ゆるぎないスタンダードの価値

前回は秋刀魚で、今度の記事は『パンとバター』。なんだコイツと思われる方も多かろう。だが今回は私の勝手な思い込み表現ではない。
もう時効だから明かしてもいいだろう。4年ほど前、サントリー・マスターブレンダーの鳥井信吾副社長と当時バランタインのチーフブレンダーだったロバート・ヒックス氏の対談の司会を私が務めたことがあって、その対談中にヒックス氏から『パンとバター』の言葉がでたものだ。

バランタイン・ファイネスト
スタンダード・スコッチのベストセラー、バランタイン・ファイネスト
鳥井副社長が「バランタインは30年、17年という名品が広く知られているが、私はファイネストのバランスのよさに感心しているし、好きなウイスキーのひとつ。ファイネストは、スタンダード・スコッチそのもの」とおっしゃった。
ヒックス氏がそれを受けて「バランタイン・ファイネストはパンとバターのようなもの。ゆるぎないスタンダードがなければ、その上の高級品たちも生きてこない。ブレンダーにとっては、大切な一瓶です」とこたえた。
熟成年数も若く、ブレンドするモルト原酒の数も多くはない。だがファイネストというスタンダードの延長線上に12年、17年、30年の香味がある、と彼はつづけた。
鳥井副社長は「ごもっともです。サントリーには角瓶がそれにあたります。角瓶の延長線上にいま、響というブレンデッドがあるといえるでしょう」とふたりは意気投合した。
その後にヒックス氏はパンとバターについてかたりはじめた。

角瓶
日本のパンとバターは、70周年の角瓶

3製品をアタマに入れて読め

でだ、ここでまた得意の意地悪をする。次ページでヒックス氏の説明をするとして、ここでスタンダードなブレンデッドウイスキーを3つほどアタマに入れておいていただきたい。
ひとつはもちろんバランタイン・ファイネスト、同じくスコッチのジョニーウォーカー・レッド、そしてサントリー角瓶だ。これらをアタマに入れて次ページを読んで欲しい。
次頁へつづく)