「窓から庭を眺められないのはモッタイナイ」、
「空が見えないと、息苦しい」と
いつもカーテンを開け放しているような人だ。
そんな環境で育ったせいかワタシは、
昔から、窓から外を、ぼぉ~っと眺めているのが好きだった。
学生時代は、授業そっちのけで、校庭ばかり見ていたし、
高層階のオフィスで働いていた時も、
コーヒー片手に窓から街を眺めていたものだ。
だから、家を建てるための土地探しを始めた時、
窓からいい眺めが得られそう、というのが
かなり優先順位の高い条件のひとつだった。
眺めの良しあしで気分は変わる?
以前、暮らしていたマンションは、共用廊下側の部屋が寝室だったので、朝起きて、ぱぁ~っと窓を開けることもできなかったし、眺めなんて、あったものじゃなかった。本当に寝るだけ、の空間で、そこでくつろぎたい、などと思いもしなかった。仕事部屋も同じ。窓辺に机を置いていたので、明るさは確保できたものの、廊下を人が歩くので、そうそう窓を開けておくこともできないし、パソコン画面に疲れて、ちょっとひと休みしたくでも、曇りガラスじゃ何も見えない。もちろん、空間的な快適さの工夫が足りなかったこともあるが、もし、窓からの眺めがもう少し違ったら、もっと気持ちよく朝が迎えられたかもしれないし、もっと仕事もはかどったんじゃないかな(?)、と思うのだ。
眺めも意識した位置に
季節を感じる木々が見えるキッチンの窓からの眺めはかなり気に入っている
もちろん、採光・通風の役割や外観デザインとしての窓の位置も重要だし、構造面への配慮もあるが、その窓からの眺め、何がどう見えるのか、もしっかり確認すること。せっかく大きな窓を設けても、隣家の窓の正面だったり、道行く人から丸見えだったりでは、残念なこと、になってしまう。
もちろん、周辺環境や条件によって難しいケースもあるだろう。けれど、たとえば、窓の位置を少し移動させることで、庭の樹木を視界に取り込むことができたり、高さを変えることで、空を望むことができることもあるはずだ。外からばかりでなく、窓からの眺めを意識したプランニングは、厳しい条件であればあるほど、とても大切だと思うのだ。
日常の暮らしの中で
そして、もうひとつ配慮したいのは、毎日の暮らしの中で、その眺めを楽しめること。「ソファに座った時」とか、「食事をしながら」とか、「料理を作りながら」とか、そんな日常の行動のなかで、気持ちのいい眺めが視界に入ってくるのが理想なんじゃないかな、と思う。毎日の生活の中で、わざわざ眺めに行くことは、そうそうない。わが家にも、ロフトへの梯子を登ると、かなりいい景色が眺められる窓もあるけれど、そのためだけになかなか登ろうとは思わない。だから、普通に暮らしていて、楽しめちゃう、ことが大切なんじゃないかな、と思うのだ。
で、わが家の場合。リビングやダイニングからは借景の木々が楽しめるし、寝室の窓からは庭を眺めることもできる。気にいっているのは、キッチン作業をしながらも遠くの山を望むことができること。気持ちよく調理ができるのは、かなりウレシイ。だからといって、美味しい料理ができるとは限らないのだが……。
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