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たまプラーザ、「田園都市」を代表する優雅な街

ロンドン郊外の田園都市をお手本に、理想的な街作りを目指して東急が約40年前に開発した街「たまプラーザ」。その理想が今、どのような街になっているのか、将来像も含めてみていきましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

すでに20年以上前のドラマなのに、多くの人がたまプラーザという地名に抱くのは、1983年に大ヒットしたドラマ「金曜日の妻たちへ」の街というイメージ。郊外のおしゃれな住宅街の代名詞、たまプラーザは今、また変わろうとしています。優雅、ゆとりという言葉の似合う、この街の魅力はどこにあるのでしょう?

理想の街を作ろう。その思いが
美しい並木道、静かな住宅街を生んだ

たまプラーザ駅周辺の様子は?
たまプラーザ駅周辺概念図

たまプラーザ駅周辺の概念図。記事に出てくる主な施設を入れ込んである。距離、位置は正確ではありません


 
バスターミナル

かつて北口の地上にあったバスターミナルはたまプラーザテラスゲートプラザ内に移動。羽田、成田、ディズニーランド行きのバスはここから出ている

渋谷から東急田園都市線急行で20分。たまプラーザはこのエリアでは唯一成田、羽田そしてディズニーランド行きのバスが発着するなど、地域の中心であり、2005年に横浜Walkerの「神奈川の住みたい街ランキング」で堂々1位になるなど、県下ではトップクラスの人気を誇る街です。

たまプラーザ団地
たまプラーザ団地内の広い歩行者専用道路。車道とクロスする際は陸橋になっている
駅の開業は1966年、約40年前。その2年後、1968年には住都公団による、全47棟、1200戸以上の規模を持つたまプラーザ団地が分譲されます。同時に東急の主導のもと、周辺でも宅地開発が進みます。目標とされたのは、ロンドン郊外の田園都市レッチワース。都会の便利さと郊外の自然、恵まれた環境を兼ね備えた街を目指したのです。その理想のもと、作られてきたこの街の敷地計画には今も色褪せない先進性があり、それが街の魅力ともなっています。

その特徴は大きく2つに分けられます。まず、ひとつは歩行者の安全、快適さを優先した道路計画です。例えば、たまプラーザ団地内では車道とは別に歩行者のための遊歩道が設けられ、遊歩道沿いには公園が点在。通り沿いの歩道は並木で車道と隔てられ、安全であると同時にこの街のシンボルともいえる並木道となり、気持ちのいい散歩コースになっています。

美しが丘公園
右手は駅からの商店街で、通り沿いには店舗が。しかし、右手美しが丘公園以遠は店舗は少なくなる
もうひとつの特徴は、住宅と商業施設が明確に分けられていること。駅からバス通りを歩いてみると、通りに面しては病院や店舗がありますが、住宅内に入ると皆無。これは建築協定で美しが丘公園、たまプラーザ団地以遠は一戸建ての住宅地域とされているため。住宅地内の静かで安全な環境はこうした配慮の賜物なのです。




ただし、もともとは丘陵地。高台に建つ住宅は、眺望、採光などに恵まれているものの、坂や階段も多く、ベビーカーや高齢者に辛い場所があるのも確かです。

流行の品も揃う
生活の便利さも魅力のひとつ

たまプラーザテラスノースプラザ

かつての東急ショッピングセンターはたまプラーザテラスノースゲートとして生まれ変わった。内容的には東急百貨店がメインで専門店なども

街作りのもうひとつの特徴、都会の便利さを代表するのが駅周辺の商業施設の充実ぶり。長らく駅北口正面には1982年にオープンしたたまプラーザ東急ショッピングセンターがあり、地元の人に親しまれてきましたが、その後南口の再開発と合わせてリニューアル。2010年10月には駅全体の再開発が完了、大きく生まれ変わりました。





駅南側

これまでほとんど何もなかった南口側にも商業ビルができ、バスターミナルも完成

全体の名称はたまプラーザテラス。北口の東急ショッピングセンターはたまプラーザテラスノースプラザと名称が変わり、駅を囲んではゲートプラザ、開発が遅れていた南口にはバスターミナルとサウスプラザなる建物ができています。入っている店舗はファッション関係からインテリア、カフェやレストランに学童保育施設やペットショップ、カルチャースクールと多彩で、子どもから大人まで1日楽しめるスペースとなっています。


農産物直売所

地元の野菜その他を販売する店舗も新装。駅から少し離れると農家も点在しているエリアなのだ

また、駅のすぐ前にはイトーヨーカ堂があり、たまプラーザテラスの回りにはたまプラーザ中央商店街や駅前通り商店街などの並ぶ商店街も。女性に人気の街だけに駅周辺には美容院が50店弱あるそうですし、可愛い子ども服の店、おいしいパン屋さん、ケーキ屋さんもあれこれ。リフレクソロジーやゲルマニウム温浴など美容に気を使う女性向きの店が多いのも、この街らしい感じです。

逆に少ない、あるいはないのは、サラ金にパチンコ屋さんやゲームセンター、ファミレスなど。地元では「安い食べ物屋さんがない」「一人暮らし向きの定食屋さんが少ない」「地元商店街の活気はいまひとつ」などの声もあるようです。

また、駅周辺はいいのですが、住宅地の中ではコンビニはもちろん、自動販売機なども少ないので、単身世帯や共働き世帯には不便かもしれません。

3人に1人は私立中学校へ
教育熱心さも地域の特徴

子ども連れ

街中では子どもを連れたお母さんの姿を多くみかけた

さて、たまプラーザを含む青葉区の特徴として挙げておきたいのが、私立中学への進学率。区の誕生以来、横浜市内では11年連続トップで、2005年は31.8%。3人に1人は私立中学に進学している計算で、2位の都築区の24.7%、4人に1人と比べると、そのダントツぶりがお分かりいただけるでしょう。ちなみに東京都の私立中学進学率は年々増加傾向にあるものの、約16%。比較にならない数字です。


この要因として横浜市教育委員会は「都心部へのアクセスがいいこと、沿線に私立学校が多いこと、人口が増加していること」を挙げています。子どもに合わせて、好きな場所に進学させられる好立地というわけです。その教育熱を反映して、駅周辺には学習塾も多く、点在しています。

ところで、勉強熱心なのは子どもだけではありません。この街にはお稽古事教室が多く、語学やビーズ、料理、茶道、音楽からクラシックバレエ、空手まで種類も豊富。お稽古事好きな奥様方も多い地域というわけです。

では、気になる東急田園都市線たまプラーザの住宅事情を見ていきましょう。

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