リッチなモルトの熟成感を愉しめる
プレミアム角瓶
昨年末の記事、知多蒸溜所の『シングルグレーンウイスキー限定発売』時にも香味開発の深遠さに驚かされたが、またまた福與(ふくよ)伸二チーフブレンダーに敬服する。山崎、白州のモルト原酒を厳選しているのは当たり前だが、シェリー樽原酒とワイン樽原酒をキーモルトに設計されたようで、贅沢といえば贅沢だ。
カスタードクリームやメープルシロップを想わせるしなやかでまるみのある甘い香り。そして口中香も心地よい。甘く豊かな熟成感がふんわりと広がる。わたしはひと口含んで、モルトの熟成感にあふれた印象が強く、オーバースペックじゃなかろうかと希望小売価格を疑ったほどだ。
余韻も飲み手のこころを優しく包み込み、抱擁力のある5,000円以上のスーパープレミアムクラスに負けてはいない。
熟成の深みを抱いたリッチでバランスの良い香味は慈愛という言葉がふさわしい。飲みやすく、しかも飲み飽きない。「この味わいが、2,000円で愉しめるのか」と、ウイスキーを長く愛している人ならばわかるだろう。
父の日にもよし、自分へのご褒美にもよし
ただし、あくまで75年以上ものロングセラーを誇るスタンダードな角瓶を頑に愛する人もいらっしゃるだろう。「自分はプレミアムでなくていい」とおっしゃってもわたしは驚かない。嗜好品である。自分が長く貫いたスタイル、親しんだ味わいというものがある。それでも、さまざまにウイスキーの世界を堪能したいと思っていらっしゃる方々、とくに30代、40代の方々にプレミアム角瓶を自宅に常備することをおすすめしたい。
いつもの日常ながら、なんだかとても満たされた日に、このプレミアム角瓶を心身に浸潤させれば、充足感はより増すことだろう。価格としても“手に届く贅沢”といえる。
ボトルデザインは角瓶の亀甲文様や楕円ラベルを踏襲しているが、薩摩切子などに見られる日本伝統色の藍鉄色のラベルに加え、金のプレートもあしらわれている。スタイリングもプレミアム感にあふれている。
発売後近々には父の日が控えている。父の日ウイスキーとしてプレゼントにもいいし、一緒に飲んでもいい。
何はともあれ、一度は試していただきたい。さらにはこの記事を読んでくださっている20代の方々、あなた方は若いときにこんなリッチな味わいのウイスキーを2,000円で飲めて幸運だ。わたしの若いときはこんな価格で、ここまでリッチな香味には出会えなかった。ウイスキーは革新をつづける。
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