医療費控除を申告する手順は?必要な書類は?

所定の医療費の支出が多いと、医療費控除の確定申告をすることで還付金がもらえる、つまり払い過ぎた税金が戻ってきます。大まかな手順は次のとおりです。

【医療費控除で還付金を受け取る手順】
  1. 医療費控除の申告に必要な書類をそろえる
  2. 1年分の医療費の領収書を整理しておく
  3. 医療費の明細書を作成する
  4. 確定申告書A第一表を作成する
  5. 確定申告書A第二表を作成する
  6. 申請書類一式を税務署に提出する
  7. 指定した口座へ還付金が振り込まれる
 

1. 医療費控除の申告に必要な書類をそろえる

医療費控除の申告をするには、まず必要書類をそろえます。サラリーマンやパート・アルバイトといった給与所得者が医療費控除を受ける場合、次の書類が必要です。それぞれの書類の入手方法については「医療費控除を申請したい!用紙はどこで入手できる?」をご覧ください。

【医療費控除の必要書類】※リンク先はいずれも国税庁 必要書類がそろったら、いよいよ申請書の作成。ただしその前にやっておくべきことがあります。
 

2. 1年分の医療費の領収書を整理しておく

納税者が医療費を支払った場合、医療費控除は、本人のものだけではなく、同一生計の家族(配偶者や子ども、その他親族)のものまでまとめて申告することができます。

この時、医療費控除の明細書には、領収書1枚ごとに個別に転記する必要はなく、まとめて転記します。また、平成29年分【2017年分】の確定申告から、領収書の添付は必要ではなくなり、健康保険組合等が発行する医療費のお知らせがあれば「まとめて転記」も可能になりました。

それらの変更点も踏まえ、給与所得者が医療費控除の明細書へ記入する前にしておくべき手順は、次の通りです。
  • 医療を受けた人ごとに、かかった病院別、薬局別に領収書をひとまとめにする。
  • まとめた領収書をホチキスやクリップなどでばらけないようにまとめておく
  • まとめた領収書の単位で医療費の集計を出しておく
  • 平成30年分の源泉徴収票も手元に用意しておく
  • 健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」があれば、まとめて転記も可能なので、準備しておくと便利
このようなとりまとめ作業をしてから医療費控除の明細書に記入すれば、領収書添付が不要となったので格段に早く医療費控除の明細を記入できるでしょう。

なお今回は、国税庁が実際にパンフレットで紹介している下記の事例を使って解説します。みなさんも源泉徴収票を手元に置き、「支払金額」などの必要事項を確認しておきましょう。

【事例】
  • 支払金額(年収) 714万円
  • 給与所得控除後の金額(所得) 522万6000円
  • 源泉徴収税額(支払った所得税) 11万300円
  • 医療費控除以外の所得控除については、年末調整において適切に処理されているものとする
 
医療費控除を受ける前の源泉徴収票の記載例 (出典:国税庁資料より)

医療費控除を受ける前の源泉徴収票の記載例 (出典:国税庁資料より)

 

3. 医療費の明細書を作成する

●3-1 支払った医療費と受け取った保険金を記入
 
医療費控除明細書の記載例 (出典:国税庁 資料より)

医療費控除明細書の記載例 (出典:国税庁 資料より)


領収書の内容から明細書へ医療費を転記していきます。ここで医療を受けた人ごとに、かかった病院別・薬局別に集計しておくという作業が生きてきます。また、公共交通機関を利用した通院費のとりまとめについてはJR・○○バスと交通機関を記入し

□ その他の医療費
という箇所にチェックマークを付すのも、平成30年分確定申告作成時のポイントです。

今回の事例によると、国税太郎さんにかかった医療費25万7千円、妻である良子さんにかかった医療費が4万400円、同一生計のハナさんにかかった医療費が15万円、領収書のとりまとめ等から44万7400円の医療費がかかっています。(親族の続柄の記載欄が削除されたのも様式の変更ポイントです)

また、健康保険組合等から発行される「医療費のお知らせ」から5万2600円かかっているので、かかった医療費の合計はちょうど50万円となっていることがわかります。

また、太郎さんが20万円の保険金等を受け取ったことがわかります。このような「生命保険や社会保険などで補填(補てん)される金額」は、支払った医療費から差し引く必要があります。

●3-2 医療費控除額を計算して、明細書に記入する
 
医療費控除の明細書の下部 合計欄の記載例 (出典:国税庁資料より)

医療費控除の明細書の下部 合計欄の記載例 (出典:国税庁資料より)

医療費の明細書の下部には、控除額を計算する欄があります。下記の通りA~F欄を記入し、控除額を算出しましょう。

【A欄】支払った医療費の合計額。今回の事例だと50万円です。

【B欄】高額療養費制度や民間保険会社からの入院給付金など保険金などで補てんされる金額。今回の事例では20万円です。

【C欄】A欄-B欄の金額。この設例では50万円ー20万円となりますが、保険金などで補てんされる金額がなければ、A欄とC欄には同じ金額が入ります。

【D欄】所得金額の合計額。給与所得者の場合、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」欄に書いてある金額です。今回の事例だと522万6000円です。

【E欄】D欄の5%の金額。今回の事例だと522万6000円×0.05=26万1300円です。

【F欄】E欄と10万円のいずれか少ない金額。今回の事例だと26万1300円>10万円なので、10万円と記入します。
※年収311万6000円未満の給与所得者だと、E欄の金額が10万円より低くなります。つまり、医療費が年間10万円以下でも医療費控除が受けられることがあります。

【G欄】C欄-F欄(医療費控除額)。つまり、F欄以上の正味支出医療費があると、医療費控除を受けることができ、その控除額はG欄の額となるのです(この設例では30万円ー10万円)。
 

4. 確定申告書A第一表を作成する

 
医療費控除を受ける際の申告書第一表記載例 (出典:国税庁 資料より)

医療費控除を受ける際の申告書第一表記載例 (出典:国税庁 資料より)


医療費控除の明細書で控除額が算出できたら、次は確定申告書Aにとりかかります。収入(年収)や所得、所得控除、すでに源泉徴収されている税額、正式な税額、還付金がある場合はその金額を計算して記入します。

●4-1 「収入金額&所得金額」を書く
今回の事例では「支払金額(年収) 714万円」なので、「給与(ア)」の欄に714万円と書き入れます。また、所得金額も源泉徴収票にあるとおり「522万6000円」を「給与(1)」の欄に転記するだけです

●4-2 「所得から差し引かれる金額」を書く
医療費の明細書で算出した控除額を転記します。左下、「所得から差し引かれる金額」の医療費控除(18)の欄です。

今回の事例では、医療費控除以外の所得控除については年末調整で適切に処理されているとのこと。源泉徴収票にある「所得控除の額の合計額」(今回の記載例では316万9196円)を(16)の欄に書き、ここに医療費控除額を上積みします。

したがって(20)の合計欄は、「所得控除の額の合計額316万9196円+医療費控除額20万円=336万9196円」となります。必要経費が20万円上積みされたのと同様の効果が得られ、その分だけ節税となるのです。

●4-3 復興特別所得税も考慮して正しい税額を計算
所得控除額が計算できたら、次は税額計算です。このケースで課税される所得の金額は、「522万6000円-336万9196円=185万6000円」となります(この段階で1000円未満端数切り捨て)。これを右側「税金の計算」の(21)に書きます。

この場合、超過累進税率の速算表にあてはめると、税額は「185万6000円×5%=9万2800円」と算定されます。これを(22)と(32)に書きます。

ただし平成25年分所得税より、東日本大震災の財源確保のための復興特別所得税が適用されています。増税分として本来の税額の2.1%が加わるため、 「9万2800円×2.1%=1948円」を(35)に書きます。また、(34)と(35)の合計額「9万4748円」が正式な税額となり、これを(36)に書きます。

●4-4 還付金額を計算する
ここまできてようやく、今回どれだけの所得税が戻ってくるかが算出できます。年末調整が終わった段階では、源泉徴収票にあるとおり、11万300円の税額がすでに差し引かれています。この金額を(38)に書きます。

したがって、その差額である「(36)9万4748円-(38)11万300円=(40)△1万5552円」が払い過ぎた所得税として戻ってきます。

●4-5 還付金を受け取る場所を指定する
右下に「還付される税金の受取場所」という欄があります。ここに、還付金を振り込んでほしい口座の情報を記入します。
【参考】還付金はいつ振り込まれる?どの銀行口座でもよい?

なお、マイナンバーが施行されていることにともない、平成28年分以降の申告書から税務署に提出する申告書に記載例のようなマイナンバーを記載する必要があります。ツメの記載でバタバタしないようにマイナンバーを確認できる書類を用意しておくといいでしょう。

【参考】2017年から確定申告書はマイナンバー記入と提示が必須に
 

5. 確定申告書A第二表を作成する

 
医療費控除を受ける際の申告書第二表記載例 (出典:国税庁資料より)

医療費控除を受ける際の申告書第二表記載例 (出典:国税庁資料より)



確定申告書Aには第一表だけでなく第二表もついています。こちらは比較的すぐ完成するでしょう。

●5-1 左上の「所得の内訳」
所得の種類、給与の支払者(会社名)、収入金額(年収)、源泉徴収税額を書きます。

●5-2 左下の「住民税に関する事項」
今回の事例では16歳未満の扶養親族がいるため、その続柄と生年月日を書きます。なお、平成28年分以降の確定申告より税務署に提出する申告書にはマイナンバーを記載する必要があるので注意しましょう。
※なお、16歳未満を対象とした扶養控除は旧子ども手当(現在の児童手当)と引き換えに廃止されています。

●5-3 右下の「医療費控除額」(16)
医療費の明細書の【A欄】に書いた支払医療費(今回の事例では50万円)と、【B欄】に書いた保険金などで補てんされる金額(今回の事例では20万円)を転記します。
 

6. 申請書類一式を税務署に提出する

医療費の明細書と確定申告書が完成したら、医療費の領収書と源泉徴収票、マイナンバーの確認書類とともに封筒に入れて、お住まいの地域の税務署へ提出します。

提出方法は直接持ち込むほか、郵送や電子申告でもOK。今回のような還付申告であれば必ずしも「3月15日」までに提出する必要はありません。2018年分の医療費控除の申告であれば、2019年1月1日から2023年12月31日まで確定申告書類を提出できます。

【参考】3月15日を過ぎても大丈夫!サラリーマンの還付申告
 

7. 指定した口座へ還付金が振り込まれる

右下に「還付される税金の受取場所」という欄があります。ここに、申告書者本人の還付金を振り込んでほしい口座(この記載例では国税太郎さん自身の開設した口座)の情報を記入しておくと、申告書類を提出してから1カ月~1カ月半ほどで還付金が振り込まれます(場合によっては前後します)。

【参考】還付金はいつ振り込まれる?どの銀行口座でもよい?

以上、医療費控除の申告方法についてご説明しました。医療費控除を考慮した正しい税額を計算し、源泉徴収票などに記載された、すでに差し引かれた税額が多ければ還付される、というのが医療費控除の基本的な仕組みといえるでしょう。

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