「医療費通知」「医療費のお知らせ」を医療費控除で使う時の注意点

2018年の確定申告から医療費控除の手続きが大幅に変更になり、2019年に確定申告する分も同じ手続きになります。ポイントは以下の2点です。
  • 「医療費の明細書」という書式が「医療費控除の明細書」という書式に大幅変更
  • 領収書の添付が不要に
というのがその2点です。
医療費控除明細の様式と記載例(出典:国税庁)

医療費控除明細の様式と記載例(出典:国税庁)


こまかく見ていくと「医療費控除の明細書」という書式には、従来の「医療費の明細書」にはなかった医療費通知に関する事項という記載欄ができました。

医療費通知というのは協会けんぽや勤務先の健康保険組合等から発行される「医療費のお知らせ」のことなのですが、「医療費控除の明細書」という書式が
  • 医療費通知に関する事項
  • 医療費(上記 1以外)の明細
と2区分になったということは、「医療費のお知らせ」があれば、医療費(上記 1以外)の明細にその内容をまとめることが不要となるため、確定申告手続きがより簡単になるでしょう。そこで「医療費のお知らせ」を確定申告手続きに活用する場合の注意点について質問の多い箇所をとりまとめてみました。
 

「医療費通知」に記載された負担額と実際に支払った金額が違う

今回の確定申告で一番多かった質問がコチラです。「医療費のお知らせ」における支払った医療費の額は、診療報酬点数に単価(10円)を乗じて算出される医療費の総額 に被保険者の自己負担割合を乗じて算出されるため、10円未満の金額まで記載されます。一方、通常、医療機関等の窓口で支払う医療費の額は、10円未満の金額につき四捨五入といった端数処理がなされるので、後日、「医療費のお知らせ」にある支払い額と、手許にある医療機関等での領収書の金額が相違する、ということになります。

この場合の結論としては、「医療費通知」に記載された「被保険者等が支払った医療費の額」に基づいて確定申告しても認められますし、医療機関等の窓口で実際に支払った金額により医療費控除の額を集計したものでも認められます。ただし、後者の場合は
  • 実際に支払った金額の合計額を「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」の「(2) (1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄に記載する
  • 実際に支払った金額を「医療費通知」 の余白などに付記する
といった方法のうち、いずれかの記載方法を採ることになります。
 

「医療費通知」に記載のない医療費の支払があるのですが

「医療費のお知らせ」は協会けんぽや勤務先の健康保険組合等から発行される書式です。したがって、いわゆる歯科医などにおける「保険の効かない診療」や、ドラッグストアなどで購入した医薬品は記載されません。また、単純に医療費通知への反映が 間に合わないケース等も想定されるでしょう。この場合、実務では「医療費のお知らせ」に記載のない医療費の支払が実際にはあるということになります。

この場合の対応方法としては、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費については領収書に基づいて「2 医療費(上記1以外)の明細」の各欄に必要事項を記載するということになります。「医療費のお知らせ」には記載漏れがあるかもと疑って作業に入ることもポイントかもしれません。
 

「医療費のお知らせ」に10割負担分しか記載されていない

「医療費控除の明細書」 の記載を簡略化することができる「医療費のお知らせ」には以下の6項目の記載があるものに限られます。
 
  1. 被保険者等の氏名
  2. 療養を受けた年月
  3. 療養を受けた者
  4. 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
  5. 被保険者等が支払った医療費の額
  6. 保険者等の名称
の6項目です。

したがって、医療費総額(10割分)に対する被保険者等の自己負担分の額が記載されていない「医療費のお知らせ」を確定申告書に活用することはできません。また、医療費控除には「該当医療費を支払った年分に限る」という規定があるので、「該当年分以外の医療費」を「医療費通知に関する記載事項」の欄に記入して確定申告手続きを行うことも不可となります。
医療費のお知らせから医療費控除の明細書への記載例(出典:国税庁)

医療費のお知らせから医療費控除の明細書への記載例(出典:国税庁)

 

領収書の添付が不要になったけれど

また、冒頭に書いたように、医療費控除の手続きが大幅に変更になった点として医療費機関や薬局・薬店に支払った医療費等の領収書については確定申告書に添付することは不要になったのですが、「医療費のお知らせ」については確定申告書に添付して医療費控除を受けることとされています。医療費の領収書とは取扱いが異なりますので注意してください。

なお、医療費の領収書についても「医療費控除の明細書」の記載内容を確認するため、必要があるときは、確定申告期限等から5年間、税務署が医療費の領収書の提出又は提示を求めることがありますので注意が必要です。

医療費控除は給与所得者など、本来は確定申告を行う必要のない人が「医療費控除の適用を受ければ税額が還付になる」といったことが判明した場合(還付申告ということもあります)にも、活用ができる制度です。今後は医療費の領収書と同様、「医療費のお知らせ」についても保管場所を定め、確定申告時に活用しましょう。

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