「庭の手入れが大変」とか、
「出かける時に鍵を閉めるのが面倒」とか、
「上下階の移動が億劫」とか、
よく聞く話だ。
一戸建てに暮らして、ちょうど1年のわが家の場合。
予想はしていたけれど、たしかに、マンション暮らしよりも、
いろいろ面倒なことも、時間を取られることも、
多いかもしれないな、と。
庭好きだから、できるけど
ワタシは生まれた時から木造の家に住んでいたので、庭の水撒きとか雑草取りとか、そんなに面倒なこととは思ってはいない。とはいえ、ひとり暮らしの時も結婚してからも、20年以上のマンション暮らし。すっかり、一戸建ての暮らし方、は身体から抜け落ちているのが現実だ。オットは団地っ子。学生時代に両親が建てた一戸建てで生活したものの、社会人となってからはずっとマンション。家の管理や庭仕事などした記憶がない、というようなタイプの人間だ。
そんなワタシたちの住まいは、一戸建てとはいえ、決して大きな家ではない。もちろん、庭だって広いわけじゃないけれど、猛暑日が続いたこの夏は、庭の水撒きも重要な日課のひとつとなった。夕方、たっぷりと水を撒く。気候によっては朝にも撒く。狭いとはいえ、家のまわりをぐるっと取り囲むような庭は、ホースを伸ばすのもひと苦労だ。なんだかんだで、30分程度は庭にいることになる。
仕事を持っていたり、庭仕事が好きじゃなかったら、これはけっこう苦痛かもしれない。庭をプランニングする際は、どこまで手をかけることができるのか、も充分考慮した方がいいだろう。石やタイルを中心にしたスペースにするとか、広めのウッドデッキを設置するとか、方法はいろいろあるはずだ。自然を上手に取り込む暮らしは素敵だけれど、手入れが行き届かないのであれば、残念なこと、になってしまうかもしれない。
気になる天気予報
高いところの窓は、予想通り掃除が大変だった……
突風地帯に建つわが家の場合、植木鉢はもとより、ガーデンテーブル・チェアなどは家の中に避難させなければならない。自転車だって倒れかねないし、網戸もバタつくので外しておく方が安心だし。台風の動きに合わせて、さまざまな準備が必要になってくるのだ。天気予報をこれほど気にしたのは、生まれて初めてかもしれないな。
台風が過ぎた後の庭木の手入れや枯葉掃除は予想していたが、予想外だったのが窓。雨戸やシャッターを設置していないわが家の場合、塩分を含んだ海風が容赦なく窓ガラスに吹き付け、かなりの汚れを残していく。「汚い窓は見ないふり」をして過ごしたいが、さすがにいつまでもそのまま、というわけにもいかず、台風後のオットの休日は窓拭きで終わることになる。
最近はわが家のように、雨戸やシャッターのない家も多い。窓ガラスの性能が高くなっていることもあり設置しなかったが、窓のあまりの汚れっぷり、を見ると、付けておけば少しはラクだったかも、と思わないこともない。
戸締りはマンションの方がラクだけど
一戸建てを選んだ理由のひとつが、自然に近い、土に近い暮らしがしたい、ということ。なので、今の季節であれば、終日ほとんどの窓を開け放して生活しているのだが、外出の際に窓を閉めてまわるのは、正直、面倒に感じることもある。マンションであれば1ヶ所か2ヶ所、閉めればよかったわけで、こればっかりは、なかなか慣れない。いまでも、どこか閉め忘れたりすることがある。急に、雨が降ってきたりする時も同じこと。窓を閉めにバタバタと走らなければならない。でも、マンションでは聞くことができなかった屋根をたたく雨音や庭に落ちる雨粒の匂いは、正直心地よいものだ。自然を五感で感じることができる一戸建ての魅力は、やっぱり捨てがたい、とも思う。
まだまだ新しいわが家、ということで、「面倒」とか「忙しい」というのも、「結構楽しい」と自分の中では同意語かもしれないけれど、一戸建てを維持して快適に暮らすことは、それなりに大変だ、と実感している。維持するためには、ある程度の気力も体力も必要だし、費用だってかかるものだ。 あ~、やっぱり、忙しい、かも。
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