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セラピストに聴く1 「存在」を受け止める(2ページ目)

「ハコミセラピー」という心理療法をご存知でしょうか? アメリカで80年代に確立された繊細で柔和なセラピーです。日本におけるハコミの紹介者である高野雅司さんにマネジメントに生かすポイントを聴きます。

宇都出 雅巳

執筆者:宇都出 雅巳

コーチング・マネジメントガイド


カウンセラーは「気持ち」を受け止める


――カウンセリングやコーチングを学ぶ企業のマネージャーも増えていますが、プロのセラピストからのアドバイスは?

高野:最近私は、人とコミュニケーションするときの三つのレベルについてよく話しています。一つ目のレベルは「言葉」。日常のコミュニケーションである、話の内容のこと。言葉を発して、聴いて、それを理解して、また何か言葉を言って、という具合にキャッチボールしていくレベルです。

二つ目のレベルは「気持ち」です。おそらくコーチングでも同じでしょうが、カウンセリングではカウンセラーは「言葉」や話の内容も聴くんですが、それ以上に「気持ち」の動きに焦点を当てています。そもそも「言葉」は、そこに「気持ち」が動いているから生まれてくるんですよ。何らかの「気持ち」が動いて、「言葉」を創り上げているわけです。

だから「言葉」を理解してくれることももちろんうれしいんですが、それ以上にその「言葉」を生み出している元になっている「気持ち」を理解してもらえることが、本当にうれしいわけです。それが「共感」とか「傾聴」のポイントだと思います。

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ハコミセラピストは「存在」を受け止める


――すると、「気持ち」のさらに奥にある三つ目のレベルというのは何ですか?

高野:なぜ人の中で「気持ち」は動いていくのかを考えると、その人がそこに生きて存在しているからです。三つ目のレベルは、まさにその人の「存在」そのものです。さっきの「気持ち」と同じように考えてみると、人は「気持ち」を理解して受け止めてもらうのはうれしいけれども、「気持ち」を生み出している元である「存在」そのものを受け止めてもらうことは、よりうれしいわけです。

月並みな言葉で言えば、「その人のありのままを受け止める」ということになるでしょうか。

――なかなかそのレベルまで意識しているマネージャーは少ないでしょうね。

高野:ほとんどの大人は意識していませんね。多くの人が「言葉」レベル、せいぜい「気持ち」レベルまででしょう。もちろん、「言葉」「気持ち」も大事ですが、さらに「存在」レベルにもチャンネルを合わせてかかわっていく。そうやってコミュニケーションしていくと、ものすごく豊かなコミュニケーションに変わっていきます。

――なるほど……。ただ、「存在」レベルでかかわるといっても、ちょっとイメージしにくいんですが?

高野:そうですよね。その「存在」レベルのかかわり方の具体的なスキルが、ハコミセラピーの「ラビングプレゼンス」なんですよ。

次回はハコミセラピーの基盤となる考え方であり、スキルでもある「ラビングプレゼンス」について、高野さんから解説と実践方法をお聴きします。)




コンサルタント出身の異色セラピストである高野雅司さん。セラピストになるまでの経緯、そして、普通の人とカウンセラーやセラピストの受け止めるレベルの違いをわかりやすく解説してもらいました。いかがだったでしょう? まずは、部下や同僚、上司など周りのメンバーの「言葉」だけでなく、「気持ち」、さらには「存在」レベルにまで意識を広げてかかわってみてください。


【関連サイト】
■ハコミセラピーのサイト

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