2008年の春先に、あるデベロッパーの物件をめぐる弁護士法違反容疑事件(無資格者による立ち退き交渉など)が世間を騒がせ、「地上げ屋」という言葉が盛んに使われていました。そのときは久しぶりに聞いた感じもしましたが……。

かつてのバブル時代にすっかりと悪いイメージが定着してしまった「地上げ屋」ですが、本来はそのような意味でなかったとか。

「地上げ」といえば単純には土地の買い取りなどを指す一方で、広い意味では土地やビルの複雑な権利関係を法律に則って整理をし、スマートに再開発を進める、高度で専門的な業務をあらわすこともあったようです。

現代風にいうのなら、都市部における不動産の再開発や有効活用、高度利用を目的とした「土地コーディネーター」でしょうか。

札束

「地上げ」のイメージが悪くなったのはバブルの頃?

それはさておき、弁護士などから立ち退き交渉を受けたときに、すぐ「分かりました」と立ち退く権利者ばかりであれば、悪いほうのイメージの「地上げ屋」が暗躍する余地はないのですが、現実はそういうわけにはいきません。

個々の事情で立ち退きが困難なケースも当然ながら多いほか、一部には立ち退き料のつり上げを狙う権利者が存在するケースもあるようです。

大都市圏の中心部ではまだしばらく人口増加が続くものの、人口減少が本格化してきた地方都市では、空家や空地が増えて虫食い状態になるところが続出することも必至です。

地方都市が本来の機能を維持していくためにも、また大都市圏の防災機能を高めるためにも、良いほうのイメージの「地上げ屋」が活躍できる土壌づくりがますます重要になっていくように感じられます。

不動産業者の利益を守るためではなく、「社会的に意義のある地上げでの立ち退き者を支援すること」を目的とした制度、社会基盤づくりもこれから必要になっていくことでしょう。


>> 平野雅之の不動産ミニコラム INDEX

(この記事は2008年10月公開の「不動産百考 vol.24」をもとに再構成したものです)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。