サンディ・ヒスロップ氏の傑作

サンディ・ヒスロップ氏
ガウディ氏、ヒックス氏の遺産を継承しながら21年という新しい香味を創造したサンディ・ヒスロップ氏
バランタイン21年は2年ほど前、2007年春に発売されたまだ新しい一瓶だ。登場したとき、「おっ」と驚きながらも紹介するタイミングを逃しつづけていまになってしまった。
ついこの間、ウイスキーは飲みたいがシングルモルトを欲していない夜があった。円熟味のあるブレンデッドが恋しくなり、バーで響21年とバランタイン21年を堪能したのだが、あらためて「なんてバランスのいい、純粋で一途な味わいなんだろう」と実感した。
バーテンダーに聞くと、「素晴らしいウイスキーなのに、もうひとつ認知度が低い」と言う。バーでシングルモルトの図式がいまや主流だから、高級ブレンデッドは分が悪いのは仕方ない。ならば紹介しなければ、と使命感に駆られた。

バランタイン21年は現マスターブレンダー、サンディ・ヒスロップ氏のブレンドが生んだ傑作だとわたしは思っている。
ヒスロップ氏は、"The Nose"と呼ばれた前マスターブレンダー、ロバート・ヒックス氏(2005年退任)の下で約20年間働き、技と価値観を受け継いだ。そのヒックス氏の師匠であったジャック・ガウディ氏がまた凄い人物で、伝説的なブレンダーだったが、ヒスロップ氏は若かりし頃にガウディ氏の薫陶も受けている。極めて美しい匠の伝承の姿がバランタインにはある。

ナッティ、クリーミーな香味

バランタイン21年
バランタイン21年/700ml/43度/¥18,000
秀逸なスコッチにはナッティで、クリーミーな感覚がある。バランタイン21年はそのナッティ、クリーミー系の香味をしっかりと伝えてくる。
それはバランタイン17年とも30年とも異なる感覚だ。馴染みのある17年にもナッテイ、クリーミーは潜んでいるが、17年はフルーティー、スパイシーの印象が圧倒的だ。またそれが持ち味であり、多くのファンをつかんでいる要因でもある。
ではバランタイン21年は17年とは異なるどんな酔いをもたらしてくれるのか。次ページで香味から受ける酔い心地を述べよう。
次頁へつづく)