住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

ウッドデッキとつながった洗濯物干し場

洗濯機を置くスペースは、気にしたけれど、洗濯物干場のことは、あまり深く考えなかった。建築家のKさんからの提案された物干し場は、ウッドデッキにつながって……。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド


新しい家の間取りプランを検討する際、
洗濯機を置くスペースは、気にしたけれど、
洗濯物干し場のことは、あまり深く考えなかった、
というか、正直、余裕がなかった。

でも、間取りがほぼ固まってきて、
洗濯動線(洗う→干す→たたむ→しまう)がイメージできるようになる頃、
ワタシはぐるぐる悩み始めた。

物干し場プランは家事効率に影響する

家事の効率を高めるためには、洗濯機のある場所から、洗濯物干し場への動線を短くすることが基本。庭へ干すのか、2階のベランダに干すのか、浴室乾燥機を利用するのかなどによって、住まい全体の間取りはもちろん、設備や建材選びにも影響するものだ。どんな洗濯スタイルにしたいのか、どんな洗濯物干し場が必要なのか、早めに検討することが重要だろう。

ワタシの場合、洗濯に対する希望は、お風呂の残り湯を使いたいことと、太陽の光で乾かしたいということ。設計を依頼した建築家のKさんが最初に提示してくれたプランには、寝室と和室からつながる縁側に物干場が設けてあった。洗濯機からもそんなに遠くないし、取り込んでたたむのも便利だし、結構いいかも、と思っていたのだが、最終プランで縁側はなくなり、そして、物干し場の迷走が始まったのだ。

迷走する洗濯物干し場

イメージ

洗面やバスルームから出入りできるウッドデッキにつなげた物干し場。家の裏手になるので、プライバシーも確保できる

いま考えると、あんなにアタフタしなくても、Kさんがいろいろ考えてくれていたんだろうけれど、なぜだか、一時、とりつかれたように、「洗濯物干場はどこにすればいい」と頭を悩ませていた。基本の間取りが決まって、少しホッとしたこともあったし、外まわりを考える余裕がでてきていた時期だったかもしれない。でも、なにより、私のわがままで、物干し場を設けた縁側を無くしてしまったので、なんとかいい方法を考えなきゃ、と焦っていたような気もする。

最初は、もう予算もギリギリだし、いわゆる物干し台をホームセンターで買って、庭のどこかに置けばいいかな、とも考えたけれど、狭い敷地では、ちょうどいい場所にスペースがない。玄関から見えるようなところには干したくないし、洗濯機から遠いのは、不便だし。

2階のベランダに、という方法もあるけれど、洗濯機は1階の洗面室なので、上り下りが面倒。リビングにつながるベランダ越しの景色が台無しになってしまうし、ベランダでくつろぐときに邪魔だし。

あれこれ考えるうちに、外構工事のついでに、サクッと作ってくれないかな、など、もう迷走から暴走へ。南面は、擁壁を見下ろす敷地になっているので、フェンスを兼ねて物干しにしたらどうだろう? 下に干す、っていうのもアリなんじゃないかな、と無謀にもKさんに提案したり。当然、危険だからダメ、と却下されたけれど。

物干しがデッキにつながった

詳細なプランができるころ、Kさんから伝えられたのが、ウッドデッキを囲む板塀の横架材を伸ばして物干し場を設けるプラン。洗面室やバスルームにつながるデッキから、敷地のコーナーに設置した柱に横架材を回し、建物本体までつなげたもの。一体化することでデッキの安定性も高まると同時に、落ち着いた「場」も生まれるというわけ。洗面室の洗濯機からも歩いて5、6歩の距離で、洗濯動線的にもマル。

いろいろ迷走して、ひとりで暴走して、なんとなく損(?)をしたような気もするけれど、わが家にとっては、これ以上に使いやすくて、納まりのいい物干し場はないな、と思うぐらいお気に入りの空間だ。やっぱり、住まいは全体をバランスよく考えることで、まとまった空間となるんだな、と実感している。

ただ、予想外だったことがひとつ。横架材は、隣家の大きな樹木から、飛び乗るのにちょうどいい高さらしく、野生のリスの通り道となってしまったのだ。お願いだから、デッキや板塀はかじらないでね、と祈る今日この頃である。


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