の収入と所得

●収入
民間の保険会社等で年金タイプの保険に加入していなければ、いわゆる「公的年金」の額面が収入金額にあたります。所得の区分としては「雑所得」にあたります。

自営業者は国民年金、会社員は厚生年金、公務員は共済年金といったように、公的年金にはいくつか種類があります。公的年金等の源泉徴収票に記載されている「支払金額」を合計したものが、その年の収入金額となります。

●必要経費
年金生活者にとって必要経費にあたるものは「公的年金等控除額」といい、年金受給者の年齢(65歳未満か65歳以上か)、および公的年金等の収入金額に応じて決められています(表を参照)。

●所得
公的年金等の源泉徴収票に記載されている「支払金額」の合計額から、公的年金等控除額を差し引いたものが、所得となります。
公的年金等に係る所得の速算表(出典:国税庁)

公的年金等に係る雑所得の速算表(出典:国税庁)


収入から必要経費を差し引いて残ったものが「所得」

今回は、会社員(給与所得)、自営業者(事業所得)、年金生活者(雑所得)の収入と所得を紹介しました。ただ実際には、所得区分はこの3つを含め、10種類あります。収入がどの所得区分に属するかで、収入を形成するものと必要経費を形成するものが変わってくることを理解しておきましょう。

いずれにしても、収入から必要経費を差し引いたものが所得であることがポイントです。基本的な計算方法は以下に集約されます。

収入-必要経費=所得

ちなみに、同じ職業である医師にも、開業医と大学病院などで働く勤務医がいます。税法の観点から見れば、前者は事業所得となるのに対し、後者は給与所得となるので税金の計算の基礎となる所得の計算がまったく異なってくるのです。

年収が103万円までだと税金がかからない理由

よく「年収が103万円までだと税金がかからない」といわれています。これは、収入から必要経費(給与所得控除)を差し引いたものが所得であることを考えると、その仕組みが理解できます。

ここでいう「103万円」とは、「収入-必要経費=所得」の算式でいうところの「収入」にあたります。また、給与所得控除額は、161万9000円未満では65万円と法定されています。

算式に数値をあてはめると以下のとおりとなります。

103万円(収入)-65万円(必要経費)=38万円(所得)

収入から税額を計算するまでのイメージ図です

収入から税額を計算するまでのイメージ図(クリックで拡大)

課税の流れについては、この所得38万円ではなく、所得から所得控除を差し引いた課税所得に税率が課されることになります。

所得控除は14種類ありますが、そのうち無条件で与えられているものが38万円の基礎控除です。よって、所得が38万円以下であれば、基礎控除38万円が差し引かれた結果、課税所得が0円となるため、税金がかからないというわけです。

税額の計算をする前に、まずは所得の区分を間違えないこと、そして、収入を構成するものや必要経費を構成するものを正しく理解しておきましょう。所得を正しく計算することが所得税のスタート地点といえます。

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