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ボウモアとラフロイグ、人気アイラモルトの製法(2ページ目)

アイラモルトの女王と呼ばれる「ボウモア」に関する記事をここ3回つづけた。ボウモア蒸溜所は大きな遺産を守りつづけているが、では王である「ラフロイグ」との違いはなんだろう。ふたつの魅力はどんなところにあるのか。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

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単純にピーティー、スモーキーではない深遠な香味

ラフロイグ、ピート燃焼

ラフロイグ、ピート燃焼

前ページにつづいて「ボウモア」と比較しながら「ラフロイグ」のつくりを語っていく。「ボウモア12年/ベストバランス・アイラの魅力」「スモーキーモルトを楽しもう/スモーキー4の世界」といった記事も参考にしながらお読みいただきたい。
製麦が終わると麦芽を粉砕し、ピート成分の溶け込んだ仕込水の温水とともにマッシュタン(糖化槽)に投入する。でんぷん質を糖分に変える糖化工程だ。
「ボウモア」と同じようにやさしくかき混ぜ、そしてじっくりゆっくりと濾過し麦汁を採取する。
麦汁は発酵へと向かう。ラフロイグ蒸溜所の発酵槽は6基。麦汁に酵母を加え、温度管理に細心の注意を払いながら約55時間をかけ、アルコール分約8.5%のウォッシュ(発酵液・醪/もろみ)を得る。「ボウモア」よりもややアルコール分の数値は高い。
ラフロイグ蒸溜器

ラフロイグ蒸溜器

そして蒸溜工程。ポットスチル(蒸溜器)はアイラの蒸溜所の中で最も小型だ。ストレート型の初溜器3基、ランタン型の再溜器4基の計7基。初溜でアルコール分約22%となり、再溜により約67%のニューメイクが樽に詰められていく。
銅のくびれたランタン型の再溜器の形状がスモーキーな香味特性に影響を与えるそうだ。「ボウモア」に比べると2パーセントほどアルコール分の数値が低いが、ニューメイクのカットが通常のタイミングより遅くおこなわれ、最後のほうにカットされる高いフェノール値の蒸留液を取り込んでいるそうだ。
無色透明の蒸留液、ニューメイクはオークの樽に詰められる。「ラフロイグ」の貯蔵樽のほとんどがバーボン樽の1st.フィル。つまりホワイトオーク材の1度バーボンの熟成に使用された樽で、最初に樽詰めされたものだけを使うということになる。
1st.フィル・バーボン樽は、「ラフロイグ」にバニラの甘さ、クリームの滑らかさを与える。これが単にピィーティでスモーキーといった強さだけでなく、優しさのある深遠な香味を生む大きな要因となっている。つまりアイラモルトの王としての威厳、懐の深さを身につけるのだ。
仕込みから蒸溜までの工程はもちろん、貯蔵工程によっても重層的な、深く厚みのある香味を築いていく。
ラフロイグセレクト

ラフロイグセレクト

「ラフロイグ」はバーボン樽が主体ではあるが、ヨーロピアンオーク材のシェリー樽、さらには甘口シェリーとなる白ぶどう品種のペドロ・ヒメネスを詰めた後のシェリー樽など、幅広いタイプの樽で熟成し、未来に向けて新しい香味を生む試みもおこなっている。
海、潮の香を感じさせる「ボウモア」「ラフロイグ」をじっくりと味わっていただきたい。(ボトル画像は「ラフロイグセレクト」700ml・40%・¥4,000/350ml・40%・¥2,600)

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