いよいよ本格的に雪が降る季節がやってきた。

雪が深い地域では、11月になるとあちこちで雪囲い(ゆきがこい)や雪つりの準備が始まる。雪囲いとは、雪の重みで家や庭樹が潰されないよう、家や庭樹の周りを板やヨシなどで囲うこと。雪つりとは枝が雪の重みで折れないように枝を上から縄で吊るすこと。身近にある「雪囲い」をいくつかご紹介しようと思う。


 

家を守る雪囲い

【写真1】室内からみた雪囲い

【写真1】室内からみた雪囲い

雪がたくさん降る地域では、積もった雪や屋根から落ちてきた雪で、家の窓や入り口などがふさがれてしまうことがある。そこで木をタテヨコに組んだものを屋根から地面に向かって斜めに掛け、そこに板やヨシを立てかけておく。そうすれば窓や出入り口の前に空間ができるし、雪の滑りもよくなる。

【写真1】は室内から履き出し窓を通して外を撮った写真。窓の外に木材が斜めに組み立てられている様子がわかるだろうか。雪が降る季節には、この骨組みに沿ってヨシなどを立てかけて雪から家を守る。窓の外に空間ができてそこを通ることもできる。

 

庭樹を守る雪囲い

庭樹を雪の重みから守る雪囲いもある。

【写真2】は高さが3メートル程度の中木の雪囲いの様子だ。てっぺんから斜めに木材が組んであり、雪が降るようになったらここに沿ってヨシなどで囲って雪から守る。
【写真2】高さ3メートル未満の中木の雪囲いの様子。

【写真2】高さ3メートル未満の中木の雪囲いの様子。

 

 
【写真3】は高さ60センチ程度の生垣状の樹木の雪囲いの様子。木の間に一定の間隔で支柱を立て、そのてっぺんにタテヨコの骨組みを組んだ屋根をのせ、樹木の上に雪が直接積もるのを防いでいる。屋根の骨組みは、緩やかな勾配はつけてあるものの、ほぼ平らだ。豪雪地帯ではこの形では雪の重みに耐えられないだろうと思う。それほどには積もらないと言われる山形県山形市で撮影。
【写真3】低木の雪囲いの様子(撮影:山形市)

【写真3】低木の雪囲いの様子(撮影:山形市)


 

【写真4】高さ30センチ程度の低木の雪囲いの様子。

【写真4】高さ30センチ程度の低木の雪囲いの様子。

【写真4】は地面から高さ30センチ程度の連続した低木の雪囲いの様子。

この写真は豪雪地帯である山形県米沢市で撮ったもの。雪がたくさん積もるため、重さを考え地面に雪を滑らす構造になっている。

 

庭樹を守る「雪つり」 

背の高い庭樹には、庭樹の枝を上から縄で吊るす「雪つり」を見ることができる(【写真5】)。
【写真5】背の高い樹木の雪つりの様子。

【写真5】背の高い樹木の雪つりの様子。

背が高く、枝が横方向に張り出している樹木の雪対策には、木の幹近くに支柱を立ててその先端から各枝へ縄を張る「雪つり」を行う。こうすることで雪の重さで枝が折れることを防ぐ。

【写真6】は庭園の雪囲いと雪つりの様子。木のてっぺんから放射状に延びる大小様々な雪つりの様子は美しい。
【写真6】大小様々な雪つりの様子。足元の中~低木には雪囲いがしてある。

【写真6】大小様々な雪つりの様子。足元の中~低木には雪囲いがしてある。


冬の季節を告げる雪対策

雪囲いも雪つりも、冬の季節をのりきるための雪深い地域の暮らしの知恵だ。私の住む山形市はそれほど雪が積もらないといわれるものの、昨冬は90センチの雪が積もった。11月も下旬になると雪が降る日が増えてくる。12月から3月は、空がどんよりして雪がただひたすらに舞い積もる日が続く。

雪の多い地域の人は雪囲いや雪つりをして冬への心構えを整えていくのだと思う。雪の下では雪囲いや雪つりで守られながら人や庭木がじっと春が来るのを待っている。

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