・不妊治療や検査を受けている夫婦は5組に1組
・不妊治療にかかる費用は医療費控除の対象です
・不妊治療費助成金制度が拡充される予定です
・まとめ
不妊治療や検査を受けている夫婦は5組に1組
厚生労働省の研究機関による出生動向基本調査(*)では、不妊の治療や検査を受けたことのある夫婦は全体で18.2%と、約5組に1組の夫婦が不妊による治療もしくは検査を受けた経験があると答えています。*国立社会保障・人口問題研究所 第15回調査
不妊治療にかかる費用ですが、タイミング法など保険適用内のものであれば負担は数千円で済みますが、人工授精・体外受精・顕微授精など保険適応外の治療となると全額自己負担になるため費用が数万円~数十万円となるうえに、治療が複数回におよぶことも多く、費用面で治療をあきらめてしまう方も少なくありません。
不妊治療にかかる費用は医療費控除の対象です
国税庁のホームページには不妊治療にかかる費用が医療費控除の対象となると明確に記載されています。(国税庁 不妊症の治療費・人工授精の費用)なお医療費控除の対象は「診療および治療にかかる費用」ですので、不妊治療の一連の流れの中での検査費用や施術費、また診療を受ける際の公共交通機関の交通費(自家用車のガソリンや駐車場代は対象になりません)などが対象になる一方で、直接治療に関係のない検査(ブライダルチェックなど)や自己判断で購入したサプリメント代などは対象になりません。【照会要旨】
不妊症の治療費や人工授精の費用は、医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】
医師による診療等の対価として支払われる不妊症の治療費及び人工授精の費用は、医療費控除の対象となります。
【関係法令通達】
所得税法施行令第207条
また自治体からの「不妊治療費助成金」を受けている方は、その額を不妊治療にかかった費用から引いた額が医療費控除の対象になりますのでご注意ください。
(国税庁 地方公共団体が支給する少子化対策のための助成金等の所得税法上の取扱い)
不妊治療費助成金制度が拡充される予定です
前項で触れた「不妊治療費助成金」とは、国の「特定治療支援事業」に基づき自治体から支給される「特定不妊治療」を受けている方への助成金のことです。なお「特定不妊治療」とは体外受精・顕微授精の2つを指します。
現在保険適用でないためこの治療は全額自己負担であり、妊娠を希望する家庭にとっては負担が大きくそれを金銭面で支援する事業です。
現在国会において、この支援事業の予算案が審議中であり、今後は所得制限の撤廃や、助成額の増額など制度の拡充が図られる予定です。 菅総理は2020年10月26日の所信演説で「不妊治療への保険適用を早急に実現する」と明言し、2022年までに不妊治療の保険適用を目指しています。それまでは現在の「不妊治療費助成金」を拡充することで、妊娠を希望する家庭への支援対策を行おうとしているわけです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。不妊治療は費用が高額なうえ治療が複数回におよぶこともめずらしくありません。しかしながら不妊治療にかかる費用は医療費控除の対象であることや、今後は助成金制度の拡充、不妊治療自体の保険適用が見込まれているなど、挙児希望の家庭にとって将来は明るそうです。【関連情報をチェック】
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