住まいのプロが提案「イエコト」/住まいなでしこ ~女性目線のすまいのヒント~

玄関に160センチの木製バー

わが家のプランニングの際、今は必要ないかもしれないけれど、玄関に「手すり」をつけて欲しいとお願いした。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

83歳の父と78歳の母は、
築37年の木造家屋に暮らしている。
年齢に合わせて暮らしやすいように、
何度かリフォームを重ねたものの、
高齢のふたりの日々の暮らしの中では、
何かしらの不便さは出てくるものだ。

たとえば、昔風の住まいは、玄関の上がり框が高く、
靴を履いたり、脱いだりする時など、かなりキツイ。
横の下駄箱に手を付き、身体を支えていたが、
さすがにしんどくなってきていたようだ。

で、「ちょっと、これつけてくれない?」と渡されたのは、
自分で設置可能な小さな「手すり」。
ホームセンターで見つけてきたらしい。

ちょうどいい位置に柱もあり、取り付けは簡単だったが、
インテリア的には、正直、いまいち、な感じ。
見た目よりは、安全の方が大事だし、
両親が使いやすいならそれで、いっか、と。

今は必要じゃないかもしれないけれど……

玄関

狭いスペースの玄関でも、すっきりとしているので、邪魔にはならない

そんな、いまいち、の「手すり」だけれど、実家に帰るとワタシも無意識に使っているわけで、やっぱり、「あれば便利だわ」と実感。だから、わが家を造る時には、設計を依頼した建築家のKさんに、「玄関には手すり」をつけて欲しいとお願いした。

後で取り付けられるように、とりあえず下地補強をしておく、という方法もあるけれど、そう遠くない将来、絶対必要になるし、最初からプランニングしておけば、いまいち、な感じにはならないだろう、と思ったのだ。

取り付けてもらったのは、長さ160センチの木製のバー。タモ材のシンプルなデザインで、自然の素材を多用したわが家にはぴったりだし、あまり主張しないところも好み。これだけ長けりゃ、身長155センチのワタシでも、180センチの夫でも使いやすい。座った状態でも「よっこらしょっ」と使えるのはマルだ。

使用する人の動きに合わせて

最近では、建材メーカーの「手すり」もさまざまなタイプがみられるようになっている。新築はもとより、リフォームの際に取り入れるケースも増えてきていて、壁付タイプだけでなく、支柱式のものなどもあり、使う人の状況や空間に合わせて取り入れることが可能だ。

玄関や廊下などには、木製のタイプが多くみられ、握りやすいような形状に工夫を施したタイプもあるし、サイズや色も豊富に揃っている。階段やバスルーム、トイレなど場所や用途に合わせた商品も数多い。

もちろん、「手すり」は、設置してあればいいというものではなく、取り付ける位置や形状が重要。使用する人の身体状況などに配慮して、プランニングすることが大切だ。

汚れないのがいい

また、安心や安全のためだけでなく、玄関に「手すり」を取り付けるメリットはもうひとつある。

靴を履いたり脱いだりと、玄関ではどこかしらに手をついてしまうもの。壁がそこだけ汚れてしまう、という家も多くみられる。特に小さなお子さんがいる場合、そこいらじゅうに、かわいい小さな手のアトが……というケースも。壁の汚れ対策のためにも、「手すり」の設置はオススメなのだ。


壁材に白い和紙を選んだわが家の場合も、なんとか汚れずにすんでいるのは、「手すり」のおかげ。微妙に「手すり」が薄汚れているような気がするのは、有効活用している証拠で、別に掃除をさぼっているわけでは、ない……。


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