乳幼児医療費助成ってどんなもの?

子どもイメージ
子どものいる家庭には医療費は馬鹿にならない存在
医療機関を受診すると,3歳未満では医療費の2割を、3歳以上では3割を窓口で支払うことになっています。5歳の子どもで、総医療費が10.000円だったとすると, 3.000円を支払わなくてはいけません。子育て支援のため、この医療費を補助しようというのが乳幼児医療費助成制度です

助成にあたっては、外来で通院する場合・入院の場合があり、対象年齢がそれぞれ設定されています。また、助成を受けられる世帯の所得に制限を設けている自治体もあり、助成内容も自己負担のある自治体、ない自治体などと差があります。

そう、やっかいなことに、この制度は全国一律ではないのです。ほとんどの社会制度が均質化しつつある日本にあって、都道府県や市町村でこんなに差があるのは不思議といってもいいほど。その分、助成内容からは、自治体の子育てに対する姿勢が読み取れるというものです。では、以下、神奈川県、埼玉県、千葉県と各県内の政令指定都市について取り上げます。また、東京都の乳幼児医療費助成については「子どもの医療費が0になる!?最新事情(東京編)」で詳しく取り上げていますので、参考になさってください。


神奈川県:小学生は入院、通院とも助成、中学生は入院のみに

横浜市みなとみらい地区
神奈川県では義務教育就学前、後で助成の内容が異なる
2010年時点には未就学児は通院、入院まで助成、小学生、中学生の義務教育就学中は入院のみ助成というのが神奈川県の小児医療費助成だったが、その後、助成期間が延び、2017年時点では

・小学生(*)までは通院、入院ともに助成
・中学生または中等教育学校の前期課程(*)まで入院の助成
・所得制限、一時負担金は自治体ごとに異なる

となっている。首都圏の他都県に比べると自治体による違いが大きいのが特徴で、やや複雑である。

たとえば、政令指定都市である川崎市では平成29年4月から制度が変わり、年齢区分が0歳、1歳~小学3年生まで、小学4~6年生まで、中学生と4つになった。小学生までは通院、入院ともに助成はされるが、小学4~6年生の場合には通院時に1回500円の自己負担が生じる。また、所得制限は0歳児のみ無しで、それ以外の年齢区分はすべて所得制限がある。横浜市もほぼ同じような仕組みになっている。

川崎市の例

川崎市の医療費助成。年齢別、医療行為別に分かれており、やや煩雑(クリックで拡大)


一方、同じ神奈川県内には厚木市海老名市などのように中学生まで通院、入院ともに所得制限、一時負担金なしで助成されるような手厚い自治体があったり、ゼロ歳児のみ所得制限のない伊勢原市相模原市逗子市大和市などがあるなど、通院、入院と所得制限の組み合わせが自治体ごとに違う。引っ越しをする際には同じ県内の場合でも注意が必要というわけである。

ちなみに神奈川県内では人口減少に悩む、都心から遠い自治体ほど医療費助成が手厚いという傾向もある。たとえば、中井町大井町松田町山北町箱根町真鶴町では通院、入院ともに所得制限、一時負担金無しで助成される。それによって子どものいる世帯に移り住んでもらいたいという意図である。

(*)実際には小学校、中学校、中等教育学校卒業後、最初の3月31日までとなっているが、ここでは便宜上、以下すべて小学生、中学生などとして記載する

埼玉県:中学校までが基本だが、高校生を対象にする自治体も多数

さいたま新都心
さいたま市は通院、入院ともに中学卒業までの医療費を助成してくれる
かつては通院で4歳まで、入院で義務教育就学前までの助成で、かつ自己負担金も必要だった埼玉県の乳幼児医療費助成制度だが、その後、通院、入院ともに0歳から義務教育就学前までの助成となっており、一時負担金も不要に。さらに現在では通院、入院ともに中学生まで。所得制限もなく、全体として非常に手厚い助成となっている。

しかも、それに加え、東京都では千代田区、北区しか行っていない18歳になった年度末まで通院、入院ともに助成をしてくれる自治体もある。神奈川県同様、都心から遠い地域が中心で、小鹿野町、越生町、熊谷市、白岡市、長瀞市、滑川町、東秩父町、皆野町、横瀬村、寄居町などだ。しかし、十分に都心通勤圏にありながら通院、入院ともに助成してくれる新座市、入院は助成してくれる朝霞市も。手厚さが分かるというものだ。

ちょっと変わったところでは鴻巣市が平成28年4月診療分から、18歳までの子どもを3人以上養育する世帯については18歳になった年度末の通院、入院を助成するという独自制度を作っている。多子世帯を経済的に応援するためのものである。

また、埼玉県では各自治体の助成対象年齢の最新の一覧を県ホームページ内に掲出されており、地域差が分かりやすいのが大きなポイント。隣り合う自治体で悩んだ時などには役に立ちそうだ。

千葉県:中学3年生の通院、入院を助成、少額ながら自己負担金あり

海浜幕張
急ピッチで医療費助成の対象拡大が置くなわれてきた千葉県。年々子育てしやすくなっているというわけだ
急ピッチで医療費助成の対象拡大が行われ、年々子育てしやすくなってきた千葉県。平成22年には小学校3年生までが対象だったが、現在は通勤、入院ともに中学生までとなっており、所得制限も銚子市、館山市、茂原市などの一部を除けば無しとしている自治体が多い。

その一方で200円~500円までと、さほどの額ではないものの自己負担がありとしている自治体が多いのが千葉県の医療費助成の特徴。たとえば、千葉市は小学生以上の場合、0歳~小学3年生までは通院・入院ともに1回300円、小学4年生~中学生までは通院1回あたり500円、入院1日あたり300円が必要となっている。他の自治体では乳幼児と小学生以上で分け、所得に応じて200円、300円などとなっているのが一般的だ。

また、千葉県でも神奈川県、埼玉県同様、子育て世帯参入を意図した手厚い助成が行われており、具体的には香取市、山武市、いすみ市、多古町、東庄町、横芝光町、一宮町、睦沢町、長生村、長柄町、長南町、御宿町などで高校生までの助成を行っており、そのうちには所得制限、自己負担も無しとしている自治体もある。

千葉県についても県で県下自治体の助成内容を一覧にして公表しているので、それを利用すれば差が一目で分かる。

病気にかかったときのことなど、考えたくないのはやまやまだが、子どもにだけはそうも言っていられないのが現実。より手厚い、子育てしやすい場所に住みたいなら、事前チェックは欠かせない。各県、市町村のホームページのほか、不動産ジャパン内にある、住環境を調べるというページ内に子育て支援についての各自治体の施策がまとめられているので、比較検討したい際には便利。


*2006年の記事に2010年、2016年、2017年加筆、修正。

【関連インデックス】
「子育てしやすい街はどこ?(東京23区編)」
「住み替えるなら家賃助成のある都心の街へ」


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