都市部のマンションの価値判断

都市部のマンションを購入するとき「立地が命」というフレーズをよく聞く。駅からの距離や最寄り駅に乗り入れる鉄道の種類、数、生活利便施設の有無など周辺環境、それらをひっくるめた「立地」こそが「マンションの価値である」と。都市部の、立地がよいマンションは「リセールバリュー(再販価値)」がある、つまり有利な条件で転売しやすいということだ。

自分軸をしっかり持って家選び

自分好みの家にアレンジできれば満足度も高くなる。

自分好みの家にアレンジできれば満足度も高くなる。

しかし、本当に家選びにおいて「立地が命」なのだろうか。一昔前までは、マンションの購入は「一戸建て購入前のワンステップ」と捉えられており、転売するつもりで購入する人もそれなりにいて、リセールバリューは最も重視すべきことだったかもしれない。でも、マンションの居住環境がぐんと向上した今、マンションを終の棲家(ついのすみか)として購入する人も多くなっている。

もしそこに長く住むつもりであれば、転売することはないのだから、四季折々を健康的に、快適に気持ちよく暮らせる「建物の品質の良さ」や、長く住むに値する環境などを重視したほうがよいと思う。転売時に不利になるかもしれないけれど、一般的な間取りや内装ではなく、自分の好みを反映させた家にアレンジして住むということも高い満足感につながる。住む人の事情が多様になってきている今、情報に流されず「自分基準」をしっかり持って家を選びたい。

長く住むつもりでも

ところで、一生もののつもりで自宅を購入しても、なんらかの事情で住み替えが必要になる時がある。その一つが家族のライフスタイルの変化だ。例えば「思わぬ転勤辞令」や「子どもの成長」などがある。我が家の場合、当時は長く住むつもりで一戸建てを購入したものの、転勤がないと考えていた家族に転勤辞令が下り、引っ越しをすることになってしまった。

購入はよく考えてから

我が家のケースのように、そのつもりはなくても何らかの理由で住み替えが必要になる可能性は、誰にだってある。そうなると、持家の存在はかなり重いものになってくる。

初めからそのつもりだったならまだしも「転売」は言うほど簡単なものではなく、我が家も含め一般の人は不動産の売買に慣れていないだろうし、思ったような値段で買ってくれる人が現れるかという不安もある。そうこうして主のいない家になって3年が経とうとしている。

このような状況になってみて、冒頭の「リセールバリュー(再販価値)」の大切さも身に染みてくる。我が家は都市部のマンションではないので一緒にはできないけれど、「万が一の時に売りやすい」は、大切なことだなぁ、と。

自分基準は変化する

「ここに長く住む」と思っていて、その時の「自分基準」を見極めて家を購入したものの、人生は思ったようにはならず、また、時間の流れの中で「購入した時の自分基準」と「現在の自分基準」にズレが生じていることも実感。

当時は子育てしやすい環境が一番の願いで、駅から多少遠くても保育園の近くで緑が多く、大きな公園があるところが良かった。一番キツイ子育て真っ最中はとても助かった。でも、子どもが成長した今では通勤・通学の便の良さが一番に。もし転勤が解除されても、住むのは違う場所がいいかも、と思ったり。

賃貸暮らしという選択

もし転勤があるかもしれないとチラとでも思っていたら、自宅を購入せずに賃貸暮らしをしていただろう。自宅へのこだわりポイントも、重ねる年齢やライフスタイルの変化とともに、変わっていく。賃貸暮らしてあれば、その時々の「自分基準」に合わせて住み替えもしやすいだろう。

自宅の購入は人生最大の大きな買い物であり、楽しみであり、幸せでもある。でも、場合によっては大きな負担にもなってしまう。もし購入をするのであれば、できるだけ先々のライフスタイルの変化まで視野に入れて家を選ぼう。もしそれが難しかったら、先々の見通しが立つまで賃貸暮らしをする。そういう考え方も、ありなのだと思う。

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