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あがり症のためのプレゼン術【実践編】……失敗しないための対処法!

「欧米人は、文化や教育環境によりプレゼン上手」とよく言われていますが、それって本当? 今回は、本番でのあがり対策をお教えします。あがりを少しでも抑えたり、あがったときでも失敗しないための対処法について説明いたします。

西野 浩輝

執筆者:西野 浩輝

営業ノウハウガイド

あがり症のためのプレゼン術!

あがり症のためのプレゼン術!

アガリの克服に悩む人は多いが…

記事「アガリ症のためのプレゼン術~考え方編」でもお話ししましたように、「アガリを克服するのは無理」と私は考えています。

「自分がアガるのは、緊張感をもってプレゼンに臨んでいる証拠。だから悪いことではないんだ」。

そんなふうに発想を転換して、アガリとは一生うまくつきあっていくしかありません。

けれどもアガリを少しでも抑えたり、アガったときでも失敗しないための対処法なら存在します。今回はその方法について説明しましょう。
 

<目次>

プレゼンは、備えあれば憂いなし

アガリを抑えるために、まず大切なこと。それはプレゼン前に、入念な準備をしておくことです。

以前勤めていた会社で、私は欧米人と二人一組になって、英語でのプレゼンをする機会が何度かありました。カナダ人や、イギリス人、ドイツ人など、いろいろな国のビジネスパーソンと一緒に組みました。

彼らと組んでみてわかったのは、その練習量の多さ。

「西野さん、来週のプレゼンに備えて、今度の土曜日は会社で練習がしたいんだけど、空いてるかな?」

と、私を誘います。

そして土曜日は、午後1時から6時ぐらいまでみっちり練習。

「ネイティブではない私に、英語プレゼンの仕方を教えてくれるのかな」と思っていたら、そんなことはありません。みんな自分自身のために練習するんですね。

私から見たら、彼らのプレゼンは十分合格の域に達しています。しかしそれでも何度も練習をくりかえし、私に改善点についてのコメントをもとめます。そしてさらにプレゼンの完成度を上げようとするのです。

不思議に思った私は、「何でそんなに練習するのか」と質問しました。返ってきた答えは、とてもシンプルで納得がいくものでした。

「だって練習しておかないと、本番のときに怖くてアガってしまうから……」


私たちは、「欧米人は子どものときから人前で話すのに慣れているから、日本人とは違って人前でもアガることなく話すことができる」と考えがちです。それも一面事実でしょう。

けれどもそれ以上に、プレゼン前にみっちりと練習をしているから、本番で自信をもって話すことができるんですね。

一方、ほとんどの日本人は、たいした練習もしないままプレゼンに臨みます。だから本番でアガってしまうのは、当たり前といえば当たり前のことなのかもしれません。

準備が万全であるほど、不安は小さなものになります。不安よりも自信のほうが大きければ、アガリは最小限に抑えることができます。「備えあれば憂いなし」なのです。
 

頭が真っ白になっても、口が勝手に動いてくれる

準備をしっかりと行っておくことのもうひとつのメリットは、もし本番でアガってしまって頭が真っ白になったとしても、何とか対処できることです。

そのプレゼンで話す内容を暗記するぐらいにおぼえていれば、頭は全く回らなかったとしても、勝手に口が動いてくれます。だから例えアガったとしても、失敗を避けることができるのです。

表情や笑顔についても同じ。普段からしっかり口を開けて大きな声で話したり、笑顔を絶やさないことを心がけていれば、プレゼン本番のときに緊張のあまり顔が強ばってしまったとしても、ほかの人よりは笑顔や表情が出せているものです。

そういう意味でも事前の準備と、日ごろからの心がけが大切なのです。
 

プレゼン直前に、アガリを抑えるワザがある

プレゼンが始まる直前は、緊張感がピークに達するときです。そのときにアガリを抑えるためのちょっとしたワザを紹介しましょう。

アガりそうになっている自分に気づいたら、「気」を丹田にもっていくように意識します。

丹田とはおへそから5センチ下のところにあり、体の重心になる場所です。

実は「アガる」というのは、本来は丹田にあるべき「気」が、体の上の方に上がっていく状態のことを言うそうなのですね。だからアガってしまった「気」を、丹田にもっていくことで元の位置にもどしてあげるわけです。これでだいぶ落ち着くと思います。


次に息を4秒かけて吸って、4秒間止めて、8秒間かけて吐くという4-4-8呼吸法を実践します。

人は緊張すると、息を吸ってばかりで吐くことを忘れてしまうそうです。これがひどくなると、血液中の酸素濃度が上昇して呼吸困難を起こす過呼吸症候群に陥ります。そこで8秒かけてゆっくりと息を吐くことで、自分を落ち着かせるのです。
 

本番……聴衆の反応を気にせずに

そしていよいよ本番。

聴衆の反応が少なくとも気にする必要はありません。

欧米人の場合は、相手の話にしっかりと反応してあげるのがマナーとされています。だからスピーチのときのちょっとしたジョークにも、大げさなぐらいに笑ってくれます。

ところが日本人の場合は正反対。「静粛に聞く」というのが、相手への誠意だと考えている人がいまだに多いようです。これは私自身もよく体験していることで、研修セミナーの感想を受講生に書いてもらったアンケートを読むと、私の話にまったく無反応だった人がセミナーの内容に深く感動してくれていたりします。


聴衆の反応と満足度は、ほぼ無関係といっていいくらいです。相手に反応がなかったとしても、気にすることはないのです。


それでも聴衆の3分の1から5分の1ぐらいは、熱心にうなずいてくれる人がいるものです。その人にむかって語りかけるつもりで話すと、アガリはかなり軽減されます。

そして最後の言葉は、キーパーソンのほうを向いて語りかける。

これでプレゼンは大成功です。

「アガりそうになったら、周りの人間をカボチャやニンジンだと思え。そうすれば緊張しなくなる」などという人がいます。

でもこれは嘘。

アガリを抑えるには、綿密な準備に裏打ちされた「根拠のある自信」をもつことが効果的です。プレゼンは、本番前がカギを握るのです。


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