東急東横線・同目黒線と南武線の交差する街、武蔵小杉。ここでは駅周辺の37haという広大な土地が新しい街として生まれ変わりつつあります。さらに、横須賀線の新駅が開業、今後も川崎市営地下鉄の乗り入れ予定などもあり、大変貌は必至。その武蔵小杉の住み心地を開発計画と合わせて見ていきましょう。

渋谷、横浜直通に加え、
新駅開業で品川、東京、成田空港にも直結


南武線武蔵小杉駅
南武線武蔵小杉駅前。バスロータローの回りにはオフィスや予備校などが立ち並ぶ
東急東横線特急で渋谷から3駅目、自由ヶ丘の次が武蔵小杉です。多摩川を渡り、新丸子を通過すると、右手に高層ビル、南武線武蔵小杉駅、そして左側には多くのタワーマンションが立ち並ぶ。それが今の武蔵小杉です。渋谷からの所要時間は13分。そのまま、横浜へは直通14分。武蔵小杉は渋谷、横浜のちょうど中間に位置しているのです。

武蔵小杉からは都営三田線、東京メトロ南北線直通路線が利用できる

武蔵小杉からは都営三田線、東京メトロ南北線直通路線が利用できる

また、東急目黒線は都営三田線と乗り入れているので、これを利用すれば、日比谷、大手町といった都心のオフィス街へのアクセスも便利。南武線利用なら、東急田園都市線、小田急線、京王線と交差しつつ、立川へ。武蔵小杉は川崎の交通の要所といえる立地というわけです。




中原街道沿いの旧家
中原街道沿いには歴史を伝える建造物が残されている
鉄道だけではありません。徳川家康が江戸入府の際に使ったのが現在の中原街道。東海道が整備されるまでは主要な幹線道として利用され、武蔵小杉周辺には1655年に引き払われるまでは将軍家の宿泊所である御殿があったほど重要な場所でした。また、これと交差する府中街道や、南武線武蔵小杉駅脇を走る南武沿線道路など、川崎市内の主要な幹線道路もこの周辺を走っています。

新駅予定地
2011年春の時点で工事中だった南武線武蔵小杉駅との連絡通路も完成。横須賀線が利用できるようになったおかげで、利便性が一気に高まった
さらに、街作りの一環として開業したのがJR横須賀線の新駅。高架式の新駅は南武線武蔵小杉駅から約250m離れた場所に建設されており、連絡通路で南武線、東急東横線などとつながれています。この完成によって武蔵小杉には横須賀線・湘南新宿ライン、成田エクスプレスの全列車が止まることになり、都心にも成田にも直通で行けるように。所要時間は新宿駅まで約18分、東京駅まで約17分ですから、足回りの利便性は大きくアップしました。

もうひとつ、川崎縦貫高速鉄道も武蔵小杉への乗り入れを決めています。これは新百合ヶ丘から宮前平を経て、武蔵小杉、川崎をつなぐ市営地下鉄計画で、完成は早くても平成29年。今の段階では、計画でしかありませんが、武蔵小杉の重要性を意味するものです。

鉄道で分けられた3エリアにそれぞれの表情
再開発地域は工場が主体だった地帯


武蔵小杉の連絡通路
南武線駅から階段を降りて行くと東急線の駅につながる
武蔵小杉の再開発、街の住み心地を考えるにあたって、まず押さえておきたいのは、この街が南武線、東急東横線の線路で3つに分割されており、それぞれが異なる表情を持っているということです。


武蔵小杉の概念図

武蔵小杉の開発は南武線、東急東横線の線路で分けられている3つのエリアごとに考えると分かりやすい(クリックで拡大)

それを図示したのが右の地図。順に説明しましょう。

 
 






日本医科大学武蔵小杉病院
救急指定の総合病院である、日本医科大学武蔵小杉病院
まずは中原街道を含む、古くからの街が南武線武蔵小杉駅の北側地域(A)。ここには日本医科大学新丸子校舎や同武蔵小杉病院のほか、学校などもあり、低層の住宅街が中心。その中には個人商店が集まった小規模な商店街なども点在しています。

武蔵小杉タワープレイス
周辺のランドマークともなっている武蔵小杉タワープレイスは右手の青い建物
また、駅前を走る南武沿線道路沿いには1995年に完成した武蔵小杉タワープレイスやシティホテルが並び、都会的な雰囲気の、ビジネス拠点となっています。

法政通り南一番街
法政通りは個人商店が中心の賑やかな商店街
次にスーパーや銀行、商店街が並ぶ暮らしに密着したエリアが東急東横線の西側(B)。イトーヨーカ堂や聖マリアンナ医科大学東横病院のほか、中原区役所、中原警察署に消防署、郵便局、図書館が並ぶ、区の中心です。

綱島街道を挟んで大規模マンション、タワーマンションが建ち並ぶ。ここ4年ほどで街の風景は大きく変わった

綱島街道を挟んで大規模マンション、タワーマンションが建ち並ぶ。ここ4年ほどで街の風景は大きく変わった

そして、現在全貌が見えてきた再開発エリアがJR南武線の南側、主に東急東横線の東側(一部駅周辺の西側も含む。C)です。このエリアは元々は工場が集まっていたエリア。現在も南武線沿線には東芝、NEC、キャノン、富士通などの大手電機・情報通信系の企業の工場や研究所などが集まっていますが、武蔵小杉も開発が行われるまではその一端を担っていたのです。

ところが、平成10年代に入り、工場移転が続き、土地が空き始めます。そこで川崎市、鉄道会社その他はここを新しい住宅地として発展させることとし、平成19年以降、マンションの竣工が相次ぎます。この10年ほどですでに6000戸、人口にして1万5000人がこの街に移り住んでおり、現在も建設は継続中。20階以上のタワーだけでも12棟(うち1棟は建設中)が林立しており、風景は一変しています。かつての武蔵小杉はかつてこの地にあった駅名である工業都市という印象を引きずっていたものですが、現在の武蔵小杉にそのような印象を抱く人はいないでしょう。

商業施設、公益施設なども続々登場、
平成25年頃から格段に便利に

武蔵小杉東急スクエア

開業時には近隣から買い物客が集まったという武蔵小杉東急スクエア。駅前の利便性は大きく向上した(クリックで拡大)

当然、これだけの人口増を受け、平成25年以降、商業施設や公共施設、子育て支援施設なども増加しています。まず、平成25年に完成したのが東急東横線の西側にある武蔵小杉東急スクエア(上部は住宅)。この建物は1階、4階で東急線、2階でJR南武線の連絡通路を繋がっており、専門店、スーパーに加え、学童保育などの子育て支援施設、中原区図書館なども入っています。 

 
駅と商業施設

駅の背後にあるのが武蔵小杉東急スクエア、左手がららテラス、その奥にグランツリー武蔵小杉と商業施設が集中する駅前(クリックで拡大)

東急線武蔵小杉駅の東口広場に面した場所には食品街に加え、フィットネスクラブ、料理教室などこれまでなかったテナントも入ったららテラスが登場。ハイエンドな商品を置く店も多く、しゃれた雰囲気が特徴です。

 
グランツリーの夜景

タワーマンションからグランツリー武蔵小杉を見下ろしたところ。フードコートなども広く取られているなど、全体にゆったりした造りになっている(クリックで拡大)

そして地元のみならず、沿線でも話題になったのが平成26年12月にオープンしたグランツリー武蔵小杉。ファミリー向けのショップが中心ですが、中には日本初登場の店などもあり、飲食店なども充実。すでに休日などには駐車場待ちの行列ができるほどの賑わいを見せており、一気に利便性が向上したと高い評価を受けています。

 
かつては課題とされた駅周辺の往来の自由度は開発が進むにつれ、解消されてきていますし、エリア内を走る幹線道路沿いの歩道も順次整備されてきており、かつてほどの危険はなくなりました。もちろん、人が増えた分、交通量が増え、渋滞も以前とは違う形で生じてはいるようですが、そのあたりは今後、少しずつ変わっていくはずです。


 
では、この街の魅力、これからも続く開発、住宅価格を次ページで見ていきましょう。