学生の頃、試験前になると、
机まわりの掃除をはじめ、現実逃避。
挙句の果てに、部屋の模様替えまで手を出し、
収集がつかなくなってしまったことも。
「気分一新、勉強もはかどる」予定だったが、
目論見が成功した覚えは一度もない。
試験から解放されて社会人になっても、
忙しい時にかぎって、模様替えがしたくなる癖はなおらず、
マンション暮らしの頃は、深夜でもソファやテーブルの位置を変えて、
ストレス発散していたようなワタシである。
新しい住まいを建てて、2年弱。
そういえば、模様替え、していない。
というか、する必要がないみたい。
間取りは家具の配置まで
アンティークショップで見つけた食器棚とダイニングテーブル。テーブル中央には、吹き抜け天井からペンダントライト。ホント、この位置以外にあり得ない
わが家の場合も、建築家のKさんとの最初の打ち合わせ時、住まいへの希望を伝えるのと同時に、使う予定の家具リストを渡しておいた。なので、提案されたプランには、最初の段階から造作の収納スペースはもちろん、ソファやテーブルなどの置き家具がレイアウトされ、具体的な暮らしがイメージできたし、判断もしやすかった。
最終的に、ソファはテレビやスピーカーとの関係や眺望を配慮した位置に、キッチンからも使いやすく朝陽が気持ちのいいスペースにダイニングテーブルが据えられ、そばには食器棚のスペースも。図面上でも「この空間には、この配置以外あり得ない」と思えたし、暮らし始めてからも「これがベスト」だと実感しているので、家具を動かして模様替えをしよう、などという気分にならないし、動かしようがない、のである。
どこまでつくりこむかはそれぞれ
とはいえ、家族構成によっては、動かしようがない、ことがベストとは限らないかもしれない。たとえば、家族が増えれば、リビングでの過ごし方や食事の仕方に変化があるだろうし、子供が大きくなればモノが増え、子供部屋での過ごし方が変わってくることも。置き家具にしろ造作家具にしろ、ライフスタイルによっては、ある程度、変更可能なプラン、融通を持たせたつくりの方がいい場合もあるだろう。これは、それぞれの家族によって異なるので、いまの暮らし方だけでなく、将来的な変化を予測することがとても重要だ。家族構成も生活スタイルも、インテリアイメージもある程度定まっているわが家の場合、将来的に空間の使い方の大きな変更に迫られることも、家具を移動しなければならないことも、たぶん、ないだろう。だから、「この空間には、この配置以外あり得ない」でOKなのだ。
季節にあわせて、気分転換
と思っていても、時々は、気分転換がしたくなることもあるだろうな。とりあえず、夏にむけて、冬の間敷いてあったキリムを片付けたり、クッションカバーを変えたり、日除けの簾の準備をしたり。これからは、季節にあわせた、大人の落ち着いた暮らし、を目指すことにしようかと。「そんなことよりさ。床磨きとか、庭の雑草取りとか、塩害対策とか、しなきゃいけないこといっぱいあるんだけど……」というオットの声は、聞こえなかったことにしよう。まだまだ奥が深い一戸建て生活に、慣れていないのが現実だ。
【関連記事】
建築家に依頼して建てた 小さな家での暮らしのエッセイ
<空間づくり〉
・2階リビングの住み心地 ・高けりゃいいってもんじゃない ・引き戸がいっぱい! ・浴室に掃き出し窓 ・どこに置く?自転車 ・トイレはふたつ必要か? ・されど階段 ・眺めはいい方が、やっぱりイイ! ・少し年上の建築家に
<使い勝手〉
・「ちょい掛け」できる? ・玄関の内側にポストを設けてみたら ・階段下に屋外収納 ・玄関脇のウォークインクロゼット ・玄関に160センチの木製バー ・「見える」収納 ・自然の素材は覚悟がいる
<海辺の土地で〉
・海が見える暮らしと塩害と ・一戸建ての醍醐味というけれど…… ・四季を過ごしてわかったこと ・周辺環境を、買う ・周辺環境の変化の予測は難しい
<日々の暮らし〉
・一戸建ては忙しい、かも ・一生モノの家具 ・玄関灯と節電と ・わが家のロフトに観葉植物がある理由 ・額に入れれば立派な家宝 ・家づくりと夫婦歴