トイレは「家人のセンスが一番わかるところ」とも言われる。とはいえ、便器や手洗い器は高価で耐久性もあり、もし気に入っていないとしても、そうそう変えられるものではない。

我が家の場合は中古住宅を購入したため、トイレに関してもともとあったものを受け入れるしかなかった。以前に住んでいた人が注文住宅で建てた家なので、もう少し雰囲気のあるトイレでもよかったかもしれないが、建設時にトイレにまで思いが及ばなかったようだ。

念願のトイレリフォームをすることになって

1階のトイレはお客様が使うことを想定して十分な広さがあり、手洗い付きの便器とは別に洗面化粧台がついている。そしてその洗面化粧台が、なぜかシャンプードレッサーなのだった。なぜここにシャンプードレッサーがあるのかずっとギモンに思ってきた。しかし気に入らないのは家族でも私だけで、機能的には十分なこともあり、そのまま使用すること、十数年が経った。

しかし我が家にもついに「変え時」がやってきた。築13年の自宅を空き家にして4年ぶりにまた戻ることになり、家の中で傷んでいるところをリフォームすることになった。そこでずっと気になっていたトイレも「ついでにきれいにしちゃおう」と提案。家族も渋々ながら同意してくれたのを機にどんなトイレにするか考え始めた。

窯元で手洗い鉢を焼いてもらう

ずっとギモンに思っていたシャンプードレッサーは、一度もシャンプーすることなく撤去することにした。そしてここに念願のカウンターと手洗い器をセットする。手洗い器は、今では各メーカーから白やクリーム色、ピンクなど数種のカラーから選べ、カタチも様々な陶製のものが出ていて、強いこだわりがなければその中から選べば間違いは少ない。

注文して焼いてもらった手洗い鉢

注文して焼いてもらった手洗い鉢

でも、今回はオリジナルの手洗い鉢を、お気に入りの窯元で焼いてもらうことにした。陶芸手洗い鉢は工業製品ではなく人の手で作られるため、ひとつひとつ形や模様が異なり、バリエーションが多い。どんな手洗い鉢を選ぶかで、家人の好みやセンスが表現される。さらにカウンターや蛇口の組み合わせによって、どっぷり和風にもできるし和モダンにも、洋風にもできる。

かなりの数の全国の有名な窯元で手洗い器を取り扱っているし、窯元に行って注文しなくても専用のカタログから好みのものを選ぶことも可能だから、ハードルはそれほど高くないはず。

 

インテリアに統一性を持たせるために

鏡は円形、タオルかけと自動水栓は曲線のものを選んだ

鏡は円形、タオルかけと自動水栓は曲線のものを選んだ

我が家の手洗い鉢は、4年弱暮らした思い出の場所の窯元に形と色を指定して焼いてもらった。色の指定は難しかった。ブルー、紫、緑、茶、など魅力的な色の釉薬がたくさんあったからだ。う~んと悩んだ末、どんなスタイルでも合いそうな、白い釉薬を選んだ。実はお揃いのお茶碗やとっくりも持っている。これはこれでどんなインテリアにも合うし、飽きもこないだろう。

我が家のトイレリフォームはこの手洗い鉢が一番先に決まり、それを元に洗面鏡、水栓、タオルかけ、照明器具、カウンター、壁紙を決めていった。手洗い鉢がまんまるな形なので、他のものを決めるときも丸や曲線がモチーフになった。

手洗い鉢は和にも洋にも合う出来上がりだったので、植物を曲線でデザインしたヨーロッパの輸入壁紙を一部アクセントに採用した。

 

愛着の持てる家にするには

こうして今一つ気に入らなかったトイレが、お客様に見てもらいたい個性のあるレストルームに変身した。趣味は人それぞれだと思うが、どれだけ真剣に考えたか、どれだけ熱心にパーツを選んだかという過程が「満足感」につながっていくと思う。本来なら家の新築をするさいに、トイレのような小さな空間でも時間をかけて壁紙やパーツを選ぶべきなのだと思う。でも新築の時は選ぶものが多すぎて気が回らないかもしれない。

そういう意味では今回のようにトイレリフォームはいいチャンスだ。じっくりと納得がいくまで考えることができるだろう。手間ひまかけて選んだものには愛着がもてる。自分の家に愛着を持つということは、とても大事なことだと思う。

オリジナルで手洗い鉢を作ってもらうときの注意点

設置前の手洗い鉢

窯元から送られてきた設置前の手洗い鉢

最後に、世界に一つだけのオリジナル手洗い鉢を実際に取り付けて使用してみた感想を。

今回の手洗い鉢は、直径が28センチで高さが10.5センチの円形にした。この手洗い鉢では手を洗うだけと想定しているので直径は小さ目でもいいかと思ったけれど、直径が小さく高さが低ければその分、カウンターに水が跳ねやすくなる。自動水栓はまだデザイン・形とそれほど種類は多くないので、もし自動水栓と組み合わせる場合は取り合いにも十分注意したい。

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