伝統的ハイランド・スモーキーモルトの洗練

アードモア レガシー

アードモア レガシー

3月29日(火)、スコッチのハイランドモルト「アードモア レガシー」が新発売される。
これまでの記事でラフロイグ、ボウモア、カネマラといったスモーキーなモルトを紹介してきたが、そこへニューフェイスとして加わったのが「アードモア レガシー」といえよう。ライトリーピーテッドの爽やかなスモーキーフレーバーを特長としていて、同じスモーキーでもアイラモルトやアイリッシュモルトとは異なる香味(『スモーキーなシングルモルトを飲み比べてみよう』記事参照)を抱いたシングルモルトである。
アードモアモルトは、ブレンデッドウイスキー「ティーチャーズ」のキーモルトとして長年にわたり製造されてきたこともあり、アードモア蒸溜所についての情報が一般に知られることはほとんどなかった。
そのためシングルモルト市場にあまり流通しておらず、これまでカルトウイスキー的な存在だったといえる。ハイランドの伝統的なつくり、大麦が香り、スモーキーさを湛えたモルトウイスキーを生んでいるのだが、「アードモアレガシー」の香味について述べる前に、アードモア蒸溜所について少し解説しておこう。

アードモア蒸溜所の創業は1898年。ブレンデッドウイスキーの名品「ティーチャーズ」を生んだウィリアム・ティーチャーの息子、アダム・ティーチャーが「ティーチャーズ ハイランドクリーム」にブレンドするモルトウイスキーの安定供給のために建設し、蒸溜をはじめた。
現在もキーモルトとして貢献しつづけており、「ティーチャーズ」のためのスモーキーなモルトづくりは変わることがない。
ブレンドに使われるその香味は、ピーテッド麦芽を使用した心地よいスモーキーさと、麦芽を効かせた甘くスケールの大きい味わいとの評価がある。ハイランドの伝統的な香味スタイルを象徴するモルトウイスキーとも表現され、しなやかなピーティーさや果実味、複雑さを抱いているようだ。
©Satos

©Satos

蒸溜所はアバディーンシャーのボギー川の東側、ケネスモント近郊にある。スコットランドに詳しい方なら、ザ・マッカランのクライゲラヒー、また最近記事で紹介したグレンフィディックやザ・バルヴェニーのあるダフタウンから東南に位置するので地図で探しやすいと思う。アードモアをスペイサイドモルトとして語っている場合が多くみられるが、蒸溜所ではハイランドモルト(厳密には東ハイランド)と明確に謳っている。
牧歌的な丘陵地の風景が広がる場所に蒸溜所はあり、人を懐かしい優しいこころ持ちに誘う。たっぷりの自然に包まれているだけでなく、周辺は大麦の産地であり、ピート、清冽な水の供給が容易で、鉄道輸送の便もよく、ウイスキーづくりに最高の環境にある。
蒸溜所の守り神は鷲(わし)。「アードモア レガシー」のラベルには蒸溜所上空を悠々と舞う鷲(わし)の姿が描かれている。

アードモア蒸溜所

アードモア蒸溜所

アードモアでは、原料の大麦は伝統的に地元アバディーンシャー産を使用しつづけている。そして1975年まではアードモア蒸溜所内で製麦をおこなっていた。それ以降はモルトスター(麦芽製造会社)に委託している。現在はピーテッドとノンピーテッドの両方の麦芽を使用している。
モルトスターに委託してはいるが、ピーテッド麦芽の場合、使用するピートはもちろん地元産である。蒸溜所から直線距離で60kmちょっと離れたセントファーガスで切り出したピートを使用する。古典ともいえるハイランドスタイルを守りつづる蒸溜所といえる。
では次ページで、「アードモア レガシー」の香りと味わいについてお伝えしよう。(次ページへつづく)