前回は、お客様を怒らせる2つの引き金についてお話しました。1つめは、予期せぬ出来事によって、お客様のコントロール感が奪われてしまうことでした。2つめは、敬意が欠けている(と感じさせる)応対によって、お客様の自尊感情を傷つけてしまうことでした。まだご覧になってない方はこちらへ。お客様を怒らせる2つの引き金

今回は、お客様の怒りを静める具体的な方法を紹介します。お客様の怒りを静めるには、失われたコントロール感を取り戻させ、傷ついた自尊感情を癒してあげることがポイントとなります。

■ コントロール感を回復する

お客様の失われたコントロール感を回復するには、お客様がコントロール感を得られるように応対することで、失った分を埋め合わせます。差し引きゼロになるとお客様の怒りは静まり、プラスになると人を許す寛大さが生まれます。コントロール感が十分に高まれば、お客様は関係修復に向けて積極的に行動するようになります。

内的コントロールと外的コントロール

コントロール感とは、自分が行動することによって、望み通りの状況を作り出せるという感覚のことです。私たちにとってコントロール感を持つことは、とても重要なことです。

心理学では、「物事をコントロールしているのは、自分の行動や能力などである」と考える傾向が強い人を「内的コントロール型」といいます。逆に、「物事をコントロールしているのは、他者や運など自分以外のものである」と考える傾向が強い人を「外的コントロール型」といいます。

内的コントロール型の人は、日頃からコントロール感があるため、多少コントロール感を失っても、それを取り戻そうと「怒る」必要はありません。一方、外的コントロール型の人は、日常的にコントロール感が得られないため、自分に少ししかないコントロール感が奪われると、それを取り戻そうと「怒る」のです。

些細なことですぐに腹を立てる人は、外的コントロール型であることを理解しなければいけません。彼らにとっては、ほんの少ししかないコントロール感はとても大切なものなのです。

会話の主導権はお客様に

「おまえの会社はどうなってんだ!いつまで待たせるつもりだ!」感情的になってしまったお客様の言葉は容赦ありません。なんとか怒りを静めようと「申し訳ございません」と謝ってみても「謝って済む問題か!ふざけるな!」と、すかさず返ってきます。

このような場合、お客様を納得させようとするのは逆効果になります。クレーム応対の研修で必ず教わる基本のひとつに「お客様の話をよく聞く」があります。これは、聞き役に徹することで、お客様にたくさん話していただくということです。

感情が高ぶっているお客様は、不満に思っていることをすべて話してしまいたいという欲求があります。私たちは、お客様がすべて話し終えるまで邪魔をせず、事情を聞くことに専念すべきなのです。

私たちが話すと、お客様から会話の主導権を奪ってしまうことになります。私たちの目的は、お客様を説得することではありません。ここがポイントです。怒っているお客様を説得しようとすると、怒りが静まるどころかますます怒らせてしまいます。私たちの目的は、お客様の失われたコントロール感を回復させることなのです。

お客様の話をよく聞くということは、会話の主導権はお客様にあるということを暗に示します。私たちが聞き役に徹すれば、お客様はコントロール感を取り戻し、自然と怒りは静まります。

※お客様が話すことによって、自分の誤りに気づいてくれることもしばしばあります。

次は、要求を通したい心理について。 次のページへ

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