海外から英語でクレームメールが! 困ったときに使える返信方法
相手に共感する返信メール
多少書くことはできるのに、なぜか返信の冒頭はどう書いていいかわからない……。今回は多くのビジネスパーソンが抱えるこの悩みを解消してくれる「やまびこイントロ」の法則を紹介します。この法則は、返信文面で相手の主張をオウム返しすることで自身が相手を理解していることを示す方法です。実際の英語論文でも使われるecho(エコー)という手法を、実践ビジネス英語に近い形でガイドが応用したものです。
実際海外からのメールに返信するとき、英文ライティングに慣れている人でも「Thank you for your message」だけ添えて、本題に突入してしまう方が多いでしょう。余計な文面をはしょるのは、確かにシンプルに伝えるという意味では大事なことですがこれが対顧客への返信メール全てに通用するものかというと保証はありません。というのも、顧客からのメールは、問い合わせのような軽いものから、クレーム、指摘等慎重に取り扱わなければならないケースもあるからです。
メールを送信する人がなによりも望むことは、まずは受け手のあなたに送った内容を理解してもらうことです。さらっと流すような返信ではなく、相手の怒りに共感し、そこから解決策を導いてあげるクレーム対応も必要でしょう。「やまびこイントロ」の法則は、相手への共感を示すことができ、さらに正確な意志疎通ができる一石二鳥の使える手法なのです。
では、具体的な例を使って「やまびこイントロ」の法則にはどんな効果があるのか?実際に書いてもらった文章を題材に検証していきたいと思います。
改善前の英文
設定は、顧客から以下のようなクレームメールが届いたことから始まります。「今朝そちらの銀行が空く前にATMでお金を引出したんだけど、カードが出てこなくなった。時間もなかったので、そのまま帰ってしまったのだが、前回も同じことが起きた。一体どうなっているのか、そして今後私のカードをどうすればよいか説明してほしい。」
このクレームの解決方法は自由に考えて結構です。あなたならどのようにこのクレームメールに対して英文返答しますか?
この質問に、イギリスのMBAを卒業した英語・中国語を扱うビジネスパーソンは以下のように回答してくれました。
Thank you very much for using our ATM service. This is Thomas Kindred from the customer service center of JB credit bank.
We are very sorry about the inconvenience happened to you. We already kept your bank card here in North-center branch, so please visit us when you are available during our opening hour, 9:00 am - 3:00 pm.
To solve similar cases smoothly, we recommend you to follow two ways as below;
1. Phone call
Find the equipped phone on the right side of ATM machine, then talk to the staff directly. If you cannot reach the staff, please make a phone call to the customer service center by using mobile phone; 03-XXXX-7272.
2. Chat on web-site
Access to our website, then find the pop-up window on the right side of the webpage, then type the message in the space. The staff of customer service center will answer your question via the chat tool.
If you have any further question, please feel free to ask us.
Sincerely regards,
Thomas Kindred
【日本語訳】
弊行ATMをご利用いただきありがとうございます。JB credit 銀行カスタマーサービスセンターのThomas Kindredです。ご不便をおかけしまして大変申し訳ございませんでした。お客様のカードはNorth-center支店で預かっておりますので営業時間内にお越しいただければと思います。
営業時間 9:00 am - 3:00 pm
今回と似た問題が発生した場合の解決方法として、以下2つの方法をお勧めいたします。
1. 電話
ATMマシンの右横に電話が備えつけております。そこから弊行担当者と直接お話しすることができます。また電話が混雑している場合には、直接カスタマーサービスセンター03-XXXX-7272までご連絡ください。
2. ウェブチャット機能
弊行ウェブサイトにお越しいただければ、ページ右側にポップアップ画面が表示されます。そこにメッセージを入れていただきますと、チャットを通じて弊行担当者がお客様の問題にお答えします。
もしその他何かご質問等ございましたら、お気軽にご相談ください。
敬具
Thomas Kindred.
いかがでしたでしょうか?全般的にシンプルな構成で、理路整然と解決策が提示されたスッキリした文章に仕上がっています。一方で、何となく返事が機械的で冷たい感じがしないでしょうか?特に、文章冒頭文(太字)では、メールのお礼定型句と謝罪句を述べた後すぐに本題の解決策に話をシフトさせています。この点、送信側の主張を理解していない態度に見られる可能性もあるため注意が必要かもしれないですね。
そこで、「やまびこイントロ」の法則を利用した場合の太字部分はどう改善するのか?次頁で検証します。
改善後の英文
Thank you for your message. This is Thomas Kindred from the customer service center of JB credit bank.
First please accept our deep apology for such inconvenience. We understood the problems that your cash card could not be returned after withdrawing your money and you had the same issue in the past at our ATM. We will take those seriously and improve them by analyzing causes and implementing preventive actions on the current ATM system errors shortly.
Your bank card is now at North-center branch, you can visit us during the opening hours 9:00 am - 3:00 pm or we can send your card at the registered address.
But going forward if you have similar problems at our ATM, please refer to the following steps for your faster solution.
【日本語訳】
ご連絡ありがとうございます。JB credit 銀行カスタマーサービスセンターのThomas Kindredです。まずは、ご不便をおかけして大変申し訳ございませんでした。お客様が弊行ATMでお金の引き出し後にカードが戻らず、また同様の問題が過去にも生じていたことについて弊行内で共有しております。
お客様の声を真摯に受け止めて、現在のATMシステムエラーについて原因を分析し、予防措置を速やかに実行してまいります。
お客様のカードですが、現在North-center支店にて保管しておりまして、営業時間内にお越しいただくか、もしくは登録後住所に送付も可能でございます。
しかし、今後弊行ATMでまた同じような状況になりましたら、以下のステップを参考にしていただければより早い問題解決が可能となります。
改善点の解説
具体的に私がどのように修正したのかを説明します。着目した修正点は以下2点でした。*1. 相手のクレームを「やまびこ」する。
理由:相手の主張を私は理解していると文章で表明すると、相手もあなたを信頼する確率が高くなります。また相手の意図とは相違がないように問題解決を進めるので、事態が悪化する可能性が低くなります。
*2. 相手が質問してきたことに対しての対策を述べる。
理由:顧客が怒るもう理由の一つが、同じミスを繰り返しているのに改善をする意向が見えないときです。顧客からの「一体どうなっているのか?」という問いは、会社が真摯にこの事実に向き合っているかを確認したいからと言ってよいでしょう。したがって現在努力している点について触れることは大事なのです。
相手はいつでも共感・理解を求めています。
いかがでしたでしょうか?日本語では顧客の問い合わせ内容を繰り返すことは冗長で、逆に相手の気分を害して印象を悪くするのでは?と心配かもしれないでしょう。しかし、英語を使う相手は外国人の方々です。質問を正確に把握しないまま話を進めてしまう方が、逆に相手に失礼になるのです。また英語での外国人との対話でもこの法則を使えます。ガイドの場合、今でもビジネス相手と会話をする時に相手の質問を繰り返します。こうすることで、自分の回答を考える時間を稼げるので、使い勝手のよい手法なのです。【関連記事】