都心から遠くなれば賃料は下がる。だが、あまり遠くなると街がファミリー仕様になってしまい、単身者にとっては夜が早い、定食屋など気軽に食事できる店が少ないなど、不便なことも出てくる。そこで、ここでは周囲に比べて賃料が安く、それでも単身者にとって暮らしやすい環境の街をピックアップしてみた。基本は外食が多く、あまり防犯を気にしていない男性を中心に考えてあるが、女性の目から見たらどうかも一言添えたので、どちらにも役立つはずだ。駅名の後には住むことになる自治体名。

東急世田谷線松陰神社~世田谷(世田谷区)

東急田園都市線三軒茶屋から乗換えがあるため、全般に賃料が下がり、相対的にお得な東急世田谷線。三軒茶屋、駒澤大学だと8万円前後が平均的なワンルームマンションが7万円以下で借りられる。しかも、乗換えは地下でほぼ繋がっているので、さほど遠くもなく、途中にスーパーがあるので、乗換えついでに買い物も可。もちろん、乗換駅三軒茶屋は飲食店も充実しているので、ついでに食べて帰る手もある。
世田谷線

都内に2路線残る路面電車のひとつ、東急世田谷線。三軒茶屋と京王線下高井戸を繋いで走る(クリックで拡大)

さらに松陰神社前はこれまで何度も勝手に単身者にお勧めしているが、年々、面白いカフェ、飲食店、雑貨店などが誕生しており、暮らしていて楽しい。夜遅い店も増えている。その一方で銭湯や駅名になっている松陰神社、若林公園、少し歩くが世田谷城址公園、招き猫で有名な豪徳寺などがあり、のんびりできる。駅周辺だけでなく、世田谷通り沿いには美味しいパン屋さん、蕎麦屋さんなどがあり、ラーメン店も多い。すぐ近くに世田谷区役所がある点も便利。防犯は気にすることなし。

美人部屋を探すなら東急世田谷線を狙え

東京メトロ日比谷線三ノ輪~北千住(台東区、荒川区、足立区)

都心直通の東京メトロ日比谷線沿線で賃料、物価が安くなってくるのは入谷以遠。中でもお勧めは昔ながらの下町風情を残す商店街が楽しく、都電荒川線も利用できる三ノ輪。賃料自体は相対的には安いものの、7万円~。生鮮食料品からお惣菜、自家製の漬物などが揃う商店街は実質本位。安くてボリュームがあり、夕方になるとお値引きも。しゃれたカフェや雑貨店はないが、堅実な暮らしができる。都電荒川線は東京メトロ千代田線、JR京浜東北線、東京メトロ南北線、都営三田線、同有楽町線、山手線などと交差しているので、意外に使える。また、各駅停車の旅としゃれこんで休日を過ごすのもお勧め。
神社の猫

浅草から入谷、三ノ輪あたりは寺社が多く、祭り、猫も多い(クリックで拡大)

浅草からも徒歩圏なので、買い物はもちろん外食、遊びなどで浅草を庭にする暮らしが実現できる。歴史好き、お寺好きなら入谷あたりも含め、飽きないはずだ。

日比谷線では南千住、北千住と家賃は安くなるが、南千住は再開発の影響でどちらかというとシングルよりも、カップル、ファミリー向け。それよりは北千住のほうが複数路線が利用でき、飲食店、商業施設も多くて便利。

ただし、このエリアには昼間からワンカップを手にした人を見かけることもあり、そういう雰囲気は受け付けないという人、特に女性には勧めない。

入谷、風情ある街並みが残る、穴場な住宅街
南千住、再開発で生まれ変わった歴史の街
北千住、歴史と活気あふれる東京北東部の中心地

京王線下高井戸(世田谷区、杉並区)

東急世田谷線も利用でき、闇市っぽい駅前市場の存在で知られる下高井戸。賃料は7万円を切るくらいから。駅周辺の商業エリアはそれほど広くはないが、生鮮食料品が安く、暮らしやすい。駅近くにはメニューの豊富さで知られる定食屋さん、おいしいたい焼き屋さん、気軽に楽しめる居酒屋さんからフレンチ、イタリアンなど様々な味が揃い、意外に(失礼)グルメな街でもある。また、映画好きなら首都圏でも少なくなった名画座、下高井戸シネマの存在もうれしい。会員になれば1本900円で見られるので、近所に住んで映画三昧という手も。

昔から学生居住が多い土地柄のため、マンションではなくアパートを中心に探せばお手頃な物件が多いのが特徴。駅から少し離れると閑静な住宅街となっており、住環境としても安心。赤堤は一部にお屋敷街もあり、古くから大手企業の社宅などもある場所でもある。

ひとり暮らしに◎な街、×な街

京急弘明寺(横浜市南区)

横浜市営地下鉄も利用できる京急弘明寺。賃料は6万円を切るくらいから。横浜の浅草という人もいるほど、昔ながらの門前町で気取りのない下町っぽさが特徴。アーケードのある商店街には生鮮食料品から和洋中様々な飲食店、ドラッグストアその他の業種が並び、物価も安い。横浜エリアでは中華料理店が弁当、総菜などを売っている例が多いが、ここもご多分にもれず。外国人居住者も多い。その一方で漬物やおでん種店などもある。
弘明寺のお惣菜

バリエーション豊富で野菜も食べられるのが中華お惣菜のうれしいところ(クリックで拡大)

商店街の真ん中を横切るように流れる大岡川は桜の名所で、弘明寺背後の高台も季節には桜色に染まる。誰かを誘う口実もある街というわけだ。ちなみにその昔のこの辺りは温泉宿のある、横浜の奥座敷的な場所だったそうだ。残念ながら銭湯、スーパー銭湯は近くにあるものの、レトロな風情までは残されていない。昼酒を好む人たちを見かけることもあるが、それも時間と場所次第。雰囲気と思うか、避けたいと思うかもその人次第だ。

弘明寺、商店街と桜が名物の横浜の浅草

都営新宿線、総武線本八幡(千葉県市川市)

都営線と言いながら、新宿線の終着駅本八幡は千葉県市川市に位置する。JR総武線、京成線も走っており、向かう場所によって路線が使い分けられる便利さが特徴。特に新宿線は始発、終着駅のため、座って通勤ができ、夜中に乗り過ごす心配もない。賃料は6万円を切るくらいから。駅周辺には商店街その他が集まり、少し歩くとニッケコルトンプラザというスポーツ施設、映画館もある大規模商業施設も。

市役所、市民会館、中央図書館、保健センター、文化会館、市民会館などとがこの地にあるのも便利なところ。単身者の場合、あまり公共施設を利用することは少ないようだが、図書館を始め、利用できるものは多数。安く芸術を楽しめたりもするので、ぜひ、フルに活用して、お金をかけない豊かな生活を実践していただきたいものである。

本八幡、交通至便、歴史ある市川市の中心地

東武東上線朝霞(埼玉県朝霞市)

延伸で東京メトロ有楽町線、同副都心線を経由して東急東横線、東急みなとみらい線も利用できる便利な立地。都心はもちろん、横浜方面へもダイレクトアクセスというわけだ。ただし、複数の行き先の電車が来るだけに特定の行き先の電車の間隔は長くなりがちなので、急いでいる時には事前に時刻表の確認が必要だ。賃料は6万円前後。
朝霞駅

再開発が行われ、きれいになった朝霞駅。周辺には緑も多く、武蔵野の風情が楽しめる(クリックで拡大)

池袋をターミナルとする沿線には東武東上線、西武池袋線があるが、賃料的には東武東上線のほうがやや安め。板橋区内にある大山駅周辺のように商店街の充実した街も多く、朝霞駅以外もお勧めの街が多い。

朝霞、都心から20キロ、武蔵野の面影の残る住宅街

西武池袋線東長崎(豊島区、練馬区、中野区)

池袋から2駅目、東長崎は少し歩くが大江戸線落合南長崎も利用できる立地。一駅先の学生街江古田に比べると知名度はいまひとつ、いまふたつだが、その分賃料は池袋に近い割にはお手頃で6万円ちょっとから。
飲食店

財布に優しい価格設定の店が多い東長崎。ラーメン400円という中華料理店もあった(クリックで拡大)

駅の南北には大小6つの商店街があり、特に線路北側の東長崎十字会は生鮮食料品店が軒を連ね、価格も手頃。スーパーも駅から少し離れたところにある。飲食では中華料理店、蕎麦店、洋食店などが多く、行列のできるラーメン屋も。お手頃価格の弁当や惣菜店などもあり、全体には庶民的な、住みやすい雰囲気。単身者が多いことから、コインランドリー、銭湯も点在する。ただし、商店街の中には土日に休む店も少なからずあり、週末はいささか不便に感じることがあるかもしれない。

東長崎、商店街が集中、生活費が安く済む街

南武線武蔵新城(川崎市中原区)

東急東横線、同目黒線が利用できる武蔵小杉、同田園都市線が利用できる溝の口の間に位置する武蔵新城。南武線自体、知らない人も多いと思うが、立川と川崎を結び、途中で前述の3路線のほか、小田急線、京王線その他都心から郊外に向かう複数の私鉄と交差しており、乗換えは必要だが、どこに行くのにも便利。乗換えがある分、賃料も全体に安めで武蔵新城の場合で6万円を切るくらいから。

駅周辺には複数のスーパー、商店街があり、日常生活に不便はない。かつ、武蔵小杉、溝の口に出れば遊びも買い物も外食もよりどりみどり。ハイソな雰囲気の武蔵小杉、猥雑さも味わえる溝の口と2つの街を利用できるのは面白いはず。基本平坦な場所なので自転車で遊びに行くのも良い。第三京浜の京浜川崎インターが近いので湘南方面に出るのも便利だ。

東武伊勢崎線竹ノ塚(足立区)

過去に23区内で最も家賃が安いという記事を書いたこともある竹ノ塚。賃料は6万円前後だが、東京メトロ日比谷線と乗入れをしており、都心にダイレクトで行ける便利さも備える。北千住で乗り換えれば東京メトロ半蔵門線も利用できる。駅の東西はバスターミナルがあり、バス便利用も含めて部屋探しをすれば、さらに手頃に借りることができるはずだ。
さらに竹ノ塚でうれしいのは東京メトロの竹ノ塚検車区があるため、日比谷線方面や浅草方面に向けての始発、終着の電車が多数あるという点。座って通勤、乗り過ごさずに帰宅が可能というわけである。

駅周辺には商店街、大型店に図書館があり、面白いことにリサイクルショップや激安を謳う店が多数。飲食店では焼き肉店が目につき、こちらも安さ、ボリュームが売り。生活費、外食費が安くつく街というわけだ。また、平坦な土地のため、自転車利用も多い。ただし、良くいえばざっくばらん、悪くいうとがさつと評する人もいる土地柄。現地を見に行く時には自分との相性も考えたほうが良いだろう。

竹ノ塚、座って通勤できる23区で最も手頃な街

常磐線松戸(松戸市)

最近はラーメン激戦区でもある松戸も賃料はお手頃。5万円を切る物件もあり、松戸から新京成線を利用すればさらに安く、広い住まいも可能になる。足回りは上野東京ラインの開業で東京、新橋、品川までダイレクトに行けるようになり、より便利になった。商店街に加えて百貨店も揃う駅前には飲食店街もあり、特に殿方にはうれしいエリアも。女性にはあまりうれしくはないだろうが、嫌なら近寄らなければ良いだけ。そうしたエリアはごく限られているので、離れてしまえば無縁である。
松戸駅周辺

駅前には商店街、大型店が集まり、いつも人通りが多い(クリックで拡大)

ベッドタウンとしての印象の強い松戸だが、実はかつての水戸街道の宿場町でもあり、また、陸軍の遺構が数多く残る軍都でもある。歴史好きならそそられる場所が少なからずあるはずだ。もうひとつ、街作りで最近、注目を集めているMAD Cityの活躍の場もこの駅周辺。街の変化を楽しむ、関わりたいならお勧めである。

松戸、都心直結の便利で歴史ある川沿いの街

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