住みたい街 首都圏/通勤・買い物に便利な街

通勤・出張優先で考えた複数路線使えて便利な街は?

街選びにあたっては最初に通勤・通学の利便性を考える人が多い。だが、いつも同じ場所に通うなら良いが、その日によって行き先が違う、出張が多いなどの人はどうしたら良いのか、具体的に考えてみた。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

日によって通勤先が異なる人や出張が多い人は
複数路線が利用できる場所に住もう

通勤・通学先が決まった一か所しかない人なら、その場所への直通路線から順に探して行けば良いが、日によって行き先が変わる人なら、複数路線が利用できる場所が便利だ。これには2種類の考え方がある。ひとつは徒歩圏に複数路線の複数駅があること。もうひとつは複数路線が乗入れている駅の近くに住むこと。
日本橋

日本橋界隈であれば八丁堀、茅場町方面を狙えば比較的手頃な物件が見つかることがある(クリックで拡大)

まず、前者だが、これが実現できるのは主に都心近く。たとえば、千代田区の神田周辺であればJR山手線・京浜東北線神田駅に始まり、東京メトロ銀座線神田駅、同丸ノ内線淡路町駅、都営新宿線岩本町駅などが近く、少し歩けば秋葉原駅も利用可。あるいは中央区の日本橋界隈であれば、そもそも日本橋駅は東京メトロ銀座線、同東西線、都営新宿線の3線にあるほどだ。ただ、こうした複数路線密集地は千代田区、港区、中央区のいわゆる都心3区に多く、それ以外ではさほど多くはない。

▼参考記事はこちら。
人形町、抜群の足回りに江戸情緒溢れる街
日本橋など東京駅1キロ圏に住宅増加中

そこでここでは複数路線が利用できるJR山手線以外の駅で、かつ都心の異なる目的地に向かう路線が複数あるお勧め駅をご紹介しよう。山手線を除くのは、目白駅、鶯谷駅を除けば地下鉄、私鉄などが乗入れていたり、近くの他線の他駅があるため。山手線は基本、利便性が高いのである。

▼参考記事はこちら。
目白、歴史を感じる、坂と緑豊富な住宅街

【北千住駅・足立区】都心オフィス街ならほぼどこへでも直通 
北千住駅はJR常磐線、東京メトロ千代田線、同日比谷線、同半蔵門線、東武伊勢崎線、つくばエクスプレスの6路線が利用できる巨大ターミナル。上野、東京、品川、大手町、永田町、銀座、渋谷など都心のオフィス街ならほぼどこへでも直通で行ける。加えて、千代田線は小田急線と乗入れているので、ここからロマンスカーを利用、箱根に行ったり、東武伊勢崎線で鬼怒川温泉などという手も。ただし、羽田空港へは京急のリムジンバスがあり、当日朝発で朝6時には到着できるが、成田空港に電車利用となり、6時着は難しい。
北千住の夜

駅周辺には気軽に楽しめる飲食店が集まり、物価も安い。歴史のある街だけに蔵など風情のある建物も点在(クリックで拡大)

足回りだけでなく、駅周辺に大型店が集まり、複数の商店街があるなど、生活の利便性も高く、物価、家賃も利便性から考えるとお手頃。一方で駅のすぐ近くに銭湯が残るなど下町の雰囲気もあるのが特徴。

▼参考記事はこちら。
北千住、歴史と活気あふれる東京北東部の中心地

【練馬駅・練馬】複数路線乗入れで池袋、渋谷、六本木などに便利
西武池袋線練馬駅では西武有楽町線を介して東京メトロ有楽町線、同副都心線と繋がっており、さらに副都心線を介して東急東横線、横浜高速鉄道みなとみらい線とも直通。さらに都営地下鉄大江戸線も乗入れている。前者の乗入れを利用すれば池袋はもちろん、飯田橋、永田町、有楽町、豊洲、新木場や新宿三丁目、明治神宮前、渋谷、横浜などにダイレクトにアクセスでき、大江戸線なら都庁前、新宿、六本木や大門(浜松町)、汐留などに便利。大江戸線は他路線との交差も多く、階段は多いものの、とても便利。さらに池袋で乗り換えれば丸ノ内線も利用でき、大手町、銀座、霞ケ関へもさほどかからない。ただし、羽田、成田とも電車利用となり、当日朝発で朝6時着は難しい。
練馬駅

練馬駅。駅近くには区役所や各種コンサートその他のイベントが行われる文化ホール、図書館なども集まり、生活に便利(クリックで拡大)

西武池袋線から東京メトロ、東急東横線に向かう場合には池袋経由で乗換えがあり、西武有楽町線小竹向原経由で直通の2ルートがあることになり、同線ではいずれも利用できる定期「だぶるーと」を発売、その時の状況で使い分けられるようにもしている。これを利用すれば朝は直通で時間をかけずに通勤、帰りは池袋で買い物をして帰宅などという使い方ができ、複数路線があるメリットをフル活用できる。

京王線でも同様に京王線からそのまま新宿を経由するルート、明大前駅で乗り換えて京王井の頭線で渋谷を経由するルートのどちらをも利用できる定期「どっちーも」を販売している。新宿、渋谷の両駅をよく利用する人にとっては京王線は便利な路線というわけだ。

ちなみに練馬からは草津や伊勢崎、小諸、金沢など各方面への高速バスが出ており、帰省や観光などに利用できる。

▼参考記事はこちら。
練馬、都心直結、便利で緑も多い区政の中心
明大前、単身者に住みやすい歴史ある学生街

【武蔵小杉・川崎市】JR3路線、東急線2路線利用で都心にも横浜にも
武蔵小杉の夜景

タワーが建ち並ぶ武蔵小杉。ここ2年ほどで商業施設も続々登場、より便利になってきた(クリックで拡大)

渋谷、横浜のちょうど中間に位置する武蔵小杉。ここ10年ほどでタワーマンションが増加、大型店もできて住みやすくなった街だが、人気の要因のひとつが足回り。JR南武線、同横須賀線、同湘南新宿ライン、東急東横線、同目黒線が乗入れており、品川、東京、千葉や成田空港、渋谷、目黒に加え、東横線は東京メトロ副都心線、目黒線は都営地下鉄三田線と乗入れており、明治神宮前(原宿)、新宿三丁目、池袋や日比谷、大手町、神保町などへも便利にアクセスできる。成田へは成田エクスプレスが利用できるが、一番早い列車でも到着は朝7時以降。羽田までは京急のリムジンバスが利用できる。

▼参考記事はこちら。
武蔵小杉、マンションに新駅も開業し、変化続ける街

【西船橋・船橋市】JR、東京メトロで都心へ複数ルート
JR総武線、同武蔵野線、京葉線、東京メトロ東西線、東葉高速線が利用できる西船橋は千葉県下では有数の乗降客を誇る。秋葉原や新宿、東京に加え、日本橋、大手町などへも直通で行けるため、長らく人口増が続いてきた、マンションの多い地域でもある。京成西船橋駅も徒歩圏にあるが、船橋で乗り換える人が大半だ。羽田空港へは京急バスが出ており、当日朝発で6時着は可能だが、成田空港へは京成船橋からでも6時過ぎ着となる。
西船橋駅前

西船橋駅前。駅から離れた場所にも住宅街が広がっているため、駅前にはいつもタクシーが待機(クリックで拡大)

千葉県内では本八幡駅もJR総武線、東京メトロ東西線が乗入れ、少し離れて京成線京成八幡駅もあって、都心部への2ルートが利用できる。

▼参考記事はこちら。
西船橋、4社6路線利用可能で都心直結な街
本八幡、交通至便、歴史ある市川市の中心地

【大井町駅・品川区】羽田、成田にも便利で物価も安く住みやすい
大井町

駅前に大型店、区の文化施設、飲食店街、少し離れて区役所があり、生活の利便性も高い大井町(クリックで拡大)

大井町駅から利用できるのはJR京浜東北線、東急大井町線、東京臨海高速鉄道りんかい線の3線。京浜東北線で新橋、東京などの都心部へも、りんかい線で大崎駅、新木場駅などにも行ける、りんかい線は埼京線とも乗入れているので渋谷、新宿、池袋へも直通。京急バスで羽田空港行の便があるほか、東京駅まで行けば成田空港行のバスなど複数のルートが利用でき、朝6時台ならぎりぎり間に合うはず。
蒲田商店街

蒲田の商店街。交通の便が良いため、大井町同様にビジネスホテルが多く、単身ビジネスマンには過ごしやすい街(クリックで拡大)

区政の中心でもあり、駅前には大型店が並ぶ繁華な街。安くて遅くまで営業している飲食店も多く、2駅先の蒲田と並び、男性には好まれる。ただし、風俗も少なからずあることから、女性受けは今ひとつ。

▼参考記事はこちら。
大井町、3路線が乗り入れ、再開発も進行中
蒲田、変化目前の便利で実質本位の街

【押上・墨田区】鉄道に加え、高速インターが近く、足回り全般が便利
スカイツリー

スカイツリーができたため、羽田空港とのアクセスが良くなった押上(クリックで拡大)

スカイツリーの聳える押上駅も複数路線が利用できる。東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄浅草線、京成押上線、東武伊勢崎線の4線が乗り入れており、うち、半蔵門線、浅草線は都心直通。人形町、日本橋、新橋や大手町、永田町などに乗換無しという便利さ。周囲には首都高速6号向島線の向島、駒形などのインターもあるなど、電車以外の便利さも兼ね備えている。京急バスが羽田空港行の便を運航しており、6時台以降は成田スカイアクセスアクセス特急が利用できる。

▼参考記事はこちら。
押上、東京スカイツリー効果に期待の街

それ以外で行先が異なる都心への複数路線が利用できるお勧め駅としては、中央線では大江戸線が利用できる東中野駅、東京メトロ東西線が利用できる中野駅、三鷹駅、東京メトロ丸の内線が利用できる荻窪駅(中野駅、高円寺駅、阿佐ヶ谷駅からも少し歩けば丸ノ内線は利用可)、京王井の頭線が利用できる吉祥寺駅など。小田急線では京王井の頭線が利用できる下北沢駅、東京メトロ千代田線が利用できる代々木上原駅、東急田園都市線では東急大井町線が利用できる二子玉川駅、東急東横線では東急大井町線が利用できる自由が丘駅などがある。ちなみに二子玉川駅、吉祥寺駅からは羽田行き、成田行きともにバスが出ており、海外へのアクセスも良い。
二子玉川

再開発が続き、ホテル、オフィス、商業施設なども充実、人気の高い二子玉川(クリックで拡大)

ただし、こうした複数路線は利便性が高い分、家賃は高くなりがち。多少でも抑えるとしたら、目的駅の隣などを狙ってみよう。駅からは10分以上歩く可能性もあるが、下北沢駅なら新代田駅、自由が丘駅なら奥沢駅などを最寄りとして探すというやり方である。

▼参考記事はこちら。
東中野、駅周辺整備で変化続く穴場な街
中野、さらなる駅前再開発に期待かかる成熟の街
高円寺、便利で安い。シングルにお勧めの街
荻窪、中央線文化漂う静かな住宅街
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下北沢は演劇、音楽と猥雑な活気の街
吉祥寺。自然、雑踏と文化が活気を生む街
三鷹、都会と郊外、その両方の良さを備えた街
自由ヶ丘は人に自然に優しい便利な街
二子玉川。再開発で盛り上がる、緑溢れる水辺の都会

国内出張が多い人なら頻度の高い行先に合わせて選ぼう

国内での出張であれば考えるべきはどちらの方面に出かける頻度が高いかということである。特に方面が限定されておらず、どこへでもというなら、東京駅を起点に考えるのが現実的。すべての新幹線が利用でき、また、それ以外の路線もほぼ使えるからだ。その場合、お勧めは千葉方面。総武線、京葉線、常磐線あるいは大手町から東京メトロ東西線利用だろうか。もちろん、都心を横切って新宿以西、あるいは品川以西から湘南方面という手もあるが、やはり時間がかかる。足回りの利便性重視なら千葉方面、多少時間はかかっても良いということであれば新宿以西、品川以西から湘南方面というところだろう。
新幹線イメージ

新幹線利用が多いなら、おのずと便利な場所は決まってくる(クリックで拡大)

東海道新幹線メインということなら、利用する駅は品川駅あるいは新横浜駅。品川駅から内陸部は高輪、白金台などのお屋敷街になるため、手頃に借りるつもりなら狙い目は京急沿線。ここ何年かの街おこしの成果だろうか、旧東海道沿いはきれいに整備され、夜など良い雰囲気に。寺社や歴史を感じる風物も多く、今後、品川駅を利用する人が増えるに連れ、近場の観光地として発展していきそうな期待もある。海側を走るりんかい線沿いには大型ショッピングセンターもでき、便利にもなった。京浜東北線を狙う手もある。
品川運河

京急沿線は運河沿いでもあり、都会のイメージとは裏腹にこうした風景を見ることもできる(クリックで拡大)

▼参考記事はこちら。
北品川、新馬場、品川隣接の歴史ある街
青物横丁、鮫洲、立会川、旧東海道沿いの街

新横浜駅利用なら隣駅の、東急東横線も利用できる菊名、あるいは横浜線か、横浜市営地下鉄だろう。菊名は都心へもダイレクトで便利だが、その分、家賃は高め。それに比べると横浜線はお手頃で、自然も残る地域。横浜市営地下鉄は通常の勤務が横浜という人には便利だ。
菊名駅前

菊名は坂の多い街で平らな場所が少なく、駅前も狭く、いつも混雑している。ただ、その分、眺望、日当たりの良い住まいも多い(クリックで拡大)

▼参考記事はこちら。
菊名、東横線、横浜線が交わる坂と桜の街

海外出張が多い人なら
鉄道、バス路線から空港への利便性も考えよう

海外に出る機会が多い人の場合には成田、羽田を意識すると思うが、その両空港をともに頻繁に利用するという人なら都営浅草線を狙おう。京急本線、京成線が乗入れているためで、他の地下鉄路線に比べれば多少ながら手頃だ。また、都心部では裏銀座線とでもいうべき場所を走っており、たいていの都心オフィス街にアクセスしやすい。ちなみに浅草も当然ながら都営浅草線の駅だが、足回りの利便性を考えるなら、それほど勧めない。日時によっては人が多すぎて、駅までダッシュできないこともあるからだ。
隅田川

本所吾妻橋は隅田川を挟んで浅草の対岸。写真の左手あたりが押上になる(クリックで拡大)

▼参考記事はこちら(都営浅草線)。
本所吾妻橋、東京スカイツリーお膝元の街
蔵前、変化を続ける東京東側エリアの中心地

成田空港の頻度が高いのであれば、これはもう千葉県がベスト。実際、千葉ニュータウンには成田市内に勤務する人の割合が高い。広い住宅が多いのもメリットだろう。電車だけではなく、バス利用でも成田への早朝便は稲毛海岸駅、千葉中央駅、船橋駅などから出ており、その途中で津田沼駅、八千代台駅なども通る。かなりの場所で早朝便が利用できるわけだ。早朝便までは難しいが、千葉に近い葛西駅、小岩駅からも成田行きのバスは利用できる。
船橋駅周辺

大型店、チェーン店が建ち並ぶ船橋駅周辺。少し裏手に入ると個人商店も多い(クリックで拡大)

▼参考記事はこちら。
船橋、3線が乗り入れる長く繁栄し続けてきた街
津田沼、南口で大規模な区画整理事業進行中
西葛西、葛西はマンションと公園、海の街

羽田空港利用の場合、朝は6時前後から国際便が飛び始めるが、東京モノレール利用で向かう場合、朝6時に空港に到着するためには5時32分(2016年2月現在)に乗る必要がある。鉄道利用は意外に間に合わない可能性があるのだ。ただ、羽田空港行は京急が多数のバス路線を出しており、それを利用すればかなり広範な場所から朝6時までに羽田空港にアクセスできる。これについてはあまりに地点が多いので、直接京急バスのホームページを見ていただきたい。

空港へのバスについては西武バスが所沢、大宮などから、東急バスがたまプラーザ駅、新百合ヶ丘駅、センター南駅、武蔵小杉駅、久が原駅などから、京成バスが相模大野駅、橋本駅、町田駅や藤沢駅、辻堂駅などからといった具合に多数の路線がある。まずは鉄道の利便性をチェック、それに加えてバス便を見るようにすれば自分にとって便利な場所が選べるだろう。
橋本駅周辺

リニア新駅のおかげでこのところ、注目を集めている橋本駅。少し歩くと自然も残る地域だ(クリックで拡大)

▼参考記事はこちら。
所沢、西武2路線が交差する歴史ある街
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