旧暦では「神無月」、10月の伝統行事や暮らしの歳時記
10月の旧暦・和風月名は「神無月」(かんなづき/かみなしづき)
神々が出雲の国に行ってしまい留守になるという意の「神なき月」が転訛(てんか)して「神無月」になったといわれています。一方、神様が集まってくる島根県では「神在月」(または「神有月」)と呼ばれます。
昔から神様にとっても特別な月とされてきた10月の行事・風物詩についてご紹介します。
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<目次>
10月1日【衣替え】
「衣替え」は、10月1日を目安に夏服から冬服へと替える風習です
衣替えは、平安時代に中国から伝わった習わしで、宮中行事として、年に2回、衣を替えるようになりました。当初は「更衣(こうい)」といいましたが、「更衣」という言葉が女官の役職名に用いられるようになったため、「衣更え(衣替え)」と呼ばれるようになりました。
江戸時代になると着物の種類が増え、気候に合わせて年に4回の衣替えが武家社会で定められ、庶民にも広がっていきました。やがて明治時代に洋服が取り入れられると、役人や軍人などが制服を着るようになり、暦も新暦に変わったため、夏服と冬服を年に2回替えるようになりました。この衣替えの意識が学校や家庭にも浸透し、現在に至っています。
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2024年は10月14日【スポーツの日】
「体育の日」は、2020年に「スポーツの日」に改称されました
もとは「体育の日」で、2020年に改称されました。「体育の日」は、1964年に日本で初めて開催された東京五輪を記念し、1966年に「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう日」として制定された国民の祝日です。もともとは東京五輪の開会式が行われた10月10日で、「ハッピーマンデー制度」が適用された2000年から10月の第2月曜日になりました。
特例により、2020年と2021年は東京五輪の開閉会式に合わせて3つの祝日(海の日、山の日、スポーツの日)が移動されましたが、2022年から元に戻りました。
最近は春に運動会を実施する学校も増えていますが、「体育の日」(現「スポーツの日)のころは運動会シーズン。運動会は秋の季語で、秋の風物詩のひとつです。かつての「体育の日」には、運動会をはじめ、スポーツイベント、体力測定、スポーツ施設の開放など、さまざまな催しがありました。「スポーツの日」と名称が変わってもそれは同様で、気候もよく、体を動かすにはうってつけですから、スポーツに親しみ、健康を考えるきっかけになると良いですね。
▷今年のスポーツの日(体育の日)はいつ? 由来・運動会の豆知識・東京五輪開会式の影響
2024年は10月15日(旧暦9月13日)【十三夜】
十三夜は十五夜に次いで美しい月だといわれています
「十五夜」のお月見が中国伝来なのに対し、「十三夜」は日本でうまれた風習です。栗や豆の収穫祝いでもあるため、別名「栗名月」「豆名月」と呼ばれています。お月見といえば十五夜が定番ですが、十三夜は十五夜に次いで美しい月だといわれており、昔からとても大事にされてきました。
十五夜か十三夜のどちらか一方しか月見をしないことを「片見月」「片月見」といい、縁起が悪いとされています。
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10月31日【ハロウィン】
日本でもすっかり秋の風物詩となった「ハロウィン」
古代ケルトでは11月1日に暦がかわったので、10月31日は年の変わり目にあたり、旧い時と新しい時がうねりを起こし、闇と光、あの世とこの世が混ざり合い、先祖や親しい死者たちがこの世に戻ってくると信じられていました。そのため、10月31日は死者のことを思い、あの世から訪れた死者をもてなして供養する日として大切にされていました。それを怠ると霊たちは怒り邪悪なことを起こす、祖霊に便乗して悪い妖精、悪魔、魔女などがやってきて災いをもたらす、などと言われていたそうです。
19世紀の後半、移民とともにアメリカに伝わったこの祭を子どもが大変怖がったため、子どもも楽しめる行事へと変化していきました。ハロウィンにやってくる災いをもたらす悪魔や魔女から身を守るために仮面をかぶったり、悪霊や魔女の恰好をして仲間にみせかけたりしたのが、仮装の始まりです。
ハロウィンのシンボルといえば、お化けカボチャ 「ジャック・オー・ランタン」(Jack-o'-lantern)。カボチャをくり抜いて作るランタンで、悪霊が怖がって逃げるなどといわれているため、玄関や窓辺に灯してハロウィンを迎えます。
▷ハロウィンの由来・起源と、日本のハロウィン事情!
10月頃【紅葉狩り】
紅葉狩りとは、紅葉(こうよう)を見物する秋の行楽です。紅葉狩りの「狩り」は、もともと獣を捕まえるという意味で使われていましたが、やがて小動物や鳥を捕まえる意味に広がり、果物などを採る意味にも使われるようになりました。さらに、草花を鑑賞するという意味にも使われ、「紅葉狩り」と呼ぶようになりました。もともと平安時代の貴族の間で始まり、紅葉を見物しながら宴を開き、その美しさを和歌に詠んで勝負する「紅葉合」が流行したそうです。その後、江戸時代から庶民にも広がり、季節行事として定着していきました。
紅葉は他の国でも見られますが、とりわけ日本の紅葉が美しいといわれているのは、日本の気候風土のなせる技。日本は国土のおよそ3分の2が森林で、様々な落葉樹が生えており、寒暖の差も結構あるため、いたるところで美しい紅葉を楽しむことができるのです。明け方の最低気温が6度~7度位になると紅葉が始まり、およそ20日~25日後に見頃を迎えます。
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10月の行事食・食べ物
「十三夜」は、栗や豆の収穫祝いでもあります
十三夜の月見団子は、十三夜にちなんで13個、または3個供えるのが基本です。 日本で生まれた風習といわれる「十三夜」は、栗や豆の収穫祝いでもあるため、月見団子とともに栗や豆を供えて食べる風習があります。
▷月見団子のお供え方法…並べ方・積み方・数・レシピ
●ハロウィン:リンゴ・カボチャ・ハロウィンキャンディ
ハロウィンの起源のひとつに「ポーモーナ祭」という豊穣祭があり、そこではリンゴがシンボルになっていたことから、「キャラメルアップル」というリンゴ飴やリンゴ料理が登場します。
また、お化けカボチャにちなんで、カボチャのお菓子や料理が人気です。ハロウィンキャンディは、子どもたちに人気の飴。「キャンディコーン」という白・オレンジ・黄色の3色に彩られたコーン型のキャンディが定番です。
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