秋を彩る蔦紅葉には、なぜ紅葉する蔦としない蔦があるの?

色づきはじめた蔦紅葉。「ツタ」という名は、「伝う」からきています。
路地裏のフェンスや壁に絡みつく色鮮やかな蔦(つた)に、ハッとした経験はありませんか。思わぬ場所で出合う紅葉は感動もひとしおで、木々の紅葉とはひと味違う美しさがあります。

でも、多くの蔦は緑色のまま。同じ蔦なのに、どうして紅葉するものとしないものがあるのでしょう……実は、種類が違うのです。

 

紅葉しない常緑の蔦は「冬蔦」

ヨーロッパで蔦に覆われた家が多いのは、魔除けになり裕福な家の象徴だから

ヨーロッパで蔦に覆われた家が多いのは、魔除けになり裕福な家の象徴だから

冬でも葉が落ちず緑色なのがウコギ科の「キヅタ」で、「冬蔦」とも呼ばれています。ガーデニングで人気のヘデラ、アイビーも同様です。基本的には常緑で、落葉しません。育つ環境によっては赤みを帯びてくることもありますが、モミジのような鮮やかさではなく、なんとなく色づく程度で、夏になれば色が戻ります。

【豆知識】
ヨーロッパでは、常緑の冬蔦を家の壁にはわせると雷や魔よけになると言われていました。また、冬蔦は裕福な家の象徴で、これが急に枯れ落ちたりすると災難が起こるという迷信もあります。そのため、ヨーロッパには大きな石造りに蔦をはわせた家が多いのです。

紅葉する蔦は「夏蔦」

都会で見つけた“まっかな秋”
よく見ると、ブドウに似た実がついています。
秋になると美しく紅葉し、冬には葉が落ちてしまうのはブドウ科の「ツタ」で、「夏蔦」とも呼ばれています。この夏蔦をよく見てみると、ブドウ科だけあってブドウのような実をつけています。また、落葉時には葉を支えている柄(え)の部分を残して先に葉の部分だけが落ち、そのあと残った柄が落ちるのも特徴です。
 
【豆知識】
夏蔦は、その艶やかな紅葉ぶりが好まれて歌に詠まれることも多く、「紅葉蔦(もみじづた)」「蔦紅葉(つたもみじ)」「錦蔦(にしきづた)」などの別名があります。童謡『まっかな秋』「まっかだな まっかだな つたの葉っぱがまっかだな♪」 というフレーズも、夏蔦のことをさしています。
※『まっかな秋』 作詞:薩摩忠/作曲:小林秀雄

常緑のほうが冬蔦で、紅葉する「紅葉蔦」は夏蔦……少々ややこしいネーミングですが、覚えておくと秋の楽しみが増えそうです。
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