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ボウモア蒸溜所/大いなる遺産、スコッチ最古の貯蔵庫(2ページ目)

ボウモア蒸溜所はスコッチのなかでも一、二を競う古さを誇り、また第一貯蔵庫は波打ち際、海抜0メートルという特殊な環境下にあり、庫内には潮の香がそよぐ。他と比べようもないそんなボウモアの誇る大いなる遺産について語る。

協力:サントリー
達磨 信

執筆者:達磨 信

ウイスキー&バーガイド

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海抜0メートルにあるスコッチ最古の貯蔵庫

第一貯蔵庫は右奥にある

第一貯蔵庫は右奥にある

次ページから引きつづいて、ボウモア蒸溜所3大遺産について述べる。
第一に8つあるモルト蒸溜所のなかでも最も古い歴史があり、しかもスコットランドの全モルト蒸溜所においても一、二を競う歴史を誇っている。
創業は1779年。238年もの年月、モルトウイスキーをつくりつづけてきた。再来年には240周年を迎える。
前ページの紹介と順番は異なるが、次に特長的なのは、No.1 Vaults(第一貯蔵庫)。この貯蔵庫はスコッチ・モルトウイスキー貯蔵庫としては最古の歴史を持つ。さらには海抜0メートルという他の蒸溜所にはない、唯一無二の特殊な環境下にある。
フロアモルティング

フロアモルティング

「ボウモア」はゲール語。意味は「大いなる岩礁」。ヴォルト(Vault)とは地下貯蔵庫のことだが、No.1 Vaultsはダイレクトに海に面しており、よく見ると波打ち際の岩盤を削り取った上に建造されたものだとわかる。そのため庫内の床は海面下に位置し、半地下のようなつくりといえば理解いただけるだろう。
庫内は原酒の樽熟成環境として最適な湿潤さが備わっているだけでなく、波打ち際で海抜0メートルという立地からほのかに潮の香が漂う。この潮の香が熟成中のモルトウイスキーと対話しながらボウモアの香味要素となっていく。
スコッチ最古の貯蔵庫の伝統と他と比べようもない立地環境が“ベストバランス・アイラ”と表現される女王を生んでいる。
ピートを焚く職人

ピートを焚く職人

もうひとつは、いまだにフロアモルティング、ピートによる麦芽乾燥という製麦工程を蒸溜所内でおこなうスコットランドでも数少ない蒸溜所でもある。原料である大麦の30%を自らが製麦し、70%を製麦会社に委託している。
ボウモア蒸溜所は最も古い歴史、特殊な環境下とともにスコッチ伝統製法を守りつづけている極めて稀なモルトウイスキー蒸溜所だといえよう。
では近々にアップする次回記事で、ボウモアの注目シングルモルトを紹介することにしよう。ほんのしばらくお待ちいただきたい。(『ボウモアヴォルト/スコッチ最古の貯蔵庫のシーソルト』の記事へ

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