再開発、新線乗り入れなどで激変
足立区の産業・文化の中心地に

北千住駅
正面が北千住駅。つくばエクスプレス開業を前に大規模な工事が行われ、乗り換えが楽になった
北千住は東海道品川宿、中山道板橋宿、甲州街道内藤新宿(現在の新宿)と並ぶ、江戸時代の4大宿場町。かの松尾芭蕉もここから奥の細道へ旅立っていきました。

それから数百年。変化を続けてきた北千住が激変ともいえる変化を遂げ始めたのはここ10年余のこと。平成15年に東武伊勢崎線と地下鉄半蔵門線が相互乗り入れを開始、翌16年には西口再開発によって駅ビル、演劇を中心とした劇場などがオープン、17年にはつくばエクスプレスが開業と、畳みかけるように、街は表情を変えてきました。

特に足回りの変化はこの街を首都圏有数のターミナルにしました。JR北千住駅の一日の平均乗降客数は20万3000人強とJR東日本では11位、東京メトロ北千住駅は同じく28万4000人弱は池袋、大手町に次いで3位(いずれも2013年度)となっており、活気があるのも当然の数字です。

北千住で利用できる路線図

北千住に乗り入れている路線
図で見ると、乗り入れている路線の多さに驚かれる方もいるのでは?


北千住駅構内
便利さアップに伴い、乗降客数は増えてきた。ただし、足立区では乗り換え利用が多いのが課題だとしている
都心への足としては、まず、東京メトロで日比谷線、半蔵門線に千代田線が利用できます。この3線を使い分ければ、主なオフィス街はどこへでも行けるといってもよいほど。

さらに、たとえば日比谷線は東急東横線と乗り入れていますから、横浜方面へもアクセス可能。同様に、半蔵門線から東急田園都市線、千代田線から小田急線もスムーズにつながっています。JRでは常磐線が利用でき、その他につくばエクスプレスや東武伊勢崎線なども。都心から郊外に至るまで、どこに行くにも便利というのが、北千住の立地というわけです。

こうした変化と呼応するように、足立区ではこの街を区の産業と文化の中心地にしようと計画をしています。実際、西口再開発に当たっては駅ビル内にシアター1010を設置、平成18年年4月には旧足立区役所跡地にあだち産業芸術プラザ(東京芸術センターとあだち産業センターの総称)がオープン、さらに、同年6月には誘致していた東京藝術大学が開校しています。

ここ10年で学生数が大幅増、
若者向けの店が目につくように

東京藝術大学

北千住若返りのきっかけとなった東京藝術大学。駅からは商店街を抜けたあたりにあり、周囲にはまだ古い街並みも残されている(クリックで拡大)

さらに東京未来大学、帝京科学大学が相次いで進出、北千住には学生の姿が目につくようになりました。その傾向に拍車をかけたのが平成24年に東口に開設された東京電機大学の北千住キャンパス。約6000人が通う広大なもので、この結果、わずか6年で北千住には1万人近くの学生が増えた計算になります。大学を誘致した土地の多くは、少子化で廃校になった小中学校の跡地で、子どもたちの姿が学生に変わったともいえます。

 

北千住の店

以前はどちらかといえば中年のおじさん(失礼)向けの店が中心だったが、ここ数年で若い女性が一人で入れるような店が増えた(クリックで拡大)

学生の増加を受けて街の様子も変わってきています。元々、駅周辺には飲み屋、風俗店などが集積するエリアがありましたが、そのうちの一部に若い人向けの店が登場。行列のできるラーメン店ができるなど、明らかに若返ってきているのです。

 

北千住の案内所

平成22年には商店街の中に観光案内所もオープン。以前から要望があったそうで、北千住人気の高まりを感じる(クリックで拡大)

その結果、街全体の認知度も上がってきています。リクルート住まいカンパニーの「2014年みんなが選んだ住みたい街ランキング関東版」によると北千住は前年の48位から大きく順位を上げて21位。下町風情に利便性、若々しい雰囲気が加わり、魅力を増しているというわけです。

 

おもむきのある街並み、
庶民的な商店街が住みやすさのポイント

かどやの遣りかけ団子
昭和23年創業のかどやは北千住では知らない人はいない有名店。炭火であぶった団子を日本一と評する人も。改装し、建物は新しくなったが昔の味は健在
駅の東口、西口にはそれぞれ商店街が広がっています。再開発できれいになった西口には駅前に大型商業施設がありますが、それ以外は個人商店が中心です。歩いてみて、特にこの街らしさを実感できるのは、その名もずばり、宿場通り商店街(正式名称はサンロード商店街)。かつて日光街道だった通りで、この通り沿いには、区の文化財ともなっている横山家、絵馬屋といった旧家や全国の接骨医の総本山名倉医院などが並び、かつての街道の雰囲気を伝えています。

大黒湯
昭和4年に建設された堂々たる外観の大黒湯。わざわざ遠くから入りに来る人もいるほど
街を歩いてみて気づくのは、銭湯の煙突。昨今減っている銭湯ですが、足立区にはまだ47軒が健在で、千住エリアにも11軒が営業しています。駅から歩いて1分のところに銭湯がある駅は珍しいはずです。

なかださんの蔵
築190余年という蔵。長らくギャラリー、アトリエとして利用されてきたが、耐震性能の問題から取り壊された
同様に、歴史を感じさせるのは蔵。この地域では数多くの蔵が残されており、喫茶店やギャラリーなどに使われているとか。そのほか、クラシカルな洋館や格子が美しい日本家屋などもそこここに見かけます。

惣菜屋さん店頭
昔ながらの惣菜屋さん、飲食店に混じってエスニック料理店なども増えている
お惣菜屋さんや、居酒屋が多いのも目につくところ。明治時代創業の古い居酒屋などもあり、お手ごろな値段で、昔と変わらぬ味が楽しめます。宿場町だったという背景に加えて、やっちゃ場(市場。現在も東京に3つある中央卸売り市場のうちのひとつ、水産物専門の足立市場がある)があったという歴史も寄与してか、安くていいものを提供するという姿勢が現在も継承されているようです。

千住柳町にある藪蕎麦
戦災に合わなかったためか、往時の風情のままの蕎麦屋。ちなみに建物まわりの緑は藤。春には美しい縁取りになる
また、西口、東口の駅近くの商店街以外にも小さな商店街が点在。大規模店は数少ないものの、八百屋さんや蕎麦屋さんなど、日常に必要な店はあちこちに揃っています。ちなみに、足立区はうどん・そば店、ラーメン店の多さは23区でもトップクラスだそうです。

すぐ近くに荒川、
自然が身近なロケーションも魅力

荒川の土手
荒川沿いには足立区、台東区などの運動場が並んでいる
前出の宿場町商店街を抜けると、すぐそこが荒川の土手。毎年夏には花火大会が開かれ、日常的には散歩やジョギングを楽しむ人の姿が。市街地には公園などが少ない場所だけに、荒川土手は憩いの場となっているようです。また、川の近くにはひときわ目に付く、高層の学びピア21(中央図書館など)も。

もうひとつ、少し古い話になりますが、この周辺は人気ドラマ「金八先生」シリーズのロケ地ともなった場所。今も、荒川土手や古い喫茶店や学校など、ドラマに出てきた場所を訪ね歩くファンが少なくないそうです。

では、気になる住宅事情がどうなっているか、
次ページで見ていきましょう。