女王の島が生む、アイラモルトの女王

ボウモア蒸溜所

白く輝くボウモア蒸溜所

グラスゴーから30数人乗りのプロペラ機でアイラ島へ向かう。時間にして40分ちょっと。アイラ空港から車で島の中心地、ボウモアの町へ。1本道の両端は荒寥としたピート原野だ。
はじめてのアイラで、しかもひとり旅だったならば、少しでも曇っていると小型プロペラ機からの心細さを引きずったまま、なんだか最果ての地にやってきたような寂寥感を覚えることだろう。でも、町のシンボル、白い円筒形をしたキラロウ教会が見えてくるとなんともいえない期待感が沸いてくるはずだ。
淡路島よりも少し大きな島ながら、人口は3,500人にも満たない。ボウモアが中心地といえども町の規模も小さく鄙びている。丘にあるキラロウ教会から海岸の突堤へと一直線に下る坂道が町のメインストリート。風向きによって麦芽をスモークさせる薫風や発酵の甘い香りが坂道をそよぐ。
© Satos

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では、ボウモア蒸溜所について語ってみよう。これまで「ボウモアスモールバッチ」、数量限定品「ボウモアデビルズカスク」(関連記事参照)といった製品を取り上げてきたが、今回記事ではボウモア蒸溜所が誇る歴史的な遺産を紹介しよう。

ボウモア蒸溜所が誇る3つの大いなる遺産

ボウモア蒸溜所

波打ち際にあるボウモア蒸溜所

アイラ島はスコットランド西岸沖に北から南に島々が点在するインナーヘブリディーズ諸島の最南端に位置する。手つかずの美しい自然、そして野生動物の宝庫であり、“ヘブリディーズの女王”と謳われている。女王の島には8つものモルト蒸溜所と麦芽製造工場がひとつあり、世界でも希有なモルトウイスキー島として多くのファンを魅了しつづけてきた。
アイラモルトの香味特長は“スモーキーで潮の香り”と表現される。なかでもボウモアモルトは麗しくしなやかな気品のある甘美さ、加えて力強さもあり、“アイラモルトの女王”と讃えられている。
メインストリートを下り切った左側、海辺に白く輝くボウモア蒸溜所がある。愛らしく美しい蒸溜所だ。アイラモルトの女王を生むにふさわしい姿といえる。
そしてボウモア蒸溜所には古くから守り伝承されつづけている、スコッチのモルト蒸溜所のなかでも大きな特長となっている誇り高い3つの遺産がある。
●アイラ島最古の蒸溜所であり、スコッチでも一、二とされる古い歴史
●いまだにフロアモルティングをおこない、麦芽乾燥にピートを焚く
●海抜0メートルにある、スコッチ最古の貯蔵庫No.1 Vaults
では次のページでこの3つの遺産について語ってみよう。