晴れの日のためのとっておきボトル
響21年有田焼ボトル
このボトルコレクションの磁器シリーズの歴史は長い。1986年からつづいてきた。現在は日本を代表する世界の名酒、プレミアムブレンデッドウイスキー響21年がその役目を務めつづけている。数量限定品ということもあり一般には馴染みが薄いようだが、このサイトの読者の中には興味をもたれる方もいらっしゃるのではなかろうか。
2012年の有田焼は「色絵菊熨斗文扇形瓶」(いろえきくのしもんおうぎがたびん)。熨斗文(のしもん)とは昔から礼装の意匠としてあしらわれてきた吉祥文様で、簡単にいえばお目出度い、晴れの日の図柄である。有田焼の名門・岩尾對山窯で優美な扇形の白磁に流麗に描かれ、菊も配されている。
響21年九谷焼ボトル
どちらも特別な日、喜びの日に封を開けたい。これからの季節ならば、年末年始、とくに正月の酒宴にふさわしい。山崎シェリー樽熟成原酒をキーモルトにした響21年の重厚で気品のあるコク、奥行きのある余韻が宴に穏やかでやわらかい温もりをもたらすだろう。甘いドライフルーツの香り、スパイシーな味わいが特長的だ。
人間国宝作の酒瓶に響35年
響21年/700ml・43%・¥20,000
「響35年 十四代酒井田柿右衛門作<濁手山つつじ文様酒瓶>」。
今年3月21日に150本の数量限定、700ml・45%・¥1,000,000で発売された。人間国宝作の酒瓶と響35年のこのシリーズは3作品目。2002年に十三代今泉今右衛門、2007年には三代徳田八十吉が手がけた酒瓶が誕生している。
今回の人間国宝の手による色絵磁器は、佐賀県の有田町で約400年もの伝統を誇る柿右衛門窯の当主、十四代酒井田柿右衛門(さかいだかきえもん)氏の作品。現代工芸界の至宝が特別に想を練り、魂を込めて造形した柔らかで端正なフォルムと、山つつじの紅が印象的な格調高い酒瓶、というのもおこがましいほどの逸品だ。ちなみに「濁手」(にごしで)とは、柿右衛門窯特有の乳白色の磁肌をこう表現するそうだ。
そして響35年は、輿水精一サントリーチーフブレンダーが酒齢35年以上もの時を積み重ねたモルト原酒をヴァッティング、グレーンウイスキーも35年以上もの熟成をした秘蔵といるほど貴重、希少なものを使い、ブレンドしている。モルト原酒の中には46年ものも使われているという。
響35年十四代酒井田柿右衛門作酒瓶
これはもう骨董価値であり、皆さんどうぞとは軽々しく言えない。でもウイスキーは嗜好品。スタンダードを超越した世界がもっとあっていいし、世界中のメーカーが稀少性、芸術性を競ってもいいくらいだ。ウイスキー批評家のしたり顔の論評など通じない、特別なウイスキーをつくれるだけの原酒を育み長年見守りつづけられるかどうか、さらにはどんなボトルにそれを湛えるか、これもまたウイスキーづくりの真価だと思う。
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