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【三ノ輪】下町っぽさ全開の商店街とバラが名物

東京メトロ日比谷線、都電荒川線が利用できる台東区と荒川区の区境、三ノ輪エリア。下町っぽいレトロな商店街にバラが名物の路面電車が観光客に人気だが、実はそれだけではないまちでもある。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

台東区、荒川区が入り混じるエリア

三ノ輪駅近くの交差点

東京メトロ日比谷線三ノ輪駅を出た辺りから昭和通り、交差する明治通りを見たところ(クリックで拡大)

東京メトロ日比谷線三ノ輪駅、少し離れて都電荒川線三ノ輪橋駅がある辺りは台東区と荒川区の区境に当たるエリア。そのため、日比谷線の三ノ輪駅は台東区にあるものの、荒川線三ノ輪橋駅は荒川区にある。

ざっくりいうとこのエリアを東西に走る明治通りの、昭和通りより東側は北が荒川区、南が台東区。昭和通りから西側はおおむね荒川区と考えれば良い。ただし、一部明治通りより北側なのに台東区もあるので、実際に住まいを探す時には、それがどちらの区内にあるのか、確認が必要だ。
天王祭り

まちなかのあちこちに祭りの知らせが貼られ、準備をする風景が見られた(クリックで拡大)


このエリアは日光街道沿いにあり、平安時代に創建された素戔嗚神社の氏子区域となっているということから、まちの古さが分かろうというもの。同神社は荒川区内の南千住、三河島(現荒川)、町屋、さらには台東区にかけての広い区域の鎮守で、5月末に取材に訪れた時にはあちこちで6月に行われる天王祭りの準備風景を見かけた。歴史ある祭りが生きる、下町というわけである。


ジョイフル三ノ輪は大正時代からの歴史ある商店街

商店街入り口

日光街道から商店街への入り口。表示のある建物は昭和初期に建てられた、元々はターミナルビルだった写真館。こちらの入り口はメインではなく、しばらくは寂れた雰囲気が続く(クリックで拡大)

といっても、日光街道、明治通りなどの通り沿いを見ている限りはビルやマンションが建ち並び、そうした風情はあまり感じない。だが、一本裏手に入ると、下町らしい風情が残されている。

特にそれを感じるのは、明治通りの北側、昭和通りの西側にある、昭和21年に任意団体としてスタートした商店街、ジョイフル三ノ輪。商店街自体は大正時代からあったそうで、現在はアーケードの下になんともレトロで、お手頃価格な店がずらり。

ジョイフル三ノ輪

奥が砂場総本家、手前は自家製糠漬けが自慢の八百屋(クリックで拡大)

特に古さが際立っているのは昭和29年に建てられたという蕎麦屋、南千住砂場。蕎麦の3大老舗のひとつで、全国に150店舗を超える砂場の総本家だそうで、江戸時代にはすでに別の場所で営業をしていたという歴史ある店。といっても、実に庶民的な雰囲気で、普通のまちの蕎麦屋さんという風情。店内には店主の趣味か、様々な品が雑多に置かれており、老舗という言葉に格式をイメージすると裏切られる。

肉屋店頭

下町エリアの商店街では、持ち帰り惣菜などの中食が充実している場所が多いが、ここもご多聞に漏れずである(クリックで拡大)

また、隣には自家製の糠漬けを作り続ける八百屋があり、向かいには銭湯。肉屋は様々な惣菜を安価に提供しており、餃子店も何軒か。味噌屋のように古いまちにしか存在しない業種も頑張っている。

実は大名の下屋敷跡という歴史も

中島弁財天

小さな祠ながら大事にされていることが分かる。手を合わせている人もいた(クリックで拡大)

そして、もうひとつ、面白いのはこの商店街周辺はその昔、武家屋敷だったという点。伊勢亀山藩主石川日向守の1万1000坪(3万6300平米)という広大な敷地の一部だったそうで、商店街の外れに祭られている中島弁財天(なかのしまべんざいてん)は元々、お屋敷の庭にあった弁天池に飾られていたものとか。その後は池の跡地にあった弁天湯という銭湯に長らく飾られ、銭湯廃業後も大事に祭られている。その辺りの人情のあつさがこの地らしいところだろう。

商店街周辺の図

その昔の三ノ輪の様子を描いた地図。今もある店も何軒か描かれている(クリックで拡大)

また、大正6年に廃止されるまでは商店街の周辺に三ノ輪特飲街という、女性も買える飲食店街もあった。銘酒屋400軒、酌婦が1000人いたということから推察するに、往時は繁華な場所だったようだ。残念ながら(?)、現在はそれらしき建物も、雰囲気も全く残っていない。

裏手の道

商店街から裏手に入ると細い道、拡幅された道などが混在していた(クリックで拡大)

ただ、商店街から外への路地はいずれも細く、それは周辺の住宅街も同様。場所によっては車が通れないところも多く、人のすれ違いが難しいことも。道路拡幅が行なわれている場所もあったが、住宅を買う場合には周辺道路の状況確認は大事だろう。

都電荒川線は意外に使える

都電とバラ

都電とバラ。名物とあってアマチュアカメラマンが多数集まっていた(クリックで拡大)

レトロな商店街と並んで人を集めているのは都電荒川線。路面電車自体の珍しさに加え、電停間に植えられたバラが名物で、シーズンにはカメラを持った人たちがバラを背景にした電車の写真を撮りに集まってくる。特に休日はけっこうな人出になり、電車も混雑しているようだ。

荒川区役所

荒川区役所の回りは公園になっており、緑も豊富(クリックで拡大)

都電荒川線を利用すれば荒川区民会館「サンパール荒川」、荒川区役所、荒川遊園なども近く、町屋駅前まで行けば東京メトロ千代田線の利用も可。意外に他路線とのアクセスもあり、観光イメージが強いものの、実用でも使える路線なのである。

かつての山谷の雰囲気もそこはかとなく

いろは会

かつて山谷と言われたエリアにある商店街。日曜日だったので、ほとんどが店を閉めていた(クリックで拡大)

ここまで楽しげなまちの様子をご紹介してきたが、いくぶん、マイナスな部分もある。三ノ輪駅から東方向、明治通りにある泪橋の交差点周辺はその昔、山谷と呼ばれた日雇い労働者の集まる地域。

現在では往時ほど荒れた印象はなく、かつてドヤと呼ばれた簡易宿所には外国人旅行者が集まってもいたりはするが、それでもちょっと他のまちとは違う雰囲気がある。三ノ輪エリアは山谷の中心部から離れてはいるが、どことなく、雰囲気は地続きな感じである。

商店街

「あしたのジョー」のキャラクターが飾られた商店街(クリックで拡大)

ちなみに泪橋は昭和の名作漫画のひとつ、「あしたのジョー」に登場するボクシングジムがあったとされる場所。地元の商店街ではこのキャラクターを使っての地域おこしを行っており、商店街の中のあちこちにキャラクターを見ることができる。

新築、中古で価格差大の分譲マンション

通り沿いの住宅

幹線道路沿いにビル、マンション、一歩入ると一戸建て、小規模な集合住宅というのが一般的(クリックで拡大)

最後に住宅事情を見ていこう。まず、賃貸ではワンルームマンションで7万円前後、2DKで11万円前後、3DKで16万円~といったところ。建物がアパートになってもさほど賃料は下がらず、差は数千円程度。

マンション建設現場

一戸建て建設現場。こちらは5棟建てており、価格は5000万円強だった(クリックで拡大)

分譲物件では戸数の小さな物件が大半で、新築だと50平米台で4000万円~。中古になると築年数にもよるが、40平米台で2000万円前後~、60平米台で3000万円~と手頃になってくる。

一戸建ては新築で3000万円台後半から5000万円が目安。ただし、3階建てが多いので注意が必要。若いうちは良いが、長く住もうと考えるといささか使いにくいこともある。

ジョイフル三ノ輪の賑わい

レトロな雰囲気、手頃な価格が魅力のジョイフル三ノ輪。最近は外国人観光客向けの宿もできている(クリックで拡大)

下町の気取らない雰囲気があるとみるか、猥雑とみるかはその人次第だが、独特の風情があることは間違いのないまち、三ノ輪。観光のつもりで一度訪れて見ても損はないと思う。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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